【まごころ通信】 第43話 自分への合図 by小峰裕子

長いようで短い夏、皆さんはどんな計画を立てていますか。なぜかしら冬休みや春休みよりずっと鮮明によみがえる記憶、それが夏休み、夏のひとコマではないでしょうか。

「夏と言えば○○!」と、誰もがひとつふたつ思い浮かびますよね。幼い頃の記憶、小学生時代や多感な10代の思い出、若かりし時代などふり返れば、その時々お世話になった方や出来事を思い出します。ただ現実は、それ以上に忘れてしまって思い出せないことも膨大にあるわけです。

人の記憶というのは脳の「海馬」という場所に一時保管され、その中から必要な情報だけが大脳皮質に送られ、長期保存されるのだとか。そして海馬の隣には扁桃体という直径1センチほどの器官があって、好き嫌いや快不快の感情を海馬に伝えているそうです。つまり心を揺さぶられる出来事があると、自分自身の喜怒哀楽と共に記憶にとどめているものなんですね。褒められたこと、しかられたこと、恥ずかしかったこと、悔しかったこと、楽しかったこと。過去の体験は潜在意識として長期記憶されていて、無意識に今の自分に影響を与えているらしいのです。

「これ良いね」「やめた方がよさそう」。何気ない選択、そして直感は、脳から送られる自分への合図です。少し意識して、あえて逆の判断をしてみてもいいかもしれませんよ。考えているばかりでは記憶の蓄積はできません。「何を体験するか、してきたか」は、その人らしさを表します。

歩き出せば道ができます。体験を積み重ねることは我が道を生きることにつながります。夏の計画といえどもおろそかにできないのです。