【まごころ通信】 第2話 「自分をディスカウントしていないか?」by小峰裕子

「謙虚」は日本人の美徳とされています。辞書によると、「謙虚」とは自分の能力や価値を低く評価することで相手の能力や価値を相対的に高めるという、日本ならではの人間関係を表す力学だそうです。

自分より優れた資質を持つひとや結果を出すひとを誰もが認める気持ちを持っていて、だから自分自身が評価された時、比べてしまってとっさに引いたりしてしまうんですね。もちろん結果は自分の力だけではありませんし、目に見えないサポートのおかげだということは理解できます。それは正論ですし、謙虚さは自惚れという感情の対局にある、理性に置き換えることもできます。

確かに適度な謙虚さは会話を潤滑にしてくれますが、がんばって出した成果なのに「わたしなんて○○なだけです」「全然ですよ」なんて会話は、「謙虚」を飛び越して自分自身をディスカウントショップのごとく割り引いているのと同じで、自分の成果を自ら軽んじることと等しいのではと考えています。この先、皆さんが自分の力で前に進みたいのなら自問自答してみて欲しい。

自分をディスカウントしていないですか?

心理学には承認欲求といって、自分を認めてもらいたいという感情があるそうです。なのに、そんな自分を一番認めてないのが自分自身だったりするから現実はやっかいですね。せっかくあなたを認めてくれる相手の言葉を、たまには真に受けてみませんか。幸せは天からとか誰かからとか、与えてもらうものではなく自分の心で感じるものです。感度を高めてくれるのは、照れくさくてとっさに引いてしまうような、あなたへの評価や励まし、賞賛の言葉ではないでしょうか。

さて、新しい年が始まります。承認してくれたひとに共鳴し触発を受けることはあなたがさらに伸びるために、必要なことだと思っています。