【まごころ通信】 第6話 「嫉妬と羨望」についての考察by小峰裕子

今日は少し怖いテーマについて考えてみましょう。「嫉妬」と「羨望」です。似ているようですが、実は違います。嫉妬は「嫉み(そねみ)」と「妬み(ねたみ)」というネガティブな漢字です。女性の場合は幸福のレベルに、男性の場合は覇権争いに嫉妬心を燃え上がらせると言います。対する羨望は望む・望ましいという漢字が示すように、「自分もそうなりたい」と思う前向きな感情です。ヒーローに憧れるような気持ちでしょうか。生き方や行動を真似してみたくなったりします。嫉妬はそうではありません。優れた人、恵まれた人を憎みます。その人が幸せな気持ちでいるだろうことを憎み、自分が持ってないものを持っていることへの切望と絶望にさいなまされます。では、この嫉妬という怪物の正体は何でしょうか。それは詰まるところ自己愛だと思うんですね。なので、気づかず放置してしまうと暴れ出して自分をコントロールできなくなるんです。自己愛は無限ですから。報復に莫大なエネルギーを消費することもあるでしょう。自己愛との戦いは苦しく惨めです。つまり、怪物の大半は対象となる人ではなく、自分自身なのです。

この嫉妬という罠にはまらないための、心がけがあるとすれば何でしょうか。それは「謙虚さ」だと思っています。「足を知る」と言い換えても良いかもしれません。足りていれば譲ることもできます。幸・不幸は他人からもたらされるものではなく、自分の中にあります。この先も、人の幸せを心から喜べる皆さんであって欲しいと願っています。