医学博士

広橋整形外科医院

廣橋 昭幸

昭和35年生まれ 久留米大学医学部卒業。久留米大学整形外科医局に在籍し、関連病院・大学病院で勤務後、公立八女総合病院整形外科医長。久留米大学整形外科講師を経て、平成17年より実家である福岡市中央区谷「広橋整形外科医院」で診療。こどもから高齢者までを対象に地域医療に携わっています。

医学博士 日本専門医機構・整形外科専門医・日本整形外科学会・スポーツ認定医、脊椎脊髄認定医、リハビリテーション認定医、リウマチ認定医

〒810-0031
福岡市中央区谷1丁目16-38
広橋整形外科医院
TEL 092-712-1454

この執筆者の過去のコラム一覧

2016/12/10

生きていることは動くこと

前回の第1回目では、健康寿命の妨げになっている原因の1/4が、運動器の障害という話をしました・・・

ところで、運動器ってなに?

たとえば、気管や肺などの呼吸に関連する器官を「呼吸器」。
胃・腸・肝臓など消化に関する器官を「消化器」と呼び、心臓や血管など血液循環に関する器官を「循環器」とまとめて名付けられています。
つまり、「〜器」とは、体の中の器官を意味するのです。

「運動器」とは、骨、関節、筋肉、腱、神経など、身体を支えたり動かしたりする器官をまとめて呼ぶ名称、つまり身体を支え、動かす仕組みです。
立つ、歩くなどの日常生活の動きや、走る、飛ぶ、投げるなどのスポーツ、楽器を演奏したり、踊ったり・・・いずれも運動器を通してのからだの表現です。
脳を「思考・命令系」とすれば、運動器はその「表現系」と言うことができます。

脳で考えたことは、運動器を通して身体の動きという形で初めて表現されるのです。

朝起きてから夜寝るまで、誰もが運動器をめいっぱい使いながら時を過ごし、その積み重ねが人の一生ということになるかもしれません。
ギリシャの哲学者アリストテレスは「 Life Is Motion」(生きていることは動くこと)と述べています。
「ライフ」で表される生命、生活、人生は動いていること、身体を動かすことによって作られるのです。
植物と動物の大きな違いは「動く」ということ。人間は動物・・・動く物と書きます。

訓練になる四つん這い運動「ハイハイ」


人間が二本足で立つようになって、300-400万年。生まれてから自立歩行ができるまでの約1年2ヶ月は、人の成長発達が一番著名な時期です。
3ヶ月で首が坐ると哺乳がしやすくなります。次に、寝返りができるようになり、少し支えてやると坐れます。
次が「ハイハイ」です。まずは腹ばいから四つん這い。
最初は床にお腹をつけて、ほふく前進。それが次第に両手、両足で身体を支えて前進します。
あたかも人類の祖先である両生類やほ乳類への進化の過程を見ているようです。

「ハイハイ」は足の趾(趾=足のゆび)、とくに親趾で強く床を蹴る運動が多いので訓練に最適です。
オリンピック選手の訓練に四つん這い運動が取り入れられています。
みなさんも、たまにはやってみては?

人間故の身体の支障

ほとんどの動物は、四本足で移動しますが、人間は直立姿勢 二足歩行。
四本足の動物には、「腰痛」は無いと言われています
人間が重力に逆らって二本足で立つがゆえに、身体の様々なところに負担がかかり支障を来します。

運動器のけが・故障を防ぎ、明るく元気な日々を大切にしましょう。

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