ファイナンシャルプランナー

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久保 逸郎

老後のお金の不安を解消する、ライフプランと資産運用&資産管理の専門家
「90歳まで安心のライフプラン」を合言葉にして、豊かな人生の実現に向けたライフプラン作りの支援を行っている。
独立から約15年にわたり相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近い講演や、マネー雑誌やコラム等の原稿執筆を行うなど幅広く活動中。

この執筆者の過去のコラム一覧

2017/06/10

地政学リスクが高まったタイミングでの資産運用

老後のお金の不安解消アドバイザーの久保逸郎です。

皆さん、ゴールデンウィークの連休はどのように過ごされましたか?
今年は暦がよかったので、9連休を取って海外旅行などに行かれた方も多いと思います。 また、例年に比べて天候が良かったので、あえて遠くまで旅行などに行かれなくても、きっと充実した休みになったものと思います。

私が出掛けたのはアメリカンフットボールのコーチをしている関係で、初日の4月29日に遠征で大阪に行っただけです。
残りの休みは読書などをして、じっくりとインプットと思考の時間に充てました。
例年はキャンプに行っていたのを取り止めてのものでしたが、たまにはこのような時間を取ってみるのもいいものですね。
今までで一番良いゴールデンウィークの過ごし方になったような気がしています。

本コラムの書き出しをファイナンシャルプランナー(FP)ではなく、「老後のお金の不安解消アドバイザー」にしたのも、私自身が行っている活動の内容をより具体的に知っていただくにはどうしたらいいかと、ゴールデンウィーク期間中に考えてのものです。

北朝鮮をめぐって地政学リスクが高まる

さて、そのゴールデンウィーク期間にずっとニュースなどで報道をされていたのが、北朝鮮をめぐる動きです。
5月15日の早朝にも北朝鮮がミサイルの発射実験を行ったようで、これは新しいタイプの弾道ミサイルではないかという報道もあります。
北朝鮮の動きをめぐって、米国や日本を含む周辺諸国との間で緊張が高まってきています。

このように戦争が起こるリスクや、社会的・政治的な問題などが発生するリスクを「地政学リスク」といいます。
この地政学リスクが高まっている状況で、私達は一体どのように資産運用を行えばいいのでしょうか?

その答えとして、まずは過去に価格が上がって増えたリスク資産をある程度売却してしまい、キャッシュなど(預貯金などの安全資産)に一旦避難をさせておくという方法があります。
とくに今の時期でいうと、アベノミクス相場で上がった資産をそのまま放置してしまって、資産全体のリスク資産のウエイトが大きくなり過ぎている可能性もありますから、この機会に一部を売却して全体のリスクを下げるような調整を行うことを考えてみましょう。

もしも北朝鮮と米国などの軍事衝突(戦争)にまで進んでしまった場合の株価への影響が、仮にITバブル崩壊やリーマン・ショック級とすれば、約4割程度の株価下落というような事態が起きてしまう可能性があります。
今のうちに増えた資産を一部売却してキャッシュなどに避難をさせておけば、リスクが現実のものとなって株式が下落した場合でも、その避難をさせておいた資金を購入に充てることができます。

リスクオフ局面で強い金

また、金(GOLD)のようなリスクオフ局面で値上がりする資産を持ってくことも選択肢の一つです。

但し、日本人が金(GOLD)を持つ場合は、一般的にはドル円の為替レートの影響を受けてしまいます。
為替面では「有事の円買い」と言われるように、世界的にリスクが警戒されると円が買われる傾向がみられますので、円高に対する備えも必要になるかもしれません。
円高に備えたい場合は為替ヘッジ付きのゴールド・ファンドで、円高リスクに対応することも考えられます。

しかし、今回は日本と北朝鮮は距離的に近いので、もし北朝鮮をめぐって有事が起こっても、円が買われない可能性もあります。
いずれにしても前例が無い問題のため、この為替の点については予想を行うことが難しいので、その動向についてはとくに注意を払っておきたいですいね。

地政学リスクが高まった局面は、資産配分を見直す好機

この他にも、例えば軍需関連企業の株式を購入することも一つの対処方法です。
かなり強気の戦略にはなりますが、仮に戦争にまで発展をした場合には、得られるリターンは相当大きなものになるでしょう。
FPの立場ではあまりお勧めできる戦略ではありませんが、このような考え方があることは知っておいて損はありません。

今後どのように進んでいくのかはわかりませんが、いずれにしても今回のような地政学リスクが高まった局面は、アセット・アロケーション(資産配分)を見直す好機であると思います。
けっして甘く考えて放置をすることはしないで、ご自身がどのようなスタンスでいくのかをしっかりと考えていただきたいものです。

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