医学博士

広橋整形外科医院

廣橋 昭幸

昭和35年生まれ 久留米大学医学部卒業。久留米大学整形外科医局に在籍し、関連病院・大学病院で勤務後、公立八女総合病院整形外科医長。久留米大学整形外科講師を経て、平成17年より実家である福岡市中央区谷「広橋整形外科医院」で診療。こどもから高齢者までを対象に地域医療に携わっています。

医学博士 日本専門医機構・整形外科専門医・日本整形外科学会・スポーツ認定医、脊椎脊髄認定医、リハビリテーション認定医、リウマチ認定医

〒810-0031
福岡市中央区谷1丁目16-38
広橋整形外科医院
TEL 092-712-1454

この執筆者の過去のコラム一覧

2016/11/10

平均寿命と健康寿命

はじめまして、広橋整形外科医院の廣橋と申します。

このコラムのお話を大洋不動産さんからお伺いしたとき、ほかの執筆者の方々をみると、いささか自分は畑違いで戸惑いました。資産運用とか相続とか、お金にまつわる話。 それは、医者にとって、一番苦手な分野かもしれません。

健康資産という考えかた

そこでふと思い浮かんだのが「健康資産」。日本は世界有数の長寿国となったのは、ご存じだと思います。その昔、織田信長は、桶狭間の戦いで「人生50年」と言いました。

我が国の高齢化率(65歳以上の人口の全人口に対する比率)は 1935年、4.7%、2014年26%、そして、平均寿命は、1960年には、男性:65.3歳、女性:70.2歳だったものが、2015年では、男性: 80.8歳、女性:87.1歳になっています。男性は15歳、女性は17歳ものびているのには、まったくの驚きです。

高齢者の疾患への対応が重要に

長寿は喜ぶべきことですが、一方では、社会の高齢化とともに、高齢者の疾患への対応が重要になってきています。
みなさんは、健康寿命と言うのはご存じでしょうか?

それは、2000年にWHO(世界保健機構)が提唱したもので、平均寿命から日常的・継続的な医療介護に依存して生きる期間をはぶいた期間のこと。つまり、健康寿命の割合が高いほど寿命の質が高いと評価され、結果として医療費や介護費用の削減に結びつくと言うのが国の考えです。

その健康寿命は、男性:71.2歳、女性:74.2歳。・・・つまり、死ぬまでの間、男性は9年、女性は13年間、誰かのお世話(要介護・要支援など)になっていると言うことになります。

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そして、要介護や寝たきりは本人だけでなく家族や周囲の人にとっても問題になるのです。

65歳以上で要介護(要支援)の認定を受けている人は437.8万人(平成19年度末)いますが、その原因の内訳は、運動器の障害(骨折や転倒)25%、脳血管障害19%、認知症16%、高齢による衰弱13%、その他27%となっています。
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「運動器」とは、骨・関節・筋肉など、身体を動かす仕組み。それが衰えて、立つ、歩く、走る、登るなど、日常生活に必要な能力が低下し、要介護になったり、介護が必要になったものの1/4を占めるということです。そのことをみなさんはどう受け止めますか?

認知症は65歳以上の人の7.8%に発症し、その原因についてはかなり解明されていますが、治療法についてはもう一歩というところです。一方で、寝たきりにつながりやすい脳血管疾患や、骨折などについては予防することが可能です。

転ばぬ先の杖、必要ではありませんか?・・・つづく

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