小峰 裕子

(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表

この執筆者の過去のコラム一覧

2018/01/10

ご存じですか!?土地に潜む怖い話

明けましておめでとうございます。
おかげさまで、このコラムも2年目に入りました。いつもお読み下さり、本当にありがとうございます。不動産を持つこと、そして相続という一大事が、皆さまにとって幸せな出来事でありますようにと願いながら書かせて頂いています。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

お隣さんと会えない!という怖さ

さて、新年早々「怖い話」とは何ごとかとお思いでしょうが、どうしても皆さまにお伝えをしておきたいことがあります。それは「境界」についての話です。

6年ほど前のことです。今橋恵美さん(仮名)は、両親と同居していた実家を売ることにしました。血を分けた弟妹と相続で一波乱あり、いろいろ考えた末の結論です。幸い売却先はすぐ見つかりましたが、問題は相手先の事情で契約から引渡までの日にちが近かったことです。

原則として、引渡にあたり境界が確定していることは大前提です。土地家屋調査士に境界確定測量を依頼し、隣接地所有者と境界の確認をしておく必要があります。
ところが一軒だけ、隣接地の所有者と連絡が取れずじまいだったのです。幾度となく訪問しては手紙を置いて帰るも取る様子はありません。今橋さんの話によると、ここ数年全く姿を見たことがないとのこと。

居場所を突き止めたのは引渡まで8日、ぎりぎりのタイミングでした。今橋さんも安心されたのか、ご相談に来られて初めて明るい笑顔を見せて頂いたように思いました。

あなたと相手が思う境界は一致するか

あらためて境界確定測量とは、所有権の境界を表したもので、隣地所有者に立ち会ってもらい境界杭を設置します。また境界確定書を隣地所有者全員と取り交わし、署名捺印をします。
これに対して住宅メーカーなどが行う現況測量は、現地をあるがままに測ったもので占有状態を表したものです。たとえば設計図どおり建物がその土地に建つかどうか、調査の一環として測量が行われたりします。
それからもう一つ、ややこしいのですが「筆界(ひつかい)」という境界も存在します。
ご承知のように土地の単位は「筆」です。一筆(いっぴつ)と一筆の境界が「筆界」で、いわゆる公法上の境界となります。不動産の登記は一筆ごとに行われますので、法務局の登記官が言う境界は「筆界」のことなんです。
ということは、境界は「所有権界」「占有界」「筆界」と3つもあって、しかもそれは一致していないことも多いわけです。

境界をめぐる紛争の原因はこれです。

契約解除!かもしれない怖さ

土地をめぐるトラブルは潜在的なものが多く、その怖い代表的なものが境界です。
隣地所有者がどうしても境界ラインを認めず、とうとう隣地所有者自身で土地家屋調査士に依頼して計り直したこともありました。もちろん、同じラインでしたがそれでも認めません。
一歩も引けない感情線?なのです。幸いなことに買主さんが理解され、筆界特定制度を法務局に申請して「筆界特定登記」をすることで引渡を了承して頂きました。

ただし、筆界特定というものは元々あった公法上のラインを筆界特定登記官が外部専門家の意見を元に特定するものであり、所有権界とは違います。引渡の条件が境界確定測量および境界確認書の提出となっていることも多く、まさに今橋さんと相手先との売買契約がそうでした。
隣地所有者の確認がとれるまで相手先に引渡日を延ばしてもらえなければ、契約解除です。
とにかく必死、売主ばかりか不動産業者も震え上がる怖い話、それが境界なのです。

ブロック塀のせいで売れない?怖さ

隣地との間のブロック塀なんてありふれた光景ですが、これが問題となる例もあります。
昭和40年代に開発分譲された宅地がまさにそうでした。ブロック塀の高さが現在の建築基準法に適合しないため、3段ほど切らなければ買主は建物を建てることが出来ないことがわかりました。しかも測量するうちに所有権界が「ブロックの真ん中」にあることがわかったのです。
そのことを隣地所有者に説明をすると、幸いなことに快く承諾して下さいました。

もし拒否されたら...

その土地は良好な住宅地でありながら建物が建てられたい土地として、売却もままならないことになっていました。

杭を残して悔いを残さず

もう、おわかりですね。あなたの土地を守るために必要なことは3つです。
1.境界確定測量をする。
平成17年に不動産登記法が改正され、より精度が高まりました。つまり昔、測量していても測り直す必要があります。
また境界確定測量は1~3ヶ月かかります。まさに「今」やっておくことで、あなたの土地(資産)は安全に守られるのです。
2.測量した面積と登記簿の面積(地積)は一致させておく。
固定資産税の納税額にも影響する一方、万が一売却する場合の売却価格にも影響します。同じように名義も一致させておくことはもちろんです。
3.お隣とは仲良くしておく。
捺印1つ○○万円...いわゆるハンコ代なんて怖い話になりませんように。

「杭を残して悔いを残さず」

日本土地家屋調査士会連合会のリーフレットにある名言です。
思い込みは禁物、あなたの土地の怖い話は思いがけず現れるのです。

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