安藤 眞哉

税理士

あんしん税理士法人

安藤 眞哉

元住宅営業マンとしての経験を持つ税理士が、建設業・不動産業・設計事務所の開業・起業支援、会社設立・法人成り、開業時の融資から開業後の税務処理まで親切丁寧サポートいたします。出身校:中央大学法学部政治学科

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2018/03/10

妻のへそくりは夫の財産?

相続税の申告の約80%に申告漏れが

国税庁の「平成28年事務年度における相続税の調査の状況について」によると、平成26年に発生した相続のうち相続税の税務調査が行われた件数が12,116件に対して、申告漏れがあった件数が9,930件と、約80%税務調査で追加の財産が見つかったとのことです。

家族が知らなかった銀行の預金がみつかった、というように無いと思っていた財産を税務署が見つけてくれたのであれば、税金は払わなければいけないもののちょっと得した気分になれると思いますが実情はそうではありません。

同調査では、重加算税が課せられた件数についても発表されています。
重加算税というのは意図的に財産を隠すような悪質な場合に課される税金ですが、全調査件数に対して約13%の1,300件でした。
ということは、それ以外の申告は悪質ではなく、財産だとは思わなかったものが財産だった場合がほとんどだったという見方もできます。

妻のへそくりは夫の財産?

それでは財産だとは思わなかった財産とはどんなものでしょうか。
相続税のご相談の際に次のようなお話することがあります。

御主人から生活費として毎月もらっていたとします。
奥様の懸命の努力で残った生活費を奥様の預金口座に溜めていたとします。
当然、奥様としては生活費としてもらったものだし自分の努力で溜めたものだから自分の財産だと思います。
相続税の申告の際もよもや御主人の財産とはお思いませんので申告しません。
結果、税務調査があった際に、奥様名義の預金口座に残っていたお金は御主人の財産とされ、追加で納税をしなければなりません、という話です。

このように自分の財産だと思っていたものが、実はご主人の財産だった。
いわゆる「名義財産」というものです。

名義財産の判断基準

ある相続財産が誰のものか判断するのにはいくつかポイントがあります。

(1)その財産の原資はどこからきたか。
生活費の場合ですとご主人の給与が原資になります。特に奥様が長い間、専業主婦で給与などの収入がなかった場合は問題になります。

(2)管理運用は誰がしているか。
生活費の場合、奥様がそれこそ管理していたものといえますが、そもそも生活費は夫婦共有の財産として扱われてしまいます。
また関連してですが、祖父母が孫に預金にお金を入金して贈与するようなな場合でも、 通帳の印鑑、ネット銀行のパスワードなどを祖父母が管理し、孫が自由に引き出せないような場合も名義財産となってしまうでしょう。

(3)贈与の事実があるかどうか。
生活費が残ったら好きに使っていいよ、と言われていても、もともと生活費は夫婦共有の財産です。単なる口約束では不十分と見られます。

へそくりでも贈与契約書の作成を?

それではどのようにしたらへそくりを奥様の財産とできるのでしょうか。
毎年、生活費の残った金額を計算し、贈与契約書を作成し通帳の残高がご主人から贈与してもらったお金として証明できるようにしておくことが必要でしょう。

へそくりは夫に知られていないからへそくりなのに贈与契約書を作るなんて元も子もない話ですが。

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