ツアーディレクター(添乗員)

株式会社近鉄HRパートナーズ

寺田 多実子

1961年生まれの博多っ子1987年より近畿日本ツーリストの国内・海外旅行のツアーディレクターとして世界中を飛び回る。渡航歴は450回を超え、訪れた国は約70ヶ国。目指しているのは、他を喜ばせる人になること。趣味は描画と写真撮影で「どこでもスマイル」と「とっておき」の二冊の写真集を自費出版した。還暦を機にシニアのチアダンスと好きな曲をピアノで弾くことに挑戦中。地元でタレントもしている。好きな言葉は創意工夫と笑顔は世界の共通語。

この執筆者の過去のコラム一覧

2026/09/10

何もしない、それがバカンス

暑さと湿気が苦手な私は15年ほど前から、毎夏フランス・パリで過ごしています。
日本に比べて気温も湿度も低くて快適な夏…
ところが、どういうことかここ数年、ヨーロッパでは「カニキュル」と呼ばれる熱波が増えてきて、地球環境の変化を実感します。
夏のバカンス(長期休暇)をパリジャン達は一体どう過ごしているのか、ちょっと覗いてみましょう。

家にエアコンがない!

日差しは強いが夏でも比較的涼しい地域が多いフランスでは、以前はエアコンなしでも過ごせましたが最近は気候が変わってしまい、家の造りが今の猛暑に追いついてないのが現状です。
しかも歴史的な街並みを守るため、パリなどでは建物の外観を変えてしまう室外機の設置に制限がある場所もあります。
また、エアコンに頼らず日よけをしたり風通しを良くして、できるだけ自然な方法で暑さを乗り切っているようです。
例えば朝のうちに涼しい空気を入れて、日中は雨戸(シャッター)を閉めて真っ暗にすれば室内の温度上昇を抑えられます。
そんな中、扇風機やスポットクーラーを販売する店舗では、商品の争奪戦が起こり、あっという間に売り切れになる様子をテレビで見ました。


のんびりと夕陽を眺める

そしてアイスコーヒーがない!蝉がいない!

スターバックスがパリに上陸した後は、冷たいアイスコーヒーやフラッペチーノが飲めるようになりましたが、昔ながらのカフェのメニューにはありません。
その代わり、ミントシロップを水や炭酸水で割った「マンタロー」という夏の定番ドリンクがあります。
聞きなれない私の脳が勝手に「万太郎」と漢字に変換してしまい友人に笑われましたが、ミント水のことでした。もう一つ、パリや北フランスは蝉の生息地ではないので、蝉の鳴き声が聞こえません。陽光あふれる南仏プロヴァンスにしか生息しない強い生命力ゆえ、蝉は幸運のシンボルになっています。


湖で水遊び

湖畔のテラスで喉を潤す

バカンス(長期休暇)は人生の大切な部分

夏の大バカンスは7~8月が中心で、学校は約二ヶ月休みになり、多くの人が2~5週間ほど連続休暇を取ります。
そんなに長く休んで何をするのか気になりますよね。
それは家族で海・山・田舎へ移動してゆっくり過ごすこと、つまり「何もしない」が目的です。
フランス人は田舎への愛着が強く、滞在先も祖父母の家・古民家・貸別荘で、過ごし方も素朴です。ずっと海や湖を眺める、日光を浴びる、時間をかけて食事をする、本を読む、昼寝をする…
ほとんど「生産性」が求められていないのが休みで、これは立派な文化といえます。
せっかくだからと予定を詰め込み、限られた時間で効率よく回ろう、とは思っていません。
日本人的には「今日は何もしてない…」がフランス人的には「最高の休日」で、なにもしない贅沢=夏を象徴する言葉です。


プールサイドで読書〜昼寝

暑い日はサラダを作ろう

また、バカンス中のフランスの特徴として、大移動のため渋滞が発生する、個人商店が9月まで休みになることもある、リゾート地はかなり混雑し高額になる、レストランやカフェはテラス席が人気、パリなど大都市は観光客中心になる、などがあります。

もちろんバカンスに入ると仕事から離れ、メール返信はしない、電話に出ない、と堂々と休暇宣言します。
そして、バカンスが終わり9月になると本気を出して仕事に戻るのです。

パリでバカンス気分になれる「パリ・プラージュ」

毎年夏に、セーヌ河岸で一時的に人口ビーチを作るパリ市長局による大人気企画で、「パリの海岸」という意味です。
パリに残っている人にバカンス気分を味わってもらおうと、2002年から始まり今年で25回目。
無料で開放されている水浴場の一つに行ってみた私は、観光船が行き交う河畔で水着になる勇気と、セーヌ川の水を利用したプールに入る勇気がなかったことを、ここで告白します。


セーヌ川(いけす)で泳げる夏の日

見られても平気で日光浴できる?

小麦色に焼けた肌こそバカンスの証!シミやシワを気にせず、日焼けを楽しむ女性たちの姿も印象的です。
理想の夏休みって「特別なことをする」より「何もしない(だけど全身で今この時を楽しむ)、それがバカンス」なのかもしれません。

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