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楢原 寛子

主婦目線での家計の見直しや将来の生活設計・資金計画(ライフプランニング)を得意としています。 住宅購入やお子様の教育費、老後セカンドライフの充実など、相談者一人ひとりの将来叶えたい夢の実現に向け、ライフプラン作成などのお手伝いをしています。
CFP、FP1級技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
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2021/05/10

今こそ「災害の備え」について確認してみませんか

福岡市総合ハザードマップによると、福岡の警固断層では30年以内に地震がおこる確率は、0.3~6%という数字ですが、これは日本の主な活断層の中では高いグループに属することになるようです。

また、毎年のように台風や記録的な豪雨などにより自然災害も起きています。
今回は、いつ起るか分からない「自然災害の備え」についてご紹介したいと思います。

1.まず確認しておきたいこと

自分が住んでいる地域に水害、土砂災害、浸水などどんなリスクがあるのか確認しましょう。例えば福岡市の総合ハザードマップ(HP)では、住所を入力すれば、洪水や高潮による浸水の危険性、最寄りの避難所を確認することができます。

また、家族の安否確認について「災害用伝言ダイヤル(171)」、「災害用伝言版」を利用する、「どこに避難するのか」など決めておきましょう。

さらに、食料や飲料の備蓄(賞味期限には注意)のほか、避難所に持参できる非常用持ち出しバックの準備などを行っておきましょう。

2. 自然災害で受ける損害

被災した時、生活再建には、どれぐらいお金がかかるのでしょうか?

災害により、住宅の建て替えや修繕、家財の買い替え、引っ越し費用、当面の仮住まいの費用などまとまったお金が必要になってきます。

内閣府の調べによると、東日本大震災で全壊被害に遭った住宅の新築費用は、平均して約2,500万円で、それに対して公的支援として受給できたのは、善意による義援金をあわせても約400万円にとどまったようです。

(出典:内閣府 防災情報のページ)

3.どう備えたらいいのでしょうか?

まずは、公的な支援制度として「被災者生活支援金」の支給があります。

これは、自然災害により住宅に被害を受けた際に、世帯に対して支援金を支給し、生活の再建を支援する制度で、下表の支援金が受けられます。

ただし、基礎支援金と加算支援金を合計しても、最大でも300万円ですので、公的支援だけでは再建費用は足りないため、保険や貯蓄で事前に備えておくことが大事になってきます。
(出典:福岡県HP)
※自然災害により10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等が対象
※世帯人数が一人の場合は、各該当欄の3/4が支給

4.保険で備えるとは?

備える自然災害の種類によって加入する保険が大きく2種類あります。

まずは、加入している保険でどのような場合に補償が受けられるのかを確認しておきましょう。

(1)火災保険で備える

火災保険では、火災、落雷・風災・雪災害などによる建物や家財の損害を補償します。
さらに水災補償をつけていると、豪雨や台風などで発生する、洪水や土砂崩れなどによる損害が補償されます。

近年、自然災害による保険金の支払いが増加していることを受けて、火災保険の最長満期保険期間が現在の10年から5年になる見通しも出てきています。
長期契約にすると保険料の割引が受けられ、更新の手間も省けますので、長期での契約を検討されてみてはいかがですか。

(2)地震保険で備える

地震保険とは、地震や噴火、津波などによる損害を補償するもので、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で保険金額を決めることが可能で、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度になります。

損害保険会社などの一般的な地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、単独では加入ができませんでしたが、少額短期保険会社から、単独でも加入できる「地震補償保険」も発売されています。ただし加入する際には、補償内容などの確認が必要です

また、地震保険の補償を手厚くしたい方は、特約で補償を上乗せでき、最大で火災保険金額の100%まで補償する「地震危険等上乗せ特約」や今年3月には被災直後の生活資金確保のために、震度に応じて最短3日で保険金が受け取れるようなネット専用の新商品も出てきましたので検討されてみてはいかがでしょうか。

5.緊急予備資金を準備する

災害が起きたら避難時にかかる生活費(食事・衣服等)や交通費、ホテル宿泊費用など当面の生活が再建できるまでには、まとまったお金が必要になってきますので、「緊急予備資金」を準備しておきましょう。

緊急予備資金は、貯蓄の中でも教育資金等など使い道が決まっているものとは別に、生活費の3カ月~6カ月分を目安に、すぐに使える資金として預貯金等で準備しておくことが重要です。

4.まとめ

東日本大震災から10年、熊本地震から5年が経過しました。復興は進んでいる一方で、熊本では3月末時点で未だに400人以上が仮設住宅で暮らしています。

また、コロナ禍での感染対策を取りながらの避難生活は、これまで以上に大変になると思われます。

これから梅雨や台風の季節を向かえる前に、今こそ「災害の備えについて」確認して、家族で情報を共有して万が一の災害に備えておきましょう!

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