ツアーディレクター(添乗員)

ツーリストエキスパーツ

寺田 多実子

1961年生まれの博多っ子1987年より近畿日本ツーリストの国内・海外旅行のツアーディレクターとして世界中を飛び回る。渡航歴は400回を超え、訪れた国は約70ヶ国。目指しているのは、他を喜ばせる人になること。趣味は描画と写真撮影で「どこでもスマイル」と「とっておき」の二冊の写真集を自費出版した。還暦を機にシニアのチアダンスと好きな曲をピアノで弾くことに挑戦中。地元でタレントもしている。好きな言葉は創意工夫と笑顔は世界の共通語。

この執筆者の過去のコラム一覧

2022/03/10

やってみる

今までの人生で「やってみて良かったこと」と「やらずに後悔したこと」。皆さんにも、この両方があるのではないでしょうか?

コロナ禍でも家族に会いにフランスへ

私の家族はフランスに住んでいます。
最後に私が渡仏したのは2019年の12月…もう2年ほど家族に会えていませんでした。2021年の秋にフランスのコロナ感染者数も少なくなったので渡仏のために航空券を予約したところ、今度はみるみる内にオミクロン株が広がり私は悩みました。
その時に思い浮かんだのが「やらずに後悔した」経験で、あの時のような思いをしたくない一心で予定通り渡仏することにしました。

当時フランス渡航には現地出発前48時間以内のPCR検査証明書(英文)と日本のワクチン二回接種証明書(ワクチンパスポート)が必要でした。
今まで唾液採取によるPCR検査の経験はありましたが、人様から鼻に棒を突っ込まれる検査は今回が初めてで、その感想を一言で申し上げるなら「鼻腔からのエイリアンの襲来」のようでした。

パリの空港の感染予防ピクトグラム

2年ぶりの羽田発パリ行き長距離フライトは、前日に欠航の連絡が来て1日遅れの成田発の別便に振り替えられ、しかも2便分の乗客でほぼ満席状態。
前途多難な出発となりましたが、隣席の日本人(仕事のためにパリ経由でニューヨークに戻る若者)から、興味深いアメリカの話を聞けてラッキーでした♪

わずかな滞在期間でも幸せなひと時が

離陸して12時間後パリ・シャルルドゴール空港に着陸すると、家族との再会に胸の鼓動が高鳴りました。
そして到着ロビーで目にした家族の姿に「これは現実なのか、夢ではないのか?この2年間リモートで顔を見て声は聞けるものの、直に触れることはできず、お互いに元気で再会できる日を励みに頑張ってきた、その日が今日なんだ。」
そう思うと涙があふれ出て、手を伸ばせば温かいぬくもりを感じられる今この時に、感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。
ここに来ることを選んで、本当に良かった。
ヨーロッパの冬は長く太陽も低く、あっという間に日が暮れてしまいます。

12月末、午後2時の冬の日差し

寒い屋外とは反対に室内は暖かく、私は家族とともにクリスマスそして新年の幸せなひと時を過ごし、今年1月中旬に日本へ戻ることになりました。

日本帰国のために現地出発前72時間以内の検査証明書が必要なので、検査のために屋外の寒空の下2時間並んだ時には手足の末端の感覚がなくなってしまいました。
帰りを関西空港到着にした理由は、もう少し読んでいただくと判ります。帰りのフライトは行きとは正反対のガラガラ状態で、私の前後二列には誰も座っていませんでした。

帰国後の待機10日間がスタート

さぁ、ここからは皆さんが知りたい「帰国時の待機10日間」の始まりです。
関西空港到着後は検疫の水際対策がきびしく、まず唾液採取によるPCR検査~入国準備のため多数の関所が設けられ各ブースに必要書類を提出後、PCR検査の判定が出て初めて入国の運びとなるのです。

空港到着後ここまで所要3時間。入国後は手厚い誘導のもと(その辺りをウロウロなんてできません)駐車場に待つ大型バスに乗せられ、いよいよ検疫指定施設へ出発!
添乗員ならバスに乗る前に必ずする行動、それは前方窓ガラス上部のバスステッカーを確認すること。通常ここにツアー名が記してあるのです。
そこで私は見た!「新大阪駅前○○ホテル」と書いてあるのを!

今回の待機はまず検疫指定施設で帰国日の翌日から6日間(公費負担)、その後は自宅で4日間の合計10日間
この期間は公共交通機関を一切利用できず、私は福岡の自宅に飛行機や新幹線では帰れません。そこで残り4日間の待機場所を京都の知人宅にしたために関西空港を選んだのでした。

ご褒美のような冬の京都、雪化粧した金閣寺の光景

さて、この○○ホテルでの待機は、結論から言うと大変快適でした。
当然ながら部屋から外出禁止、おまけに禁酒禁煙なのでお酒とタバコ好きな方はさぞ苦しかったことでしょう。狭いけれど設備が整った清潔な部屋は「さすが日本!」、特に物を掛けるフックとコンセントの多さに感心しました。
時間になれば袋入りの食事(なかなか美味)と飲み物が部屋の前に毎食配られました。ドアの向こうでバサバサという袋の音が聞こえるたびに、私はパブロフの法則の犬のように反応し「取ってよし!」の合図の館内放送が流れる前に、こっそりドアを開けて食事を取るのが楽しい日課となりました。

「美味しそう、食べたい」と言われた待機弁当

時間を持て余すという予測に反して、興味津々な友人達からの質問に答える毎日となり、予定していたスマホの写真整理をする暇もなく、あっという間に出所する日を迎えました。
6日目の夕方、京都から迎えに来てくれた知人の車で邸宅へ移動し、そこで4日間待機して11日目の午前0時に晴れて釈放となりました。
因みに10日間の待機中は健康・居場所確認アプリを通して1日に数回の確認があるので、真面目に待機していましたよ~。

一生に一度は見たい雪化粧した金閣寺

釈放後は冬の京都を楽しもうと、引き続き滞在しているうちに豪雪となり、めったに見られない雪化粧した金閣寺まで見ることができました。
慣れない雪道を転びそうになりながら歩いて来た、ご褒美のような景色でした。

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