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楢原 寛子

主婦目線での家計の見直しや将来の生活設計・資金計画(ライフプランニング)を得意としています。 住宅購入やお子様の教育費、老後セカンドライフの充実など、相談者一人ひとりの将来叶えたい夢の実現に向け、ライフプラン作成などのお手伝いをしています。
CFP、FP1級技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
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2023/02/10

確定申告をお忘れなく「医療費控除」について~マイナポータルでより便利に~

最近の物価上昇や光熱費の高騰で家計の負担が大きくなっていますし、令和4年10月からは、一定以上の所得のある後期高齢者の方は窓口での負担割合が変更になり、医療費の負担は、ますます大きくなることが予想されます。

このかかった医療費を「医療費控除」を受けることで、少しでも家計の負担を減らすことができたらいいのではないでしょうか。
今回は確定申告における医療費控除の仕組みや申告の変更点等についてまとめてみましたのでご紹介します。

医療費控除とは?

所得税の所得控除の1つで、確定申告をすることで、税額を減らすことができるものです。給与などから所得税が既に天引きされている方は、減額分の還付が受けられます。

具体的には、1年間(1月1日~12月31日まで)に自分や生計を一にする家族のために支払った医療費が10万円(総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額の5%)を超えた場合に、その超えた部分を医療費控除として所得から差し引くことできるものです。
また、この所得を基に計算して課税される翌年度の個人住民税もあわせて安くなります。

控除される医療費は、病院に支払った治療費、入院費のほか、医療機関までの交通費、薬局で購入した風邪薬などの薬代も対象になります。

ただし、生命保険の入院給付金や健康保険の高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などの支給がある場合は、その金額を差し引かなければなりません。
また、健康診断や人間ドック等(異常がなかった場合)の費用、健康増進のためのドリンク剤やサプリメント、入院時の差額ベッド代、美容整形費用などは対象になりませんので注意が必要です。

医療費控除を受けるためには、必ず所得税の確定申告が必要になります。
申告には領収証の提出は必要ありませんが、原本は5年間保管が義務付けられています。

医療費控除の特例:セルフメディケーション税制とは

平成29年より始まった特例で、医薬品の購入代金が12,000円を超えた場合に控除が受けられる制度です。
ただし、上記の「医療費控除」と併用はできませんので、どちらか選択が必要になります。この特例は、令和3年分までの予定でしたが、5年間延長されて令和8年分まで受けられるようになりました。

特例の対象となる医薬品は、ドラッグストア等で購入できる医療用から転用された「かぜ薬」、「胃腸薬」、「肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬」などのスイッチOTC医薬品とされています。
医薬品の商品ごとに厚生労働省が指定したものになります。

具体的な対象医薬費品の一覧は、厚生労働省ホームページで確認できますが、対象の医薬品は、箱に「セルフメディケーション税控除対象」のマークが入っていますし購入した際の領収書(レシート)にも控除対象であることが記載されていますので、以前より対象かどうかも分かりやすくなっています。このマーク見たことはありませんか?


この特例を受けるためには、確定申告を行う本人が、その年の内にインフルエンザなどの予防接種や健康診断・がん検診などを受けている必要があり、以前は証明書の提出まで求められていたのですが、現在は書類の提出は不要となっています。

また、「医療費控除」を受けるか、この「特例」を受けるのかどちらがいいのか、日本一般用薬品連合会のHPでは簡単にシミュレーションできるようですので試されてみるのもいいかもしれません。

マイナポータルとの連携でより便利に

確定申告で医療費控除を受ける際には、ご自身で医療機関ごとにかかった費用等をまとめて入力する作業が必要でしたが、マイナンバーカードを健康保険証として紐づけしている方は、事前にマイナポータルと連携しておくことで「医療費通知情報」が自動で反映するのでより簡単に申告できるようになります。

ただし、「医療費通知情報」には保険適用外の費用など(自由診療分や整骨院での治療費など)は含まれていませんので、その分は追加する必要があります。忘れずに確認しましょう。

なお、政府は令和7年秋には、現在の健康保険証を廃止してマイナ保険証に一本化する方針を打ち出しています。福岡県では健康保険証として利用できるのは、1月15日時点で4,477件の医療機関・薬局となっています。
まだマイナンバーカードを作っていない方は、この機会に作成してみてはいかがでしょうか。
2023年2月末までに申請をしたら、ポイントももらえますよ。

終わりに

これまで医療費控除を受けたことがない方も「セルフメディケーション税制」で対象になるケースもあるかもしれません。
病院の領収証や薬局での薬代のレシート、医薬品の領収書(レシート)は、捨てずに一年分箱や封筒に入れるなどしてまとめて保管しておきましょう!!

また、所得税の還付申告は、5年間遡って行うことが出来ますので、もし昔の医療費控除を忘れていた場合でも、領収証があれば還付が受けられます。

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