2024/11/10
人生100年時代 ~知っておきたい「介護保険」の仕組み~
前回は、「介護にまつわるお金」についてお話ししましたが、今回は実際に親や自分に介護が必要になったいざという時に知っておきたい「介護保険」の仕組みについてお話しします。
老後はまだ先という現役世代の方も40歳以上になると介護保険に加入し、保険料の支払いが始まります。
今から確認してみませんか。
1 そもそも介護保険とは?
介護保険制度は、高齢化社会の進展や核家族が増えてきたのを背景に、介護を社会全体で支えることを目的として2000年に創設された制度です。
市町村が保険者となって運営されており、介護が必要な状態になったときに、市町村から認定を受ける必要があります。
給付の主な内容としては、介護サービスにかかった費用の1割(所得によっては2割、3割)を支払ってサービスが受けられる、「現物給付」が原則の制度となります。
40歳になると強制的に介護保険に加入することになりますが、年齢によって「第1号被保険者」、「第2号被保険者」の二つに分けられ、以下の区分のように受けられるサービスが異なります。
第1号被保険者(65歳以上の方)
原因に関わらず、介護認定や要支援認定を受けた場合、介護サービスを利用できます。
第2号被保険者(満40歳~満64歳で公的医療保険に加入している方)
老化が原因とされる16種類の「特定疾病」により、要介護(要支援)が必要な場合は介護サービスを利用できます。 ※交通事故などは対象外
(16種類の特定疾病の病名)
①がん(回復の見込みがない状態)、②関節リウマチ、③筋萎縮性側索硬化症、④後縦靱帯骨化症、⑤骨折を伴う骨粗鬆症、⑥初老期における認知症、⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病、⑧脊髄小脳変性症、⑨脊柱管狭窄症、⑩早老症、⑪多系統萎縮症、⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、⑬脳血管疾患、⑭閉塞性動脈硬化症、⑮慢性閉塞性肺疾患、⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
2 介護サービスを利用するためには
介護や支援のサービスを受けるためには、「介護や支援が必要である」とういう認定を受ける必要があります。
認定の基準は7段階で、介護が必要な状態の軽い方から順に、要支援1~2、要介護1~5の区分です。
【具体的な手続きの流れ】
①専門窓口に相談
まずはお住いの市町村の介護保険担当の窓口や地域包括支援センターに相談してください。
②要介護認定の通知
主治医の意見書や訪問による本人や家族から聞き取り等により、日常生活での自立や心身の状況などについての調査が行われ、介護が必要かどうかを判定されます。
申請から、原則30日以内に認定結果が通知されます。
③ケアプランの作成
本人や家族の状況などを踏まえて、どのような介護サービスを受けたいのか、受けた方がよいのかなどをケアマネージャーと相談しながら、ケアプランを作成します。
④介護サービスの利用開始
ケアプランにもとづいて、サービス利用開始となります。
3 利用できる介護サービスにはどんなものがあるのか
介護保険で利用できるサービスには、介護状態にならないように要支援1・2の方が受けられる「予防給付」と介護状態にあわせて要介護1~5の方が必要な支援を受けられる「介護サービス」があり、大きく3つに分けられます。
①在宅サービス
自宅で生活しながら受けるサービスで、介護施設への通所または一時的に入所して利用することもできます。
訪問介護(ホームヘルプ)、訪問看護、訪問リバビリ、訪問入浴介護や通所介護(デイサービス)、通所リハビリ(デイケア)、短期入所生活介護(ショートステイ)などがあり、福祉用具などのレンタルを受けることもできます。
②施設サービス
介護保険施設に入所して利用できるサービスで、要支援1・2の方は利用できません。
生活全般に介護が必要な人が利用する施設で特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護医療院などがあります。
③地域密着型サービス
住み慣れた地域で出来る限り、生活を続けるために提供されるサービスです。
定期巡回(訪問介護・訪問看護)、認知症の方が共同生活できるグループホーム、通いを中心にした小規模多機能型居宅介護などがあります。
4 介護サービスの利用料について
在宅での介護サービスを利用するときには、介護度(区分)に応じて1カ月当たりの支給限度額が設けられており、範囲内であれば、サービスにかかった費用の1割(所得によっては2割、3割)を負担します。
限度額を超えてサービスを利用する場合は、全額自己負担となります。
同じ月に利用したサービスの利用者負担の割合が高額(世帯合計額)になった場合には、所得区分により異なりますが、申請により定められた限度額を超えた分が後から払い戻される軽減制度(高額介護サービス費)もあります。
ただし、支給限度額を超えた利用者負担分などについては対象になりません。
<おもな在宅サービスなどの1カ月あたりの支給限度額>
5 終わりに
家族が転倒して骨折したり、お家の家事が少しずつ出来なくなったり、もの忘れが気になったりと不安を感じたら、まずはお住いの「地域包括支援センター」に相談してみましょう。
要介護(要支援)認定を受けていない場合でも利用できる介護の予防・日常生活支援のサービスなどもあるようです。
私の母が、今年の猛暑の影響等もあり、体力が落ちてきていたのをとても心配していたのですが、思い切ってケアマネージャーに相談して、通所のリバビリに週に2回通うことにしました。
まだ初めて約1カ月ほどですが、歩行が目に見えてしっかりしてきたので、やはり日々のちょっとした運動が大事なんだなと感じています。
CMでもフレイルというような言葉が頻繁に目にするようになってきました。
やっと過ごしやすい季節になりましたので、フレイル予防にウォーキングなど日々取り入れてみませんか。
前回は、「介護にまつわるお金」についてお話ししましたが、今回は実際に親や自分に介護が必要になったいざという時に知っておきたい「介護保険」の仕組みについてお話しします。
老後はまだ先という現役世代の方も40歳以上になると介護保険に加入し、保険料の支払いが始まります。
今から確認してみませんか。
1 そもそも介護保険とは?
介護保険制度は、高齢化社会の進展や核家族が増えてきたのを背景に、介護を社会全体で支えることを目的として2000年に創設された制度です。
市町村が保険者となって運営されており、介護が必要な状態になったときに、市町村から認定を受ける必要があります。
給付の主な内容としては、介護サービスにかかった費用の1割(所得によっては2割、3割)を支払ってサービスが受けられる、「現物給付」が原則の制度となります。
40歳になると強制的に介護保険に加入することになりますが、年齢によって「第1号被保険者」、「第2号被保険者」の二つに分けられ、以下の区分のように受けられるサービスが異なります。
第1号被保険者(65歳以上の方)
原因に関わらず、介護認定や要支援認定を受けた場合、介護サービスを利用できます。
第2号被保険者(満40歳~満64歳で公的医療保険に加入している方)
老化が原因とされる16種類の「特定疾病」により、要介護(要支援)が必要な場合は介護サービスを利用できます。 ※交通事故などは対象外
(16種類の特定疾病の病名)
①がん(回復の見込みがない状態)、②関節リウマチ、③筋萎縮性側索硬化症、④後縦靱帯骨化症、⑤骨折を伴う骨粗鬆症、⑥初老期における認知症、⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病、⑧脊髄小脳変性症、⑨脊柱管狭窄症、⑩早老症、⑪多系統萎縮症、⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、⑬脳血管疾患、⑭閉塞性動脈硬化症、⑮慢性閉塞性肺疾患、⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
2 介護サービスを利用するためには
介護や支援のサービスを受けるためには、「介護や支援が必要である」とういう認定を受ける必要があります。
認定の基準は7段階で、介護が必要な状態の軽い方から順に、要支援1~2、要介護1~5の区分です。
【具体的な手続きの流れ】
①専門窓口に相談
まずはお住いの市町村の介護保険担当の窓口や地域包括支援センターに相談してください。
②要介護認定の通知
主治医の意見書や訪問による本人や家族から聞き取り等により、日常生活での自立や心身の状況などについての調査が行われ、介護が必要かどうかを判定されます。
申請から、原則30日以内に認定結果が通知されます。
③ケアプランの作成
本人や家族の状況などを踏まえて、どのような介護サービスを受けたいのか、受けた方がよいのかなどをケアマネージャーと相談しながら、ケアプランを作成します。
④介護サービスの利用開始
ケアプランにもとづいて、サービス利用開始となります。
3 利用できる介護サービスにはどんなものがあるのか
介護保険で利用できるサービスには、介護状態にならないように要支援1・2の方が受けられる「予防給付」と介護状態にあわせて要介護1~5の方が必要な支援を受けられる「介護サービス」があり、大きく3つに分けられます。
①在宅サービス
自宅で生活しながら受けるサービスで、介護施設への通所または一時的に入所して利用することもできます。
訪問介護(ホームヘルプ)、訪問看護、訪問リバビリ、訪問入浴介護や通所介護(デイサービス)、通所リハビリ(デイケア)、短期入所生活介護(ショートステイ)などがあり、福祉用具などのレンタルを受けることもできます。
②施設サービス
介護保険施設に入所して利用できるサービスで、要支援1・2の方は利用できません。
生活全般に介護が必要な人が利用する施設で特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護医療院などがあります。
③地域密着型サービス
住み慣れた地域で出来る限り、生活を続けるために提供されるサービスです。
定期巡回(訪問介護・訪問看護)、認知症の方が共同生活できるグループホーム、通いを中心にした小規模多機能型居宅介護などがあります。
4 介護サービスの利用料について
在宅での介護サービスを利用するときには、介護度(区分)に応じて1カ月当たりの支給限度額が設けられており、範囲内であれば、サービスにかかった費用の1割(所得によっては2割、3割)を負担します。
限度額を超えてサービスを利用する場合は、全額自己負担となります。
同じ月に利用したサービスの利用者負担の割合が高額(世帯合計額)になった場合には、所得区分により異なりますが、申請により定められた限度額を超えた分が後から払い戻される軽減制度(高額介護サービス費)もあります。
ただし、支給限度額を超えた利用者負担分などについては対象になりません。
<おもな在宅サービスなどの1カ月あたりの支給限度額>
5 終わりに
家族が転倒して骨折したり、お家の家事が少しずつ出来なくなったり、もの忘れが気になったりと不安を感じたら、まずはお住いの「地域包括支援センター」に相談してみましょう。
要介護(要支援)認定を受けていない場合でも利用できる介護の予防・日常生活支援のサービスなどもあるようです。
私の母が、今年の猛暑の影響等もあり、体力が落ちてきていたのをとても心配していたのですが、思い切ってケアマネージャーに相談して、通所のリバビリに週に2回通うことにしました。
まだ初めて約1カ月ほどですが、歩行が目に見えてしっかりしてきたので、やはり日々のちょっとした運動が大事なんだなと感じています。
CMでもフレイルというような言葉が頻繁に目にするようになってきました。
やっと過ごしやすい季節になりましたので、フレイル予防にウォーキングなど日々取り入れてみませんか。
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