2017/09/10
賃貸物件売却時の消費税
7月3日に国税庁から平成29年分の路線価が発表されました。東京ではバブル期の路線価最高額を超え、福岡でも最高路線価の上昇率が10%を超えるなど路線価は上昇を続けています。
そんな中で所有している賃貸マンションの売却を検討する方からの相談が増えてきています。物件の売却時に関係する主な税金としては、利益に対する税金である所得税・法人税と、建物代金に対してかかる消費税とがあります。最近は物件の売却時には利益が出るケースが多く、売却益に対する所得税や法人税は避けられないものとなっていますが、消費税だけは売却の際に、次の3点を考慮に入れることで抑えることができます。
(1)免税事業者の間に売却する
消費税は、2年前の消費税の対象となる収入が1,000万円を超えている場合や前年の半年間の消費税対象の売上と人件費とが1,000万円を超えている場合に、その年の消費税を収める課税事業者となります。逆にこの条件に当てはまらない場合は免税事業者となりその年は消費税を納める必要はありません。
賃貸収入の場合、テナントの家賃に対しては消費税が発生しますが、最近の事例では平成27年は消費税対象の収入が1,000万円を超えていて、平成28年は1,000万円を下回った事例がありました。つまりその方の場合は平成28年の2年後の平成30年中の売却であれば免税事業者として建物の売却代金に消費税は発生しないことになります。 また、年末年始にかけての売買の相談があり、年明の決済とすることで消費税がかからなかったこともありました。
物件の売却の際は直近で免税事業者となれる年はないか確認しましょう。
(2)簡易課税制度を適用する
消費税の計算方法には二通りの方法がありますが、賃貸物件の売却の場合、簡易課税制度を適用できる年に売却することで消費税を抑えられることが多いです。仮に1億円で建物を売却する場合、通常ですと8%の消費税で800万円が納付する消費税になりますが、簡易課税の計算方法ですと、800万円の40%の320万円の納付で済みます。
簡易課税制度を適用するためには、前年末までに税務署へ届出を提出する等いくつか条件があります。物件の売却を考える場合は簡易課税制度を利用すると有利かどうかの検討をしましょう。
(3)建物の売却代金を交渉する
賃貸マンションを売却した場合、消費税は建物の売却代金部分に対してのみかかります。土地の売却代金については、消費税は非課税とされていますので発生しません。ということは、売買代金のうち建物の売買代金を低くすることができれば消費税も少なくできるということです。
それでは、建物の売買代金はどのように決まるのでしょうか。
親族間や同族会社間のような身内の取引ではなく、第3者間の取引の場合は売り手と買い手との話合いで決まるわけですが、売る側は消費税を抑えるためにできるだけ建物の価格を安くしたいと考えます。一方で購入する側は、建物の価格は減価償却費として経費に計上できるのに対し、土地の代金は経費に計上できないため建物の金額をできるだけ多くしたいと考えます。
最終的には、売り手と買い手の力関係(その物件を購入したい人が多ければ売り手の意見が通りやすいでしょうし、逆に購入したい人が少なければ買い手の意見が通りやすくなるでしょう)で決まります。
土地建物の按分方法について国税庁も(1)時価の比率による按分、(2)相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分、(3)土地、建物の原価を基にした按分といった方法を例示しています。
不動産売却の際は、売買代金の内訳について交渉できないか仲介会社に確認しましょう。
税金は知っているか知らないかで金額が大きく異なるケースがあります。不動産に詳しい専門家に相談しながら不動産投資のリターンの最大化を目指しましょう。
7月3日に国税庁から平成29年分の路線価が発表されました。東京ではバブル期の路線価最高額を超え、福岡でも最高路線価の上昇率が10%を超えるなど路線価は上昇を続けています。
そんな中で所有している賃貸マンションの売却を検討する方からの相談が増えてきています。物件の売却時に関係する主な税金としては、利益に対する税金である所得税・法人税と、建物代金に対してかかる消費税とがあります。最近は物件の売却時には利益が出るケースが多く、売却益に対する所得税や法人税は避けられないものとなっていますが、消費税だけは売却の際に、次の3点を考慮に入れることで抑えることができます。
(1)免税事業者の間に売却する
消費税は、2年前の消費税の対象となる収入が1,000万円を超えている場合や前年の半年間の消費税対象の売上と人件費とが1,000万円を超えている場合に、その年の消費税を収める課税事業者となります。逆にこの条件に当てはまらない場合は免税事業者となりその年は消費税を納める必要はありません。
賃貸収入の場合、テナントの家賃に対しては消費税が発生しますが、最近の事例では平成27年は消費税対象の収入が1,000万円を超えていて、平成28年は1,000万円を下回った事例がありました。つまりその方の場合は平成28年の2年後の平成30年中の売却であれば免税事業者として建物の売却代金に消費税は発生しないことになります。 また、年末年始にかけての売買の相談があり、年明の決済とすることで消費税がかからなかったこともありました。
物件の売却の際は直近で免税事業者となれる年はないか確認しましょう。
(2)簡易課税制度を適用する
消費税の計算方法には二通りの方法がありますが、賃貸物件の売却の場合、簡易課税制度を適用できる年に売却することで消費税を抑えられることが多いです。仮に1億円で建物を売却する場合、通常ですと8%の消費税で800万円が納付する消費税になりますが、簡易課税の計算方法ですと、800万円の40%の320万円の納付で済みます。
簡易課税制度を適用するためには、前年末までに税務署へ届出を提出する等いくつか条件があります。物件の売却を考える場合は簡易課税制度を利用すると有利かどうかの検討をしましょう。
(3)建物の売却代金を交渉する
賃貸マンションを売却した場合、消費税は建物の売却代金部分に対してのみかかります。土地の売却代金については、消費税は非課税とされていますので発生しません。ということは、売買代金のうち建物の売買代金を低くすることができれば消費税も少なくできるということです。
それでは、建物の売買代金はどのように決まるのでしょうか。
親族間や同族会社間のような身内の取引ではなく、第3者間の取引の場合は売り手と買い手との話合いで決まるわけですが、売る側は消費税を抑えるためにできるだけ建物の価格を安くしたいと考えます。一方で購入する側は、建物の価格は減価償却費として経費に計上できるのに対し、土地の代金は経費に計上できないため建物の金額をできるだけ多くしたいと考えます。
最終的には、売り手と買い手の力関係(その物件を購入したい人が多ければ売り手の意見が通りやすいでしょうし、逆に購入したい人が少なければ買い手の意見が通りやすくなるでしょう)で決まります。
土地建物の按分方法について国税庁も(1)時価の比率による按分、(2)相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分、(3)土地、建物の原価を基にした按分といった方法を例示しています。
不動産売却の際は、売買代金の内訳について交渉できないか仲介会社に確認しましょう。
税金は知っているか知らないかで金額が大きく異なるケースがあります。不動産に詳しい専門家に相談しながら不動産投資のリターンの最大化を目指しましょう。
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