税理士

あんしん税理士法人

安藤 眞哉

元住宅営業マンとしての経験を持つ税理士が、建設業・不動産業・設計事務所の開業・起業支援、会社設立・法人成り、開業時の融資から開業後の税務処理まで親切丁寧サポートいたします。出身校:中央大学法学部政治学科

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2017/11/10

仮想通貨(ビットコイン)の税金

最近、仮想通貨についてのニュースを見たり聞いたりすることがが多くなったと思いませんか。
仮想通貨はインターネット上の通貨のことで、通常の貨幣と同じように送金や買い物に利用できるだけでなく、株式の売買のように仮想通貨そのものを投資対象とすることもでき注目が集まっています。

ただ過去にいろいろな事件もあり、興味があってもなんだか怖くいから近づかないようにしようという感じではないでしょうか。そのようなの中、平成29年4月から「改正資金決済法」が施行され、仮想通貨取引所を運営している交換業者は登録制となり安心して利用できる体制も整ってきました。また、不明確だった仮想通貨の所得税の取り扱いについても国税庁から明確にされました。

(1)所得税法上の取り扱い

所得税の取り扱いについては、9月6日に国税庁のタックスアンサーを通じて取り扱いが公表されました。


つまり仮想通貨を使用することによる利益はほとんどの場合、雑所得になるということです。雑所得は、給与や不動産所得等と合計して計算される所得ですので、税金も超過累進税率が適用され、利益に対して所得税と住民税とで15%から55%の税金がかかります。これは、株の売買や配当の収入が分離課税として20%の税率で一律に課税されていることと比べると高い税金ですね。

(2)投資の利益

仮想通貨を利用することで利益が発生する場面としては2つあります。
一つは、この場合が当面一番多いと思いますが投資として仮想通貨を利用する場合です。仮想通貨は、取引所を通じて円と交換することで入手します。

仮に1ビットコイン(BTC)が100,000円の時に購入したとします。
それから3ヶ月後に1BTCが500,000円の時に売却して円に戻した場合はどうなるでしょう。

 

売却時 500,000円­−購入時 100,000円=利益400,000円

 

この利益400,000万円を雑所得として確定申告する必要があります。
逆に購入した時の価額よりも低い価額になってしまったような損をしてしまった場合はどうなるでしょうか。

 

売却時 300,000円−購入時 500,000円=損失▲200,000円

 

この場合、赤字ですので申告は必要ありませんし、雑所得の場合は他の給与や事業の所得と相殺することができません。

(3)使用することによる利益

もう一つの利益ですが、仮想通貨を使用して物を購入する時に発生する利益です。 1BTCが100,000円の時に購入していたビットコインがあったとします。
ビットコインは実際に買い物に使えるので、下のパソコンを購入したとします。


このパソコンは「0.1075BTC」で購入できるので、購入時の1BTCのレートが400,000円だったとすると、円換算で400,000円✖0.1075BTC=43,000円の商品ということになります。

それに対し元々1BTCが100,000円の時にビットコインを購入していましたので、実際に使用したビットコインは100,000円✖0.1075BTC=10,750円です。つまりこのビットコインを使ってパソコンを買うという取引により、

43,000円−10,750円=32,250円の利益を得たことになります。

言われてみれば当然のことのなですが、お金を使った時にも利益が発生するというのは忘れがちです。

私も仮想通貨の口座を開設し、試しに取引を行ってみましたが、開設してから約1ヶ月半での値動きがマイナス40%からプラス40%と株式投資では考えられないような値動きをしています。
仮想通貨の取引は、取引所から税務署への報告義務もいまのところありませんし、所得の計算方法も面倒な場合があります。FX取引で1億円超脱税し捕まった例がありましたが、仮想通貨についても同じことがおこりそうですね。

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