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楢原 寛子

主婦目線での家計の見直しや将来の生活設計・資金計画(ライフプランニング)を得意としています。 住宅購入やお子様の教育費、老後セカンドライフの充実など、相談者一人ひとりの将来叶えたい夢の実現に向け、ライフプラン作成などのお手伝いをしています。
CFP、FP1級技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
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2018/08/10

もしもの時「相続」について考える

自分や親が亡くなったあとにおこる相続について話をするのは、なかなかできないものですが、相続は誰にでも起こります。お盆で家族が集まるこの機会にもしもの時のことなど話をしてみませんか。

相続争いなんて関係ない!?

相続人が複数いて「相続争い」をする…ドラマなどで見る大金持ちだけの世界と思われがちですが、下のグラフのように遺産相続で争い(調停や裁判)になったケースの7割以上が遺産の額が5千万円以下で、約3割は1千万円以下となっており、実は身近に起きている問題なのです。

【争いとなった遺産の規模】

※平成28年度の遺産分割事件となった遺産価額のデータ(司法統計より)

遺産分割で争いに!?

遺産分割とは、簡単に言えば、相続人が複数人いる場合の財産の配分のことなのですが、たとえば財産が自宅の土地・建物だった場合には、公平に分けるのは難しいですよね。
その場合、自宅を売却してその代金を相続人で分ける「換価分割」と言う方法もあるのですが、なかなか先祖代々の土地・自宅を売るというわけには行かないのが現状だと思います。その場合、自宅を相続した者が他の相続人に自分の財産から金銭を渡す「代償分割」という方法がありますが、納得せずにもめるケースも増えてきているようです。

争いがなくても「空き家」が問題に

最近ニュースなどでも目にすることが増えたのが「空き家問題」です。総務省統計局(平成25年)の調べによると空き家数は全国で820万戸と、5年前に比べ、63万戸(8.3%)も増加しており、空き家率(総住宅数に占める割合)は13.5%になっているとのことです。
実家に誰も住まなくなっても所有しているだけで、固定資産税などの税金や管理費用がかかってきます。また、人が住まなくなると早く朽ちてしまうとよく聞きます。
実際に田舎にある私の祖母の家も空き家になっていて、大雨や台風の時に心配ですし、年に何回は親戚総出で庭の草刈や木の剪定などを行う必要があるなど維持管理に手間がかかっています。
また、立地にもよりますが、いざ空き家を売却したいと思ってもなかなか売れないという現状もあります。

相続に関する民法改正のポイント

今回、約40年ぶりに「相続」に関して大幅な民法改正があっております。今後、相続について話していく上でぜひ知っておいて頂きたいポイントをまとめてみました。

(1)遺言手続きの見直し

円満相続にするためには、事前に財産の分け方など自分の思いを伝えておくことが重要です。思いは「遺言」と言う形で残すことが一番なのですが、やはり従来の方法だとどうしても手間がかかるのとハードルが高いところがありました。
今回の民法改正で、「自筆証書遺言」を法務局で保管が出来るようになり、「財産目録」はパソコンでの作成が認められるなど、これまでより利用しやすくなります。

(2)配偶者の保護

長年連れ添った配偶者が生活に困らないようにするため、婚姻期間20年以上の配偶者から、贈与または遺贈(遺言で贈与の意思を示すこと)で譲り受けた住居(その敷地を含む)は、相続財産の遺産分割の対象から除外されることになりました。

このことにより、これまで住居を含めた相続財産を相続人で分けていましたが、配偶者に住居を贈与等している場合は、相続財産から外れ、残りの遺産を相続人で分けることになるため、実質配偶者はより多くの財産を取得できるように変わります。

(3)金融機関での「仮払い制度」の創設

相続が発生すると金融機関の口座が凍結されて引き出しが出来なくなっておりましたが、仮払い制度が創設され、一定金額までは他の相続人の同意を得ずに引き出し出来るようになっており、葬儀費用などもしもの際の支出に対応できるようになります。

円満相続にするために

ある弁護士の先生の話を聞く機会があったのですが、「遺言を書くのを先送りするのは、病院に行くのを先送りするようなもの。」とおっしゃっていたのが印象的でした。結局後回しにしてしまうと後で揉め事を生むかもしれません。「残された家族が争う」そんなことは想像したくないですよね。家族が集まる機会に、少し先の将来のことをぜひ話し合ってみませんか。

我が家もお盆やお正月など家族が集まった時にお墓はどうするのか、病気になった時にどこまで治療するのかを含めて話をしたことがあります。父はエンディングノートを記入しているようですが、まだ見せてもらったことはないので今年のお盆は、父とよく話し合って遺言を勧めてみたいと思います。

あわせて、日ごろから家族には感謝の気持ちを伝えておきたいですね。

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