小峰 裕子

(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表

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2018/05/10

相続と子どもの幸福

不動産と相続のアドバイザー、小峰裕子です。今回は相続バトルについて掘り下げてみます。

実は「相続?考えたくない」という賃貸不動産のオーナーさん、多いです。理由としては「我が家に(たぶん)問題はない(だろう)」という、楽観的な見通しによる先送りというのが大半のようです。
とは言っても相続税対策は勉強しており、それなりに取り組んでいらっしゃいます。ただ、子どもにとって相続税というのは払えるようにしておいてくれたらいい訳で、相続税でお子さん同士バトルを繰り広げることはありません。
それでは何が原因かというと、「どう分けるのか」という極めて即物的でわかりやすい利害が対立して、時に深刻な状況に陥るのです。
「どう分けるか」という話、あなたは息子さんや娘さんと話をしたことがありますか?

 

相続の始まりから相続税の申告と納税まで

配偶者に先立たれ、ついにあなたが亡くなると、相続手続は子どもだけで進めることになります。
どういう流れで手続きを進めていくのでしょうか。大まかな手順を確認してみましょう。

 

①期 相続の開始
亡くなる同時に、不謹慎ながら相続手続きにおいてはゴングが鳴ります。
葬儀が終わるやいなや役所への各種届け出や金融機関、生命保険など手続きに追われるようになります。何が何処にあるか、あなたが伝えていなければ相当大変です。
49日法要など親戚とのお付き合いも増え、悲しむ間もないほどです。子どもが遠方にいるならなおのことです。

②期 準確定申告
相続開始から4ヶ月までに、準確定申告をします。前年1月1日~12月31日のあなたの収入は確定申告で納税していますので、今年の1月1日から亡くなる日までに得た収入が対象となります。
さて、あなたが守り築いた財産が明るみとなるのがこの頃です。いよいよ「何をどう分けるか」の話し合いをすることになります。

③期 相続税申告・納税
誰がどの割合で相続するか法律で一応決まっていますが、話し合いで決めたときは話し合いが優先します。

話し合いがすんなりまとまれば、それを文書にします。これを「遺産分割協議書」と言いますが、相続人全員が署名、実印を押印して作成します。
この「相続人全員」というのがポイントで、あなたの戸籍を生まれた頃ぐらいまで遡って収集して、他に相続人(子ども)がいないかを調べます。誰も知らない相続人が発覚すると、遺産分割の話し合いは無効、やり直しです。
そのため、相続人の確定は亡くなってから日を置かず、早めに手をつけておいた方が賢明です。

なお、相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月しかありません。それまでに話し合いがまとまれば、その分け方で申告納税しますが、過ぎると延滞税などペナルティが生じてしまいます。それで、とりあえず法律で定められ相続分(法定相続分)で申告納税をし、後で話し合いによる相続分で申告し直すこともできます。

バトルはいつ始まるのか

相続で生じた問題はあなたではなく、子どもの問題です。
①の期間は手続きに追われていたり、親戚の手前もあるため、子ども同士いきなりバトルが始まるような事態はまれです。バトルが始まるかどうかは、②の準確定申告で財産の話が交わされるようになる頃が分かれ目です。
「他に隠しているのでは」「通帳残高の減り方がおかしい」というような話は良くありますし、それぞれが自分の分け前を腹づもりし出すのもこの頃です。もらうのが当たり前だという考え方(勘定)と、これまでの兄弟姉妹の間のちょっとした確執(感情)が、相続バトルをより深刻にします。
③になると、ほぼ決裂です。弁護士が登場するのもこの頃です。バトルがついに法律問題にまで発展するのです。

子どもを幸福にする相続にしよう

「なぜ、あんなことに?」と相続騒動を他人事と傍観しつつも、「自分は大丈夫だろうか」と不安にかられたら、出来ることことがひとつあります。それは元気な今、「何をどう分けるか」を子どもと話してみることです。子どもの方も間違いなく話したいと考えています。
お互いに話してみたら、全く違う考えがぶつかるかもしれません。子ども同士で言い合いが始まることもあるでしょう。
ただ、親の前でしてくれる分にはいいじゃないですか。分け方を再提案するなり、あなたは和解の手助けをしてあげることが出来ます。親がふたりとも天国に旅立ってしまったら、それも出来ません。
親子で、家族で話をして、出来ればその内容を公正証書で遺言にしておけば、なお安心できることでしょう。

自分が守り築いた財産は子ども達で分かち合い、幸せに暮らしてもらいたい、誰もがそうありたいと考えます。
事前の対策は充分ですか?そしてその対策は子どもを幸せにしますか?
お子さんを幸福にする、そんな相続を心から願います。

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