蔵茂 暉大

ファイナンシャルプランナー
長野県で生まれる。
大学時代は東北地方で過ごし、旅行会社への就職を夢見て独学で国家資格である「旅行業務取扱主任者」を取得するが銀行員だった父親の影響もあり大手地方銀行に就職。
旅行業界の知識も生かし現職では全国に顧客を持つ。

この執筆者の過去のコラム一覧

2025/01/10

イベリア半島旅行記

11月中旬、私はイベリア半島を中心に約2週間の旅をした。
今回はその旅行で感じたことや、我々日本人が学ぶべきこと等氣づきがたくさんあったので、それを皆さんにお伝えしたいと思っている。

世界最強パスポートを持つ国日本

ここでも何度か日本のパスポートは世界最強だとお話をして来た。
今回の旅行は、日々の出張やクレジットカード利用により貯まるマイルを期限が切れる前に消化しようという旅であり、毎年私の仕事の同僚と2人で行っている旅行である。

今年の行程は
東京→ドイツ、フランクフルト→バルセロナ→マドリード→セビリア→タリファ(スペイン)→タンジェ(モロッコ)→ジブラルタル(イギリス領)グラナダ→ポルトガルリスボン→フランクフルト→東京

とまあ無謀な旅だったわけなのだが、特にモロッコまで足を伸ばすことができたのも、ビザ免除国の数が世界最多の日本パスポートのおかげである。
モロッコには、イベリア半島の最南端のタリファというスペインの都市から高速船でなんと1時間で到着する。
1時間でモロッコに上陸した瞬間に、厳格なイスラム圏との文化の違いにただただ驚いた。

レンタカーでのもらい事故で知る国柄の違い

またスペインでは、レンタカーを大型バスにぶつけられるというなかなか体験できないトラブルもあった。
日本では、事故が起こったら警察に連絡して対応しないと保険利用に支障があるが、スペインでは車が通常通り走るなら事故連絡は原則要らない。
もちろんフルカバーの保険加入が条件であるが。

今回信号待ちで停止中に前方のバスが急にバックしてきて衝突し、バスの運転手は逆ギレして降りて来て文句を言い放って走り去ってしまった。
警察を呼ぶ余裕も無かったのだが、知らずに事故後レンタカーのオフィスに報告に行くと

何でそんなこと言いに来たの?
普通に車は走るんでしょ?

と言われてしまった。こんなにも国が違うとレンタカーの扱いも違うのかと感心した。

目的地の一つ、ジブラルタル

今回の旅行の主たる目的地の一つはジブラルタルだった。
ジブラルタルは写真にある切り立った岩山(ジブラルタルロック)がある場所で、スペイン継承戦争*1の時にイギリスに奪い取られた場所で、今も返還されておらず領有権争いが残っているという。


なかなか日本人は訪れない場所ではあるので、貴重な体験だった。
皆さんも是非世界一のパスポートを使って、なかなか日本人が訪れない場所にも積極的に旅して頂きたいと思う。
大航海時代後から衰退しはじめ、このスペイン継承戦争でスペインの衰退が確定的になったと言われている。

スペイン ポルトガルから学ぶべきこと

旅行の目的の一つに、大航海時代に栄華を極めたスペインとポルトガルの現在に

「今後の日本がどうなって行くのか」
「日本はどうしたらいいのか」

ヒントがあるのではないかと、それを探すということがあった。

スペイン、ポルトガルは、南米を中心に航海技術と軍事力背景に植民地を増やして行った。
植民地からの貴金属等の資源を手に入れ繁栄したが資源だけに頼り、そこで生まれた富を多額に軍事力増強につぎ込み、国内産業の発展を全く促進して来なかったことが衰退の原因と言われている。
今の日本は、同じような状況の入り口にいるのではないかと私は思う。

今はスペイン、ポルトガルともに、ユーロ導入によりヨーロッパ連合の経済上位国フランス、ドイツと同じ通貨を使用しているのでなかなか氣づかないが、ヨーロッパ連合内の経済、物価の差は歴然である。
そんなイベリア半島の2国はたくさんの世界遺産を持ち、今は観光大国となっている。


2023年のスペインの人口は4,500万人、年間観光客の数は8,500万人で、人口の倍近い観光客が押し寄せる。
日本は観光客の数はまだ3000万人ほどで、今年は大きく増えると言われているがまだまだな状況である。
スペインやポルトガルでは、とにかく観光スポットはすべて入場券が時間指定のネット予約で、10年前にスペインを訪れた時とは比べ物にならないほど、いろいろな観光インフラが整備されていた。

日本も世界と比較したら観光資源はかなり多い国の一つであるし、日本人は世界一外国人旅行客に優しくおもてなしをできるし、物価はかなり安い、物価が安すぎることはまた別の問題を生むが、それによって外国人旅行客は日本に来やすいことは確かで、日本の生き残り策の一つはやはり観光がキーワードになることは間違いないだろう。

皆さんも海外旅行に行かれる際、将来の日本のあり方を考えながら旅をしてみてはいかがだろうか?

*1 スペイン継承戦争(スペインけいしょうせんそう、スペイン語: guerra de sucesión española)は、18世紀初めにスペイン王位の継承者を巡ってヨーロッパ諸国間で行われた戦争(1701年 – 1714年)。また、この戦争において北アメリカ大陸で行われた局地戦はアン女王戦争と呼ばれる。

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