2025/01/10
令和7年度税制改正大綱と「年収の壁」
令和6年12月20日に令和7年度税制改正大綱が発表されました。
令和7年3月の国会で成立し、4月以降に施行になる見込みです。
今回の税制改正大綱については、発表になる前から、国民民主党が主張する「年収103万円の壁の178万円への引き上げ」を巡り、二転三転し、注目を集めていました。
(1)なぜ178万円が123万円に?
衆院選以後、「なぜ178万円?何を根拠に?」という誰もが思う疑問には、民放のテレビ番組などでも説明がなされるくらいに身近な話題となっていました。
ちなみに、最低賃金の上昇率が根拠ということでした。
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さて、そんな中、決まった税制改正大綱ですが、『税は国家なり』。
税体系のあり方は国家運営の根幹を形成する」という文章で始まり、次の3点を踏まえて税制のあり方を不断に見直すことが求められている、としています。
(1)持続的な経済成長を目指し、活力ある社会を構築するための環境整備を図ること。(設備投資の促進等)
(2)若者や現役世代を含め誰もが豊かさを実感できる、質の高い国民生活を実現すること。(所得向上、社会インフラの整備等)
(3)我が国を取り巻く厳しい国際環境や国際的要請を踏まえ、いわゆる安全保障及び経済安全保障の強化や地球温暖化対策等に取り組むこと。
税制改正大綱の2頁に、『賃上げと投資が牽引する成長型経済』への移行に対応し、またそれを更に発展させていくための税制改正を最重点事項とした」と記載されています。
それに沿った改正として、所得税の基礎控除等の見直し(年収の壁の引き上げ)があり、スタートアップへの投資促進を図り、NISA の利便性向上等を行う、等があります。
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では、具体的に「年収の壁の引き上げ」はどうなったのか、という事に触れていきます。
(A)所得税の基礎控除額を58万円にする。
(現行制度では48万円ですので、10万円の引き上げです。)
(B)給与所得控除額の最低ラインを65万円にする。
(現行制度では55万円ですので、10万円の引き上げです。)
(C)特定親族特別控除(仮称)を創設する。
(居住者が生計を一にする19歳以上23歳未満の親族等で、所得が58万円超123万円以下の場合に、段階的な控除(63万円~3万円)が創設されます。イメージとしては、配偶者特別控除のようなものかな、と考えます。)
上記の(A)と(B)で合わせて20万円の引き上げなので、「年収の壁は123万円」という事です。
「なぜ123万円なのか?」というと、適当に決めたわけではなく「物価上昇率を踏まえて」引き上げられたとのことです。(税制改正大綱4頁参照)
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(2)あきらめるのはまだ早い“178万円”
「178万への引き上げを3 党幹事長間で合意したはずでは?」という疑問がありますが、大綱には「自民党・公明党としては、引き続き真摯に協議を行っていく」と明記されていますので、引き続き熱心に見守っていきましょう。
また、この改正は、迅速な対応が図られており、令和7年から適用される、とのことで、「給与ソフトが間に合わない!定額減税に続き、ソフト会社が大変なのでは!!」と一瞬だけ頭をよぎりましたが、税制改正大綱の中に「令和7年は年末調整で対応」と記載がされ、源泉徴収税額表は令和8年1月1日以後に支払うべき給与等から改正されるようです。
ただ、この改正ですと、令和6年の12月にも自民党の方がメディアで語っていた「4割の国民しか納税していない」という、その4割の貴重な国民の満足感はほとんど得られないのではないでしょうか。
令和6年12月20日に令和7年度税制改正大綱が発表されました。
令和7年3月の国会で成立し、4月以降に施行になる見込みです。
今回の税制改正大綱については、発表になる前から、国民民主党が主張する「年収103万円の壁の178万円への引き上げ」を巡り、二転三転し、注目を集めていました。
(1)なぜ178万円が123万円に?
衆院選以後、「なぜ178万円?何を根拠に?」という誰もが思う疑問には、民放のテレビ番組などでも説明がなされるくらいに身近な話題となっていました。
ちなみに、最低賃金の上昇率が根拠ということでした。
さて、そんな中、決まった税制改正大綱ですが、『税は国家なり』。
税体系のあり方は国家運営の根幹を形成する」という文章で始まり、次の3点を踏まえて税制のあり方を不断に見直すことが求められている、としています。
(1)持続的な経済成長を目指し、活力ある社会を構築するための環境整備を図ること。(設備投資の促進等)
(2)若者や現役世代を含め誰もが豊かさを実感できる、質の高い国民生活を実現すること。(所得向上、社会インフラの整備等)
(3)我が国を取り巻く厳しい国際環境や国際的要請を踏まえ、いわゆる安全保障及び経済安全保障の強化や地球温暖化対策等に取り組むこと。
税制改正大綱の2頁に、『賃上げと投資が牽引する成長型経済』への移行に対応し、またそれを更に発展させていくための税制改正を最重点事項とした」と記載されています。
それに沿った改正として、所得税の基礎控除等の見直し(年収の壁の引き上げ)があり、スタートアップへの投資促進を図り、NISA の利便性向上等を行う、等があります。
では、具体的に「年収の壁の引き上げ」はどうなったのか、という事に触れていきます。
(A)所得税の基礎控除額を58万円にする。
(現行制度では48万円ですので、10万円の引き上げです。)
(B)給与所得控除額の最低ラインを65万円にする。
(現行制度では55万円ですので、10万円の引き上げです。)
(C)特定親族特別控除(仮称)を創設する。
(居住者が生計を一にする19歳以上23歳未満の親族等で、所得が58万円超123万円以下の場合に、段階的な控除(63万円~3万円)が創設されます。イメージとしては、配偶者特別控除のようなものかな、と考えます。)
上記の(A)と(B)で合わせて20万円の引き上げなので、「年収の壁は123万円」という事です。
「なぜ123万円なのか?」というと、適当に決めたわけではなく「物価上昇率を踏まえて」引き上げられたとのことです。(税制改正大綱4頁参照)
(2)あきらめるのはまだ早い“178万円”
「178万への引き上げを3 党幹事長間で合意したはずでは?」という疑問がありますが、大綱には「自民党・公明党としては、引き続き真摯に協議を行っていく」と明記されていますので、引き続き熱心に見守っていきましょう。
また、この改正は、迅速な対応が図られており、令和7年から適用される、とのことで、「給与ソフトが間に合わない!定額減税に続き、ソフト会社が大変なのでは!!」と一瞬だけ頭をよぎりましたが、税制改正大綱の中に「令和7年は年末調整で対応」と記載がされ、源泉徴収税額表は令和8年1月1日以後に支払うべき給与等から改正されるようです。
ただ、この改正ですと、令和6年の12月にも自民党の方がメディアで語っていた「4割の国民しか納税していない」という、その4割の貴重な国民の満足感はほとんど得られないのではないでしょうか。
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