2025/02/10
米国の財政リスクに要警戒!資産保全のために財政が健全な国に注目しよう
格付け会社のムーディーズ・レーティングスは、2024年9月24日に米大統領選後の米政府の信用リスクを分析したリポートを発表し、米国債の格下げの可能性を警告しました。
この背景には近年の米国の財政状況が悪化していることがあります。
米国は超党派の組織(議会予算局、以下CBO)を作って、議会の予算編成過程に必要な情報及び推計を議会に提供していますが、そのCBOは2024会計年度(2023年10月~2024年9月)の財政赤字について、前年度比13%増の1兆8340億ドル(約270兆円)との試算を示しました。
この赤字幅はコロナ前の約2倍近くになります。
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米国債格付け見通しに着目
ムーディーズは米国拠点の大手格付け会社であり、スタンダード&プアーズ(S&P)やフィッチ・レーティングスなどが米国債の信用格付けでAA+の評価(最上級の次の2番目)にしているのに対して、Aaaの最上級評価を維持してきました。
そのムーディーズが格下げの可能性を警告したことは、大変大きなインパクトがあります。
また、米国の債務残高のGDP比も23年時点の97%から34年には130%程度へ上昇する見通しで、また、2025年初めに恒例の債務上限問題を控えていることから、万一議会がねじれたりした場合には、米国債が一時的にテクニカル・デフォルト(債務不履行)状態に陥る可能性は否定できません。
テクニカル・デフォルトとは・・・債券の発行体が資金面では返済能力があるにもかかわらず、事務的な問題などで利払いや元本の償還が滞った状態になること。
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財政規律は守られているか
このような財政悪化は米国だけではありません。
日本についてはあえて説明をするまでもありませんが、新型コロナウイルスへの対応や国防費の増加、気候変動対策、経済対策などで各国の財政は悪化傾向にあります。
そのため今月(2024年10月)に国際通貨基金(IMF)は財政モニターで、世界の公的債務総額が今年末に100兆ドル(約1.5京円)を超えるとの試算を示し、今後も経済成長を上回るペースでの拡大を見込むことから、財政拡張を進める政治的な動きに警鐘を鳴らしています。
政府債務・財政の問題は、来年以降の世界経済の大きなリスクの一つとして考えておく必要があります。
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<債務残高の国際比較(対GDP比)> データ出所:財務省
そこで注目をしておきたいのが財政の健全性が高い国。
現在世界にはムーディーズ、S&P、フィッチの大手格付け3社から最上級評価(AaaまたはAAA)を得ている国は9ヶ国あります。
最上級評価をもらえるのは足元の財政状況が良いことに加え、政治的に安定をしていて、財政規律が守られる可能性が高いことが理由になっています。
各国の財政状況を分析し投資先の判断を
ご存知のように欧州連合(EU)については、加盟国に対して債務残高がGDP比60%を超える、あるいは予算年次ごとの財政赤字がGDP比3%を超える場合は債務残高を削減基調にすることを求める、厳格な財政ルールを設けています。
新型コロナウイルス対応のための一時的な基準緩和はありましたが、基本的に財政規律はしっかりとしていると考えていいでしょう。
また、スイスは政治的、経済的に世界で最も安定している国の1つで、一般政府の財政収支は2022年以降黒字で推移しており、国民の政府に対する信頼度も経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も高いと言われています。
そしてオーストラリアも歳出抑制の効果で、2023/24年度(24年6月まで)の財政収支が158億豪ドル(109億1000万米ドル)の黒字になるなど、2年連続の財政黒字を達成している財政状況が良好な国です。
経済発展が続くアジアに近く、豊富な鉱物資源を有している資源国であり、地理的にも経済的にも強みを持っています。
資産保全のための分散先として有力な選択肢の一つと思われます。
格付け会社のムーディーズ・レーティングスは、2024年9月24日に米大統領選後の米政府の信用リスクを分析したリポートを発表し、米国債の格下げの可能性を警告しました。
この背景には近年の米国の財政状況が悪化していることがあります。
米国は超党派の組織(議会予算局、以下CBO)を作って、議会の予算編成過程に必要な情報及び推計を議会に提供していますが、そのCBOは2024会計年度(2023年10月~2024年9月)の財政赤字について、前年度比13%増の1兆8340億ドル(約270兆円)との試算を示しました。
この赤字幅はコロナ前の約2倍近くになります。
米国債格付け見通しに着目
ムーディーズは米国拠点の大手格付け会社であり、スタンダード&プアーズ(S&P)やフィッチ・レーティングスなどが米国債の信用格付けでAA+の評価(最上級の次の2番目)にしているのに対して、Aaaの最上級評価を維持してきました。
そのムーディーズが格下げの可能性を警告したことは、大変大きなインパクトがあります。
また、米国の債務残高のGDP比も23年時点の97%から34年には130%程度へ上昇する見通しで、また、2025年初めに恒例の債務上限問題を控えていることから、万一議会がねじれたりした場合には、米国債が一時的にテクニカル・デフォルト(債務不履行)状態に陥る可能性は否定できません。
テクニカル・デフォルトとは・・・債券の発行体が資金面では返済能力があるにもかかわらず、事務的な問題などで利払いや元本の償還が滞った状態になること。
財政規律は守られているか
このような財政悪化は米国だけではありません。
日本についてはあえて説明をするまでもありませんが、新型コロナウイルスへの対応や国防費の増加、気候変動対策、経済対策などで各国の財政は悪化傾向にあります。
そのため今月(2024年10月)に国際通貨基金(IMF)は財政モニターで、世界の公的債務総額が今年末に100兆ドル(約1.5京円)を超えるとの試算を示し、今後も経済成長を上回るペースでの拡大を見込むことから、財政拡張を進める政治的な動きに警鐘を鳴らしています。
政府債務・財政の問題は、来年以降の世界経済の大きなリスクの一つとして考えておく必要があります。
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<債務残高の国際比較(対GDP比)> データ出所:財務省
そこで注目をしておきたいのが財政の健全性が高い国。
現在世界にはムーディーズ、S&P、フィッチの大手格付け3社から最上級評価(AaaまたはAAA)を得ている国は9ヶ国あります。
最上級評価をもらえるのは足元の財政状況が良いことに加え、政治的に安定をしていて、財政規律が守られる可能性が高いことが理由になっています。
各国の財政状況を分析し投資先の判断を
ご存知のように欧州連合(EU)については、加盟国に対して債務残高がGDP比60%を超える、あるいは予算年次ごとの財政赤字がGDP比3%を超える場合は債務残高を削減基調にすることを求める、厳格な財政ルールを設けています。
新型コロナウイルス対応のための一時的な基準緩和はありましたが、基本的に財政規律はしっかりとしていると考えていいでしょう。
また、スイスは政治的、経済的に世界で最も安定している国の1つで、一般政府の財政収支は2022年以降黒字で推移しており、国民の政府に対する信頼度も経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も高いと言われています。
そしてオーストラリアも歳出抑制の効果で、2023/24年度(24年6月まで)の財政収支が158億豪ドル(109億1000万米ドル)の黒字になるなど、2年連続の財政黒字を達成している財政状況が良好な国です。
経済発展が続くアジアに近く、豊富な鉱物資源を有している資源国であり、地理的にも経済的にも強みを持っています。
資産保全のための分散先として有力な選択肢の一つと思われます。
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