税理士

あんしん税理士法人

鹿田 幸子

福岡県出身。大学卒業後、大阪の会計事務所にて勤務。帰福後は、福岡の大手会計事務所に勤務し、幅広い業務に携わる。2007年税理士登録。2013年 12月安藤税理士事務所入所。2016年12月法人成(あんしん税理士法人)。社員税理士となる。かかりつけ医のような税理士を目指し日々研鑽中。
資格:税理士

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2026/01/10

令和8年度税制改正大綱について

毎年12月の風物詩、翌年度の税制改正大綱が令和7年においても12月19日に発表されました。
150ページにも及ぶ大綱の基本的考え方は、冒頭にあります。
「強い経済」「世界で輝く日本」の実現を目指す高市政権ですから、それに沿った決断と実行に向けた決意に満ち満ちた内容となっています。

まず、足元の物価高への対応として、物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みの創設があげられています。
また、長年にわたって据え置かれてきた税制上の基準額についての見直しを図るとのことです。

具体的には、マイカー通勤の通勤手当や従業員への食事の支給に関して、所得税が非課税になる限度額の見直しなどを行い、物価高への対応が行われています。
そして、物価高を超える賃上げの実現に向けて、「賃上げ促進税制」については中小企業に特化した形に見直されました。
それ以外の点について多くの人が関心を持たれていると思われる事柄に触れてみます。

(1)「178万円の壁」への引き上げによる手取りの増額

今回の大綱の目玉と言えるのでしょう。
いわゆる「103万円の壁」の大幅な見直しです。

課税最低ラインの引き上げが行われ、すべての納税者の、所得税の負担開始水準(所得税がかり始める年収ライン)が178万円とされました。

(2)住宅ローン控除の拡充

令和7年12月末で終了予定だった住宅ローン控除の適用期限が5年間延長されました。
子育て世帯・若年夫婦世帯に対する優遇措置が強化され、これまでの新築中心から質の高い中古住宅へと支援が広がっています。
控除期間や借入限度額の引き上げもなされています。

(3)相続税等の財産評価の適正化

貸付用不動産について、その市場価格と相続税評価額との乖離の実態を踏まえ、その取引実態を考慮し、次の2点が見直されました。

①5年ルールの導入
取得等から5年以内に相続が発生した場合には、これまでの「路線価」等による評価ではなく、通常の取引価額(時価)により評価することとされました。
これについては、課税上の弊害が無い限り、「実際の取引価額の80%によって評価することができる」とされています。

②不動産小口化商品は時価評価
いわゆる不動産小口化商品(信託受益権など)にかかる貸付用不動産については、取得の時期に関わらず、通常の取引価額(時価)により評価することとされました。

(4)少額減価償却資産の取得価額引き上げ

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象となる資産の取得価額が、現行の30万円未満から40万円未満に引き上げられます。

<雑感>

大綱は150ページありますので、これら以外にも多種多様な項目が並んでいます。
より良い国にしていくために、手当てすべきところは手当てし、見直すべきところは見直し、という考えが根底にあるのが伝わってきます。

税金における年収の壁が引き上がっても、社会保険の壁が引き下がっていくような状況ですので、働く意欲が高まるのかはわかりません。
また、相続直前に借金をして収益物件を買ってきたような定番の節税策は封じられ、長期所有を前提とした資産承継を考えていくことが必要になるのでしょう。

このように、将来の事は見えず・読めずですが、高市政権が発足してまだ2か月が経ったばかりでの税制改正大綱です。
期待を持って、温かく見守りたいと思います。

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