2026/05/10
認知症の4割は防げる? 日本人のための「14のリスク点検」
「認知症は予防できるのか」。
この問いに、かなり具体的な答えが出ました。
日本人の生活実態と認知症予防
今年1月、医学誌『ランセット』の関連誌に東海大学などの国際研究グループが論文を発表しました。日本の公的統計や疫学データを使って解析したところ、国内の認知症の38.9%、つまりほぼ4割は、理論上、予防や発症の遅延が可能だというのです。
大事なのは「日本人のデータで計算した」という点です。
これまでの世界標準の推計はグローバルデータが前提で、各国の生活実態が必ずしも反映されていませんでした。
今回の研究は日本人の有病率をもとに解析しており、私たちの日常に直結する結果が出ています。
特定されたリスク因子は14個。
寄与度が大きい順に見ていきましょう。

認知症リスク因子第1位「難聴」
第1位は難聴(6.7%)です。
「耳が遠くなるのは年のせい」と放置している人は多いのではないでしょうか。
ただ、難聴と認知症の関係は一本道ではなく、脳への情報刺激の減少、孤立の進行、認知負荷の増大など複数の経路が絡み合っています。
いずれにせよ、補聴器の使用が認知機能低下を抑える可能性を示すデータはあります。
問題は、日本では難聴を自覚している人のうち補聴器を使っているのが約15%にとどまることです。
他の高所得国と比べてもかなり低い数字なんです。
第2位「運動不足」
第2位は身体不活動(6.0%)。運動不足と言い換えてもいいでしょう。
便利な社会になるほど体を動かす機会は減り、脳への血流維持が難しくなります。
特別なスポーツでなくても、日々の散歩や家事が効いてきます。
脂質管理も影響する
第3位は高LDLコレステロール(4.5%)。
中年期からの脂質管理が将来の認知機能に影響します。
この因子が今回のランセット版リストに加わったのは2024年が最初で、比較的新しい知見です。
この3因子だけで全体の予防ポテンシャルの17.3%を占めます。
影響の大きさがわかるかと思います。

教育水準の恩恵は認知症予防にも
4位以下も見ておきたいところですが、ここは少し注意が必要です。
4〜9位の社会的孤立・糖尿病・高血圧・うつ病・大気汚染・喫煙はPAF(人口寄与割合)が2〜3%台と中程度。
それに対して、低教育歴・過剰飲酒・頭部外傷・肥満・視力低下は1.5%以下と相対的に寄与度が低い層に入ります。
「14因子を一列に並べてすべて同等に扱う」のは、正確ではありません。
一方、低教育歴(0.3%)が日本で影響が小さいのは、義務教育が広く浸透しているためです。
これは日本の教育水準の恩恵が、認知症予防という形で表れているとも言えるでしょう。
認知症発症を防ぐ「地味な取り組み」
では、これらのリスクを下げると実際どうなるのか。
論文では、14因子をすべて一律に10%減らすことができれば、全国で約20万8千人の認知症発症を防げると推計しています。
「たった10%の改善で」と言いたいところですが、正確に言うと、これはあくまで理論値です。
PAFという計算手法は「もしすべての因子に同時に介入できたら」という前提で成り立っています。
現実にそれを達成するのは容易ではありません。
それでも、どこに力を入れればいいかを優先順位とともに示した意義は大きいと思います。

認知症の予防というと、脳トレや特定のサプリメントが話題になりやすいですよね。
しかしこの研究が示しているのは、もっと地味な話です。
耳の聞こえを放置しない、体を動かす習慣を続ける、コレステロール値を管理する、孤立を避けて人と関わる。
どれも「言われたらそりゃそうだ」と思うことばかりで、目新しくはありません。
ただ、「日本人のデータで、これが具体的な数字として出た」というのは、同じ生活習慣の改善でも受け止め方が変わる根拠になります。
耳鼻科に行くのを先延ばしにしている人、定期健診でLDLの数値を見て見ぬふりをしている人。
そういった方に「難聴と認知症の関係は、実は日本では最大のリスク因子なんです」と言えるデータが、ようやく出てきました。
まず手が届くところから。
それが難聴なら耳鼻科へ。
運動不足なら今日の散歩から。
完璧にやろうとすると続きません。
10%の改善でも、積み重なれば話は変わってきます。
「認知症は予防できるのか」。
この問いに、かなり具体的な答えが出ました。
日本人の生活実態と認知症予防
今年1月、医学誌『ランセット』の関連誌に東海大学などの国際研究グループが論文を発表しました。日本の公的統計や疫学データを使って解析したところ、国内の認知症の38.9%、つまりほぼ4割は、理論上、予防や発症の遅延が可能だというのです。
大事なのは「日本人のデータで計算した」という点です。
これまでの世界標準の推計はグローバルデータが前提で、各国の生活実態が必ずしも反映されていませんでした。
今回の研究は日本人の有病率をもとに解析しており、私たちの日常に直結する結果が出ています。
特定されたリスク因子は14個。
寄与度が大きい順に見ていきましょう。

認知症リスク因子第1位「難聴」
第1位は難聴(6.7%)です。
「耳が遠くなるのは年のせい」と放置している人は多いのではないでしょうか。
ただ、難聴と認知症の関係は一本道ではなく、脳への情報刺激の減少、孤立の進行、認知負荷の増大など複数の経路が絡み合っています。
いずれにせよ、補聴器の使用が認知機能低下を抑える可能性を示すデータはあります。
問題は、日本では難聴を自覚している人のうち補聴器を使っているのが約15%にとどまることです。
他の高所得国と比べてもかなり低い数字なんです。
第2位「運動不足」
第2位は身体不活動(6.0%)。運動不足と言い換えてもいいでしょう。
便利な社会になるほど体を動かす機会は減り、脳への血流維持が難しくなります。
特別なスポーツでなくても、日々の散歩や家事が効いてきます。
脂質管理も影響する
第3位は高LDLコレステロール(4.5%)。
中年期からの脂質管理が将来の認知機能に影響します。
この因子が今回のランセット版リストに加わったのは2024年が最初で、比較的新しい知見です。
この3因子だけで全体の予防ポテンシャルの17.3%を占めます。
影響の大きさがわかるかと思います。

教育水準の恩恵は認知症予防にも
4位以下も見ておきたいところですが、ここは少し注意が必要です。
4〜9位の社会的孤立・糖尿病・高血圧・うつ病・大気汚染・喫煙はPAF(人口寄与割合)が2〜3%台と中程度。
それに対して、低教育歴・過剰飲酒・頭部外傷・肥満・視力低下は1.5%以下と相対的に寄与度が低い層に入ります。
「14因子を一列に並べてすべて同等に扱う」のは、正確ではありません。
一方、低教育歴(0.3%)が日本で影響が小さいのは、義務教育が広く浸透しているためです。
これは日本の教育水準の恩恵が、認知症予防という形で表れているとも言えるでしょう。
認知症発症を防ぐ「地味な取り組み」
では、これらのリスクを下げると実際どうなるのか。
論文では、14因子をすべて一律に10%減らすことができれば、全国で約20万8千人の認知症発症を防げると推計しています。
「たった10%の改善で」と言いたいところですが、正確に言うと、これはあくまで理論値です。
PAFという計算手法は「もしすべての因子に同時に介入できたら」という前提で成り立っています。
現実にそれを達成するのは容易ではありません。
それでも、どこに力を入れればいいかを優先順位とともに示した意義は大きいと思います。

認知症の予防というと、脳トレや特定のサプリメントが話題になりやすいですよね。
しかしこの研究が示しているのは、もっと地味な話です。
耳の聞こえを放置しない、体を動かす習慣を続ける、コレステロール値を管理する、孤立を避けて人と関わる。
どれも「言われたらそりゃそうだ」と思うことばかりで、目新しくはありません。
ただ、「日本人のデータで、これが具体的な数字として出た」というのは、同じ生活習慣の改善でも受け止め方が変わる根拠になります。
耳鼻科に行くのを先延ばしにしている人、定期健診でLDLの数値を見て見ぬふりをしている人。
そういった方に「難聴と認知症の関係は、実は日本では最大のリスク因子なんです」と言えるデータが、ようやく出てきました。
まず手が届くところから。
それが難聴なら耳鼻科へ。
運動不足なら今日の散歩から。
完璧にやろうとすると続きません。
10%の改善でも、積み重なれば話は変わってきます。
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