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久保 逸郎

老後のお金の不安を解消する、ライフプランと資産運用&資産管理の専門家
「90歳まで安心のライフプラン」を合言葉にして、豊かな人生の実現に向けたライフプラン作りの支援を行っている。
独立から約15年にわたり相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近い講演や、マネー雑誌やコラム等の原稿執筆を行うなど幅広く活動中。

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2026/08/10

金利急騰と株高の「危険な解離」 — 歴史的急騰と崩壊の予兆

いまの株高は「罠」かもしれない?金利急騰が告げる金融市場の地殻変動

足元の株式市場は非常に堅調に推移しており、日経平均株価や米国のS&P500指数をはじめとする主要株価指数が高値圏を維持するなど、市場には楽観的なムードが漂っています。
投資家の資産残高が増加し、一見すると極めて良好な投資環境に見えるかもしれません。

しかし、金融市場全体の地殻変動を俯瞰したとき、現在の楽観論には強い危険信号を察知せざるを得ません。
株式市場の未来を占う上で最も重要とされる債券市場(金利市場)において、日米ともに歴史的な金利急騰(債券価格の急落)が進行しているからです。

 

1ドル160円超えと原油高。日米で同時に進む「高金利定着」のリスク

金融の基礎的なセオリーにおいて、「金利上昇は株式市場にとって強い向かい風(下落要因)」です。
金利が上がれば企業の資金調達コストが増加し業績を圧迫します。
また、リスクを取らなくても安全な国債で高い利回りが得られるため、資金は株式から債券へシフトするのが通常です。
しかし現在、市場はこの大原則を無視し、株高と金利高が同時に進む「奇妙な共存」を見せています。
この歪みに対して、私たちは今、極めて強い警戒心を持つ必要があります。

 

足元のマーケットに目を向けると、この金利上昇の背景にあるリスクがより鮮明に浮き彫りになります。
中東情勢の激化を受け、ホルムズ海峡や紅海での輸送リスクから原油価格が急騰しました。
WTI原油先物は一時1バレル93ドルを超え、原油高に伴うインフレ懸念が再燃しています。
これに伴い、米10年物国債利回りは一時4.71%と約1年半ぶりの高水準を記録。
30年債利回りも5%台に突入しています。

さらに分析を深めると、名目金利の上昇を牽引しているのは物価予想(期待インフレ率)以上に「実質金利(物価連動債利回り)」の跳ね上がり(2.4%台)です。
実質金利の上昇背景には、米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢の維持に加え、人工知能(AI)関連投資の急増による経済の資金需要の高まり(自然利子率「Rスター」の切り上がり)が存在します。AIが経済を支える構造が変わらない限り、高金利環境の定着は避けられません。

 債券市場は知っている。ITバブルやリーマンショック前に起きていたこと

一方、日本市場も例外ではありません。
円相場が1ドル=163円台〜164円台手前という約40年ぶりの歴史的安値圏に突入する中、輸入物価の高騰が国内インフレを一段と押し上げています。
日銀の追加利上げ観測や国債増発懸念から、日本の10年物国債利回りは2.8%程度(約29年半ぶりの高水準)、2年債利回りは31年ぶり高水準、超長期の40年債利回りに至っては4%を超える急騰を見せています。
円安・債券安(金利高)・株安が同時に襲う「トリプル安」の危険すら隣り合わせの状況です。

過去の歴史的なデータと経験則は、金利急騰の後に何が起きるかを明確に物語っています。
米国30年国債利回りが臨界点を超えて上昇した局面では、一時的に株式市場が強く見えたとしても、その後に決定的な株価の急落や調整が訪れてきました。
1987年の「ブラックマンデー(世界株価大暴落)」の直前も、米国の長期金利は激しく急騰していました。
日本のタテホ化学工業による債券運用損失(タテホショック)等を契機に債券市場がパニックに陥り、それが一瞬にして世界株式の暗転へと波及したのです。

2000年のITバブル崩壊、2007年のリーマンショック、2020年のコロナショック、2022年の世界同時株安のいずれの局面でも、事前に金利の大幅な上昇や市場の変動が先行していました。
債券市場はプロの機関投資家が巨額資金を動かす場であり、経済の異常事態を株式市場よりも遥かに早く、正確に察知します。

 AIブームの過信は禁物!利払い負担で失速する前に知っておくべき対策

現在の株式市場は「AIブームによる成長力」や「ソフトランディング・シナリオ」といった都合の良いストーリーを信じ込んでいますが、全員が楽観視している瞬間にこそ、連鎖的な債券売りから株式の雪崩打つ崩壊が起こりやすいのです。
特にAI関連企業はデータセンター建設や先端半導体の確保といった莫大な設備投資を行うため多額の負債(有利子負債)を抱えているケースが多く、今回の金利上昇に伴う利払い負担の増加は今後の業績を直撃する極めて大きなリスク要因となります。
バリュエーション面での割高感も相まって、これらAI・大型ハイテク株を中心に、ポートフォリオのリスク管理と警戒を最大限に高めるべき時が来ています。

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