(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2026/09/10

震災を乗り越え進む九州!だからこそ知ってほしい空き家のリアル

熊本地震により被災されたすべての皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
九州新幹線も9月18日には全線再開の見通しだそうです。美味しいものや温泉にも恵まれた九州をぜひ訪れて頂きたいと思います。

魅力あふれる九州、その裏で静かに進む危機

そんな自慢の九州ですが、空き家は増加の一途をたどり続けています。
総務省発表の「住宅・土地統計調査」を元に、九州7県の空き家率を賃貸用や売却用を除いた、いわゆる「放置空き家」に絞って抽出。改めてデータを分析したところ、深刻な地方問題が浮かび上がってきました。
九州全県で増加し続ける放置空き家(グラフ参照)ですが、「空き家総数に占める放置空き家の率」は鹿児島が全国1位と、衝撃の実態が明らかになったのです。(一覧データ表参照)

「放置空き家の数」だけで言えば、福岡(12.4万戸)鹿児島(12.0万戸)とほぼ変わりません。
ただ福岡県の場合、空き家総数に対する放置割合は37.0%と、47都道府県中43位で健全な状態にあります。
この中身は、空き家の大半が「次の入居者を待っている賃貸用または売却中の物件」だと推察します。それが鹿児島県の場合、「3軒に2軒(66.7%)は市場に流通しないまま放置されている状態」という、極めて深刻な状況にあるのです。

迫られる「貸すか売るか」の決断。動き出す自治体の空き家対策

このような実態に、国や地方自治体も対策を急いでいます。
住生活基本計画にも「相続空き家」の増加が指摘され、流通させる取り組みの推進が明記されました。

そして大阪府寝屋川市は、固定資産税の額にさらに『その35%相当額』を上乗せする独自の『空き家税』条例を全会一致で成立させ、さらなる対策に踏み込みました(2026年7月成立)。

国が放置空き家への規制を強化する中、今後は同様に空き家税を課す自治体が全国に増えることも十分に考えられます。
これにより、空き家の所有者は「貸すか売るか」の決断を迫られることになるわけですが、ここで見落としてはならないのが「売りたくても売れない空き家」のリアルな存在です。

実家が「売るに売れない」家になる5つの罠

放置空き家の多くは親が元々住んでいた家、つまり実家です。
実家は相続問題などが複雑に絡み合い、長い間空き家になっていることが多いです。
典型的なのは次のようなケースです。

誰が相続するか話がまとまらない。
相続人の共有名義になっていて、売却の意思がまとまらない。
・相続人の中に行方不明者がいる。
・相続人の中に判断能力が十分でない人がいる。
・隣地との境界が未確定、接道がない、再建築不可など「難あり土地」である。

こうしたケースは、空き家税を課したとしてもすぐには流通しないと思われます。
なぜなら相続という法務問題しかり、難あり土地は買い手が付きにくいか限定されたりするからです。

法務面での問題は、相続が来る前に家族で話し合いをしていれば解決していたかもしれません
また難あり土地も相続が来る前に専門家に相談しておけば把握できたかもしれません。
訴えたいのは「相続が来る前に」対処することが実家を空き家にしない唯一の現実解だということです。

大好きな故郷を守るため「終活」の輪を九州に

九州各県どこもお勧めですが、中でも鹿児島は食材の豊かさと桜島の雄大な眺め、歴史、そしていつ訪れても私たちを温かく迎えてくれる大好きな県です。
それだけに良くなって欲しいと切に願います。
人口減少と高齢化がダイレクトに影響しているのはもちろんですが、まず親世代が終活に向き合うことが放置空き家対策の基本ではないかと考えます。

私たち大洋不動産は「終活マインズふくおか」メンバーの一員として「エンディングノート書き方教室」を始めとした終活の取り組みを推し進めています。
嬉しいことに鹿児島でも「終活マインズかごしま」が誕生、「終活マインズ北九州」「終活マインズ春日」も続くなど、志を同じくする仲間の輪が広がりつつあります。
親が今も住むその家を、子世代から何か言うのは気が引けるもの。スタートは親世代からです。
各地でお気軽にご参加頂き、終活の、そして親子で話すきっかけにして頂ければと思います。

なお、空き家管理も可能な範囲で行っていますのでご相談ください。
定期的な通風、水回りの通水もですが、近隣トラブルになりやすい庭木の管理にも効果的です。
こうしたサービスを行う企業やNPOも増えており、公民連携で放置空き家の解消に取り組んでいくことを願っています。

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