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久保 逸郎

老後のお金の不安を解消する、ライフプランと資産運用&資産管理の専門家
「90歳まで安心のライフプラン」を合言葉にして、豊かな人生の実現に向けたライフプラン作りの支援を行っている。
独立から約15年にわたり相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近い講演や、マネー雑誌やコラム等の原稿執筆を行うなど幅広く活動中。

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2018/12/10

投資信託の基準価額や分配金が下がった時の対処法

老後のお金の不安解消アドバイザーの久保逸郎です。

米中貿易摩擦の影響で不安定な市況が続いています。IMF(国際通貨基金)の最新の世界経済見通し(2018年10月発表)でも、この米中貿易摩擦問題への懸念等を理由に、今年と来年の成長率の見通しをそれぞれ0.2ポイントずつ引き下げられています。
米国と中国の経済規模の差を踏まえると、もはや中国に残された手段はほとんど残っていないと言えるので、最終的には米国のトランプ大統領の思惑次第という形になっていくことでしょう。

マーケット参加者が最も嫌うのは不透明感であり、実体経済への影響が見通せない現状では、慎重なスタンスを取らざるを得ません。
この米中貿易摩擦問題以外にも、英国のEU離脱がどのような形で収まるか、ドイツ銀行などの欧州の金融機関の経営への懸念などいくつか不安材料が残されているため、しばらくは変動性(ボラティリティ)の大きい市況が続くのではないでしょうか。
株式市場においても、ある程度調整が入ることを覚悟しておいたほうが良さそうですね。

とくに高齢者や投資初心者の投資手段として使われることが多い投資信託の場合、基準価額の下落はもちろんですが、マーケットの反転に備えてファンド内の資産を確保しておく狙いなどから、分配金を引き下げるケースが多くなってきています。
分配金が下がったことを「投資が上手くいっていない」「将来性が無い」と考えてしまう投資家が多いのですが、投資信託というのは基本的に長期投資を前提に考えるべきものですし、運用会社も長期のスタンスで投資を行っています(一部のファンドや、指数に連動するETFやインデックスファンドを除く)。
そのため目先の動きに右往左往するのではなく、資産運用は投資先の「成長の果実を受け取るもの」と考えて、長期的な視点で考えなくてはいけません。
そして下落局面の対処法ですが、基準価額が大きく下落してしまったり、または分配金が減少した場合ですが、投資家が取れる方法は基本的に下記の3つしかありません。

1.継続保有

そのまま持ち続けることです。
この継続保有を選択する場合に気を付けておかなくてはいけないのが、足元の投資環境が悪かったとしても、投資対象が将来有望なのかどうかということです。
将来性が乏しい投資対象のものをいくら継続して保有し続けたとしても、なかなか良い結果には繋がらないものですし、それこそ売るに売れなくなってしまって「塩漬け」にすることになってしまいます。

2.追加購入

保有している投資信託が割安水準にあると考えるなら、追加購入も視野に入れましょう。
基準価額が下がったタイミングで追加購入することは、平均購入単価を引き下げることにもつながります。
但し、継続保有と同じように、投資先の将来性の見極めを行う必要があります。
また、下がったものを追加購入するのは勇気がいることなので、知識的な裏付けや経験がないと難しいかもしれません。

3.売却

投資対象が将来有望でない場合や、自身の運用方針に変更がある場合は売却を検討しましょう。
売却することで一旦損失を確定することになってしまうかもしれませんが、他に有望な投資先がある場合は、そのまま継続保有しておくよりも切り替えたほうが賢明です。
しかし、多くの投資家が一旦損失を確定することを嫌います。
そのため売却の判断がつかないまま放置してしまうことが多いものです。

どの選択を行うにしても、投資先の将来性の見極めが大切になってきます。
「投資は自己責任が原則」ですから、日頃から新聞やニュースなどでの情報収集を欠かさないようにししましょう。

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