2016/12/10
分散投資ではなく、分散投機になってしまっていませんか?
ファイナンシャルプランナー(FP)の久保逸郎です。
日頃から全国各地で資産運用について講演をさせていただいていますが、多くの投資家がリスクを減らして値動きを抑えるために、分散投資が必要であることはある程度は理解しているように思います。
しかし、その一方できちんとした分散投資ができている方は大変少ないのが現状です。
分散投機になってしまっていることが多い
以前に長崎県の銀行で講演をさせていただいた時には、高齢の男性が「私は日本株式も米国株式も中国株式も持っていて、ちゃんと分散投資をしている」と自信満々で言われていました。
しかし、残念ながら日本株式と米国株式や中国株式の相関係数は0.7~0.9程度(相関係数が1に近ければ近いほど似た値動きになる)と非常に高く、これらは同じような値動きをする典型的な組み合わせです。
これらの資産に分散して投資を行っても、分散投資によるリスクの低減効果はほとんど期待することができません。
また、先日来られた相談者は「分散投資を行うために、ひふみ投信と鎌倉投信・さわかみ投信の3つの投資信託に投資をしている」と言っていました。
この方と同じように、マネー雑誌などで取り上げられることが多く、人気のある独立系運用会社ばかりに投資をされている方は年々増えてきています。
良さそうな商品ばかりを選んでいってしまった結果であると思います。
独立系運用会社は比較的運用成績が良いファンドが多いので、これらを選択することを間違いであるなどと言うつもりはありません。
私がこの方に問題点として指摘したことは、日本株式に投資を行う商品ばかりを選んでしまっている点です。
この相談者の場合は投資している資産の約95%が日本株式に集中させてしまっていました。
講演で質問を受ける時や、終了後に参加者と話しをさせていただくと、投資家本人は分散投資を行っているつもりでも、実際は上記のような分散投機といえるような状況に陥ってしまっているケースが大変多くて残念な気持ちになります。
異なる値動きをする資産の組み合わせが重要
分散効果を出すためには値動きの異なる資産を組み合わせることが大切になります。
例えば日本株式と異なる値動きをする資産といえば、近年の相関係数を分析すると日本国債、為替ヘッジ付先進国債券、それに金が挙げられます。
日本国債は低金利で魅力に欠けますし、金には利息を生まないという欠点があるので、私の場合は日本株式には為替ヘッジ付先進国債券を組み合わせることが多いですね。
ここで実際に日本株式(TOPIX)と為替ヘッジ付先進国債券ファンドを50%ずつ組み合わせた場合の分散効果を確認してみましょう。
上記の割合で組み合わせたケースは赤色の線ですが、日本株式に比べて値動きが抑えられていることがわかるのではないでしょうか?
このグラフは縦軸がリターン(収益率)で、横軸はリスク(標準偏差)を表したものですが、日本株式だけを保有する場合に比べてリターン(収益率)は約2%下がっていますが、それよりもリスク(標準偏差)のほうがほぼ半減していることに着目してください。
このように値動きの異なる資産を組み合わせることで、高い分散効果を出すことができるのです。
各資産の相関関係は時間とともに変化していくので分散効果の出る資産の組み合わせを考えていくのは大変ですが、しっかりとした分散投資を行うことでリスク要因の分散やリスクの低減効果はもちろん、リスクとリターンのバランスが良くなって効率的な資産運用を行うことに繋がっていきます。
ぜひ工夫をしながらやってみていただきたいと思います。
ファイナンシャルプランナー(FP)の久保逸郎です。
日頃から全国各地で資産運用について講演をさせていただいていますが、多くの投資家がリスクを減らして値動きを抑えるために、分散投資が必要であることはある程度は理解しているように思います。
しかし、その一方できちんとした分散投資ができている方は大変少ないのが現状です。
分散投機になってしまっていることが多い
以前に長崎県の銀行で講演をさせていただいた時には、高齢の男性が「私は日本株式も米国株式も中国株式も持っていて、ちゃんと分散投資をしている」と自信満々で言われていました。
しかし、残念ながら日本株式と米国株式や中国株式の相関係数は0.7~0.9程度(相関係数が1に近ければ近いほど似た値動きになる)と非常に高く、これらは同じような値動きをする典型的な組み合わせです。
これらの資産に分散して投資を行っても、分散投資によるリスクの低減効果はほとんど期待することができません。
また、先日来られた相談者は「分散投資を行うために、ひふみ投信と鎌倉投信・さわかみ投信の3つの投資信託に投資をしている」と言っていました。
この方と同じように、マネー雑誌などで取り上げられることが多く、人気のある独立系運用会社ばかりに投資をされている方は年々増えてきています。
良さそうな商品ばかりを選んでいってしまった結果であると思います。
独立系運用会社は比較的運用成績が良いファンドが多いので、これらを選択することを間違いであるなどと言うつもりはありません。
私がこの方に問題点として指摘したことは、日本株式に投資を行う商品ばかりを選んでしまっている点です。
この相談者の場合は投資している資産の約95%が日本株式に集中させてしまっていました。
講演で質問を受ける時や、終了後に参加者と話しをさせていただくと、投資家本人は分散投資を行っているつもりでも、実際は上記のような分散投機といえるような状況に陥ってしまっているケースが大変多くて残念な気持ちになります。
異なる値動きをする資産の組み合わせが重要
分散効果を出すためには値動きの異なる資産を組み合わせることが大切になります。
例えば日本株式と異なる値動きをする資産といえば、近年の相関係数を分析すると日本国債、為替ヘッジ付先進国債券、それに金が挙げられます。
日本国債は低金利で魅力に欠けますし、金には利息を生まないという欠点があるので、私の場合は日本株式には為替ヘッジ付先進国債券を組み合わせることが多いですね。
ここで実際に日本株式(TOPIX)と為替ヘッジ付先進国債券ファンドを50%ずつ組み合わせた場合の分散効果を確認してみましょう。
上記の割合で組み合わせたケースは赤色の線ですが、日本株式に比べて値動きが抑えられていることがわかるのではないでしょうか?
このグラフは縦軸がリターン(収益率)で、横軸はリスク(標準偏差)を表したものですが、日本株式だけを保有する場合に比べてリターン(収益率)は約2%下がっていますが、それよりもリスク(標準偏差)のほうがほぼ半減していることに着目してください。
このように値動きの異なる資産を組み合わせることで、高い分散効果を出すことができるのです。
各資産の相関関係は時間とともに変化していくので分散効果の出る資産の組み合わせを考えていくのは大変ですが、しっかりとした分散投資を行うことでリスク要因の分散やリスクの低減効果はもちろん、リスクとリターンのバランスが良くなって効率的な資産運用を行うことに繋がっていきます。
ぜひ工夫をしながらやってみていただきたいと思います。
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