(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2019/01/10

遺言と時間のプレゼント

明けましておめでとうございます。
いつもお読み頂きありがとうございます。本コラムもおかげさまで3年目、ひとつの幸せが十も二十にもなりますように。
「しあわせ倍増コラム」を本年もご愛読賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

平成も残すところ4ヶ月。
近頃は生前対策の重要性を理解下さる方が増えるに伴い、遺言作成のお手伝いをさせて頂くことが増えてまいりました。

遺言執行者

昨年末のことです。初めて遺言執行者の任を負わせて頂くことにいたしました。
遺言執行者というのは耳慣れないかもしれません。
簡単に言うと、相続人に代わって遺言の内容通りに事務手続きを行う者のことで、遺言の中で指定することができます。
それこそ平成の世がスタートした30年前、まさか自分が相続に関わるような仕事をするとは想像もしていませんでしたが、不動産を通じて関わるご家族の安堵の笑顔はわたしの喜びであり、ちょっと格好良く言えば仕事のエンジンです。

まず心配事のご相談からはじまり、お話の内容とご希望から「どうしたら想いが実現するのか」を確認し合います。それが「遺言」である場合、必要事項を注意深くお聴きして素案を作成、適任の専門家をコーディネートして繋ぎます。
最後、公証役場まで専門家と共に同行させて頂きますが、窓口となるのは一貫してコーディネーターです。
今回、打ち合わせを重ねながら「引き続きお手伝いをさせて頂きたいと思いますが、いかがですか」と、遺言執行者のご説明をさせて頂いたのは自然な流れでした。

相続手続は煩雑で苦労が多い

もちろん、遺言執行者を付けなくても遺言は有効です。
ただ遺言の存在で「名義変更」や「預貯金の解約」など煩雑な相続手続きが不要になるわけではありません。
別途書類を要求されることも多く「誰がそれをやるのか」集めることだけでも一苦労。


「私たちに代わって手続きをする人を指定してくれていた」
相続人であるお子さん達にとっては、親亡き後に受け取る時間のプレゼントかもしれません。

絶対必要な場合とできれば必要な場合

遺言では、暴力や暴言の限りをはたらいた相続人から相続人の地位を奪う「相続人の廃除」、そして「子どもの認知」を内容とすることも出来ますが、この2つは遺言執行者しかその手続きをすることができません。
では、「長年お世話になった(相続人ではない)○○に○○の土地建物を(または○○銀行の預貯金○千万円、など)遺贈する」という遺言はどうでしょう。手続きを行うのは「相続人と、遺産をもらう人」です。
協力して行わなければなりませんが、スムーズに進まないことも考えられます。
できれば遺言執行者の指定が望まれる内容です。

心配事をなくして笑顔を増やそう

このように、遺言執行者を指定しておくと確実に遺言の内容が実現するばかりか、手続きがスピーディーに進みます。
基本的に未成年者や破産者を除いて、遺言執行者は親族もなることができます。
ただ、預貯金の分け方のやその割合が理由となり、余計な緊張関係が生じてしまうことも多いと聞きます。
利害関係のない公平な立場の第三者を指定した方が、無用なトラブルを生まずに済みそうです。
執行者を誰とするかは遺言の内容次第、適任者の判断も含めてお話は慎重に伺います。

人生は砂時計、終わりは自分にも分かりません。
老い支度や終活について考えてみる。心配事がなくなれば笑顔が増えますよ。
「1年の計は元旦にあり」
キッカケは、幸せのはじまりなのです。

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