医学博士

広橋整形外科医院

廣橋 昭幸

昭和35年生まれ 久留米大学医学部卒業。久留米大学整形外科医局に在籍し、関連病院・大学病院で勤務後、公立八女総合病院整形外科医長。久留米大学整形外科講師を経て、平成17年より実家である福岡市中央区谷「広橋整形外科医院」で診療。こどもから高齢者までを対象に地域医療に携わっています。

医学博士 日本専門医機構・整形外科専門医・日本整形外科学会・スポーツ認定医、脊椎脊髄認定医、リハビリテーション認定医、リウマチ認定医

〒810-0031
福岡市中央区谷1丁目16-38
広橋整形外科医院
TEL 092-712-1454

この執筆者の過去のコラム一覧

2019/04/10

ザ・腰痛

腰痛は、肩こりと並んで日本人に一番多い訴え。
人は誰しも一生のうち一度は「腰が痛い」と感じると言われているほどです。

腰痛の下地は便利な生活にある?

その背景には、現代人は、歩くことが少なくなり、椅子に座って過ごす時間が長くなった...と言う生活様式の変化がありそうです。
たとえば、職場ではパソコン作業、家でも椅子やソファーに腰掛けてテレビ見たり、食事したり、外出にも車を使い・・・多くが坐ったままで事足りる...そんな便利な生活です。
そのため、直立二本歩行という人類特有の姿勢を支えてきた筋肉達が弱体化していきます。

立っているときは背筋が緊張し、腹筋がバランスをとる形で背骨を真っ直ぐ支えています。
歩いているときには腹筋と背筋が同時に働いているのではなく、背筋が働いているときに腹筋は休み、腹筋が働いているときに背筋は休む...交互に働いています。
更に、股関節を伸ばす殿筋も立位を保つように働いています。
座位ではこのような筋肉は活動しませんから、エネルギーの消費から言えば楽かも知れません...。
しかし、腰の椎間板(背骨の間にある軟骨=クッションのような働きをしています)にかかる圧力は立っているより座っているほうが30%高いのです。
座ることが多い生活になり、腹筋や背筋は弱体化し、椎間板に負担が増える...つまり、腰痛の下地は揃った...ということです。

座り方で腰痛に?

寝ている状態では椎間板や筋肉にはストレスのない状態なのですが、寝てばかりもいられません。
腰の負担が少ない椅子の形状は、座面の傾斜10°(膝の方が高い)、背もたれが115°以上が寝ている状態に近くなり理想なのですが、しかし、これでは仕事ができません。
そこで、仕事中は座面3〜5°、背もたれ105°にできると今より腰の負担も少なくできるようです。

多いのは、骨盤が後ろに倒れた座り方。
楽に感じられる半面、骨盤に連動する脊柱がたわむため、腰椎の圧迫につながります。
さらに、首回りの筋が、たわんだ脊柱の上にある頭部を持ち上げるために緊張し続けて、肩こりを招きやすい。
このような座り方を続ければ、おのずと腰痛になります。

また、同じ姿勢を長時間続けることも腰にとってよくないようです。
たまに脚を組んでみたり、斜めに座ってみたり(これを長時間続けるのはNG)、あるいは立ち上がって腰の筋肉を動かしたり、足や背筋をストレッチしたり...

腰の負担軽減大作戦!

病院にたまに来て10−15分治療したってね(笑)毎日が大切です。
腹筋・背筋にはウォーキング。
楽な姿勢で、好きなスピードで...続けることが大切です。(コラム 第13回「運動で予防」の項を参照ください)

寝るときも同じ、ベッドのマットが柔らかすぎると背中やお尻が沈み込みうまく動けません。
朝起きたときに腰に違和感を感じるのはそのためかも知れませんね。
硬いマットの方がお尻の沈み込みも少なく、同じ姿勢をとることが少なく腰にとっては負担が少ない。
簡単に寝返りできるくらいがよいようです。子どもは寝ているときによく動きますからね。

人生の1/3〜1/4は寝ているわけですから、週に1度くらいしか乗らない車に大金をかけるより、ベッドにお金をかけたほうがいいような気もしますね。

こんなもの作ってみました。
https://hirohashiseikeigeka.wixsite.com/mysite

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