蔵茂 暉大

蔵茂 暉大

ファイナンシャルプランナー
長野県で生まれる。
大学時代は東北地方で過ごし、旅行会社への就職を夢見て独学で国家資格である「旅行業務取扱主任者」を取得するが銀行員だった父親の影響もあり大手地方銀行に就職。
旅行業界の知識も生かし現職では全国に顧客を持つ。

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2019/07/10

なぜ日本人は世界から嫌われることの少ないのか

私は、今月ブルネイとフィリピン マニラの視察に出掛けた。
ある会計事務所の視察の一貫で企画段階から参加させて頂き、マニラに進出している知り合いの会社の訪問等もセッティングさせて頂き、とても勉強になった5日間だった。

小さくても豊かな国、ブルネイ

さて、皆さんはブルネイという国をご存知だろうか?
ブルネイ(ブルネイダルエスサラーム)、日本語に訳すと「永遠に平和な国」だそうだ。
実際、歴史を教えて頂いたら納得した。
ボルネオ島にある小さな国なのだが、とてもお金持ちで豊かな国だ。

しかし、昔からずっとお金持ちだったわけではない。
この国はボルネオ島にあり、ここにはいくつかの王国があったのだが領土争いが絶えず、争いの度にもともとボルネオ島の多くの領土を保有していたブルネイは、領土を奪われて行ったそうだ。
追い詰められて最後に今のほんの小さな領土だけが残り、弱小王国となった。

しかし、その最後に残った狭い土地から近代になって石油と天然ガスが出た。

ボルネオ島の中でも石油が産出されるのはブルネイだけ。
たまたま最後に残った狭い領土から、心優しいブルネイ人に神様からのご褒美のように石油が贈られたということなのであろう。

ブルネイと似た日本

日本も他国に優しく、ほとんど日本人を悪くいう人はいないが、日本人とブルネイ人は似ているのかもしれない。ちなみに、ブルネイの天然ガスは80%日本が買っているのだそうだ。

他にも似ている部分がある。
ブルネイは、石油 天然ガス以外にはこれといった産業もない。
見に行ってわかったが、ブルネイは石油と天然ガスが底を着いたら、元の貧乏な漁師の国に戻ってしまうだろう。

日本も同じである。
まだ日本は自動車や電機の分野で競争力が残っているからやって行けるが、その競争力もなくなりつつある。
ブルネイが石油、天然ガスを産出できなくなってしまったら、昔の状況に戻ってしまうのと日本は同じ状況なのである。

ブルネイと真逆のフィリピン

その点、次の訪問地、フィリピンという国はちょっと違う。

フィリピンにはもともと産業がない。あるのは若い労働力だ。
だから昔から他国の支配を受けて来た。
はじめスペインの支配を受けていたフィリピンは、その後スペインとの戦争に勝利したアメリカの支配下になった。
ちなみにアメリカは、スペインとの戦争に勝利したタイミングで、もともとスペイン領だった現在のアメリカ・カリフォルニア州の地域とフィリピンを手に入れた。
カリフォルニアは州の一つとして併合したが、フィリピンは併合せず植民地とした。
人口が多かったため、将来フィリピンから大統領が選出されることを恐れたらしい。

フィリピンは人口1億人、その10%にあたる1,000万人が外国に出稼ぎに出掛けていると言われている。
出稼ぎに出るとフィリピン国内の収入の10倍ほど稼ぐことができ、それを家族に地下銀行を通して仕送りする。
しかし大家族のうち誰かが出稼ぎに出ると、他の家族はそれに全面的に頼るようになって自立しようとしなくなるところがフィリピン人の問題点だそうだ。
現地のフィリピン人が、そういう向上心がないところがフィリピンを貧しくしているのだとおっしゃっていた。
確かにそのような側面はあるが、アメリカ支配があったおかげでフィリピン人はアメリカ人並みに英語を話すことができるようになった。
だから彼等は国内に仕事がなくても、英語が通じる地域ならどこでもやって行ける。
果たして日本国内に仕事が将来なくなった時に、日本人はフィリピン人のようにたくましく生きて行けるだろうか?
最近の日本人の海外嫌いを見ていると、とても心配だ。

国が何とかしてくれるという幻想

最近日本で騒がれている「老後2,000万円問題」もそうだが、日本人はそろそろ国が何でも何とかしてくれるという幻想を捨てるべきだろう。
なぜ日本人は、英語教育をたくさん受けても全く話せるようにならないのだと思うか?とフィリピンの人に尋ねてみた。
その答えは、本当に「食べられなくなるかもしれない」という危機感を、今の日本人はまだ持っていないからではないか、と教えてくれた。
大いに参考にすべきではないだろうか?

老後の資金も、今回の金融庁の報告書のおかげで国が用意してくれないことがはっきりした。
これをきっかけに、日本人一人ひとりが将来に危機感を持っていただけるといいと思っている。

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