廣橋 昭幸

医学博士

広橋整形外科医院

廣橋 昭幸

昭和35年生まれ 久留米大学医学部卒業。久留米大学整形外科医局に在籍し、関連病院・大学病院で勤務後、公立八女総合病院整形外科医長。久留米大学整形外科講師を経て、平成17年より実家である福岡市中央区谷「広橋整形外科医院」で診療。こどもから高齢者までを対象に地域医療に携わっています。

医学博士 日本専門医機構・整形外科専門医・日本整形外科学会・スポーツ認定医、脊椎脊髄認定医、リハビリテーション認定医、リウマチ認定医

〒810-0031
福岡市中央区谷1丁目16-38
広橋整形外科医院
TEL 092-712-1454

この執筆者の過去のコラム一覧

2019/08/10

腰痛について

前回は季節柄「熱中症」を取り上げましたが、今回は、前々回「腰痛」の続きです。

物を持ち上げる動作と腰

物を持ち上げる動作は、体幹・股関節・膝関節・足関節の屈曲・伸展動作(曲げ伸ばし)が組み合わさって達成されます。
そして、持ち上げる物が、高いところにあるか・低いところにあるか、遠いか・近いか、膝を伸ばしたままか・曲げるかで腰への負担は変わってきます。

持ち上げる物が身体から離れていればいるほどたくさんの力が腰に必要になります。
腰への負担を考えると、身体に引き寄せて持つことが大切です(力学的に)。
介護をされている方は特に注意が必要です。相手の出来るだけそばによって身体を起こしたり向きを変えたりしましょう。

床の物を持ち上げる際は、膝を曲げて脚の力を使って持ち上げるよう心がけましょう。
膝を伸ばしたままで引き上げると、負担が大きく腰痛を引き起こします。
また、持ち上げる物が、重たいのか軽いのか、事前に情報として頭に入れておくことが必要です。
持ってみたら意外と重かった・・・あるいは、その逆も・・・腰痛の原因になります。

腹筋を鍛えて腹圧を上げる

物を持ち上げる動作には、背筋(脊柱起立筋)、股関節を伸ばす大臀筋、膝を伸ばす大腿四頭筋、曲げるハムストリング(大腿屈筋)を使いますが、大事なのは神様が作ったコルセットと言われる腹筋!

腹筋は縦横斜めと筋肉が複雑に走り頑丈にできています。
腹圧は腰にかかる負担を吸収する役割を持っています。
お腹の前の壁である腹筋がしっかりしていると腹圧を上げることができます。
よく使うコルセットや腰椎ベルトも、腹筋を補うために使用します。

例えば、重量挙げ選手がベルトでお腹をしっかり固定しているのを見たことがあると思います。
あれは巻いていないと腹圧が前に逃げてしまうので腰が砕けてしまうからです。
日常で言えば...肥満でお腹が出てくると、重心が前へ移動し、身体が前に倒れないように背筋の筋力が必要以上に頑張る。
腹圧も上がらず腰の負担が増えます

身体の前での作業が多いと、腰の骨が前にずれるのを防ぐために椎間関節(背骨の上下の骨をつなぐ関節)に負担がかかる、変性すべり症(腰骨が前にずれてくる)を起こしてしまいます。台所仕事や家の掃除などの蓄積で年齢のいかれた女性に多いようです。

そこで...
物を持つときは、膝(脚)をうまく使い、自分にしっかり引き寄せて不用意に持たず、一呼吸おいて持ちましょう。
準備状態ができていないときの何気ない動作が腰痛の引き金になります。

腹筋強化は慎重に

腹筋強化は腹圧を高めるために必要ですが、負荷の大きい運動はかえって腰を痛めることがあるので、慎重にやってください。
(1)仰向けに膝を立てて寝て、膝頭をのぞく程度頭を持ち上げて3〜5秒我慢。
腹筋に力が入るのがわかります。これを最初は10回程度。

(2)寝た状態、あるいは直立で立ったまま、万歳をして、口をすぼめてゆっくり息を吐ききります。
息を吐ききるときにお腹の筋肉に力が入るのがわかります。
これを1分間から始め、徐々に長くしていきます。
体重増加も腰には天敵です(わたしも人のことは言えませんが)。お腹がでてきた方、注意が必要です。

背筋もがんばっている

腹筋のことばかり行ってきましたが、背筋の筋肉も立っている姿勢をキープするためには重要です。
台所仕事、掃除、洗面...など前かがみの中腰姿勢を保つためには、身体が前に倒れないよう背筋の筋肉が頑張ります。

台所では、ちょっと足を乗せる台を用意して、右、左と交互に乗せてやると腰の負担はかなり変わります。
洗面の時も、膝頭を洗面台の扉に当てて支えるだけで変わります。
また、顔を洗うときには両肘を洗面台の縁に当てて支えるといいでしょう。
・長時間立って仕事をされる方は、休めの姿勢・片足をちょっと前に出して立つと楽になります。
机仕事の方も、1〜2時間頑張ったら、少し腰を動かして体操することをお勧めします。

痛いのは誰でもイヤです。
ちょっとした工夫や心がけで予防することが出来ますので実践してみてください。

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