蔵茂 暉大

ファイナンシャルプランナー
長野県で生まれる。
大学時代は東北地方で過ごし、旅行会社への就職を夢見て独学で国家資格である「旅行業務取扱主任者」を取得するが銀行員だった父親の影響もあり大手地方銀行に就職。
旅行業界の知識も生かし現職では全国に顧客を持つ。

この執筆者の過去のコラム一覧

2019/09/10

ヨーロッパ のススメ

今月はヨーロッパ方面に少し目を向けてみたいと思う。

私は今、フランスからの帰りの飛行機内でこれを書かせて頂いている。今回なぜフランスに行ったのかというと、EPA(日本とヨーロッパの貿易協定)が初めて2月に発効したのを受け、ヨーロッパのワインが安くなったという話を皆さんは耳にしたかもしれないが、他にも我々が知らないことがあるに違いないと思ったからである。
実際に、現地に行って見なければ得られない情報は、たくさんあるはずだ。


私自身ワインが大好きだ。
フランスのワインを始めヨーロッパのワインは歴史もあり、学びながら飲むのが一番美味しいと思ったから、勉強しながら頂いている。
実際フランス、シャンパーニュ地方の特産であるシャンパンは、世界でも日本人の消費量がかなり多いワインの一つだ。
今回訪れたのはシャンパーニュではなくボルドーだが。

 

ボルドーは赤ワインが有名だが、白ワインやスパークリングワインも美味しいものがかなりある。
ボルドーを訪れた話は後程したいと思う。

ヨーロッパは日本にとってかなり大切な貿易相手国

皆さんはヨーロッパのことについてどのくらい知識をお持ちだろうか?

ヨーロッパの主要国27ヶ国は、現在EU(ヨーロッパ連合)に加盟している。
EU加盟国のほとんどはこの中でシェンゲン協定というのを結んでおり、この協定国間では出入国の審査が免除されている。
今回私はパリからヨーロッパに入り、ウィーンから日本に帰国したが、最初のヨーロッパ入国の時にパリで入国審査を受ければ、その後協定国間は日本の国内旅行と変わらない移動の自由がある。
最後に日本に向かう飛行機に乗る前に、出国する国で出国審査を受ければいいだけだ。
それだけ、歴史的に見てもヨーロッパは国々の結びつきが強い地域であることがわかる。


ヨーロッパというまとまりでとらえると、人口5億人 GDPは2000兆円くらいと日本の4倍、貿易は輸入輸出とも日本の全体の10%を越える。
ところが、日本人の海外旅行者は年間152万人いるにも関わらず、ヨーロッパで一番日本人が訪れるドイツでやっと10万人 、実際はドイツに入国して他の国に移動している人も含まれると思われるのだが それくらいしかいない。

少ない日本人旅行者

今回はボルドーというパリから列車に乗って3時間半かかる場所だったため、ほとんど日本人に会うことはなかった。
でも実際は、ボルドーから見たら日本はワイン購入をたくさんしてくれる重要な国だと、ボルドーのワインの作り手は言っていた。
シャンパーニュ地方でも、シャンパンを購入してくれる相手として重要な日本だが、日本人がこの地を訪れるのは少ないと現地の方がお話されていた。

同じ声が中東でも聞かれる。
中東で日本と結びつきが強いUAEのドバイを訪れると、ドバイ人からもっと日本人に来てほしいと言われる。

EPA発行とワインの輸入価格

前回コラムにも書いたが、日本人は世界でも類を見ないVISA無し渡航できる国が世界一の、自由なパスポートを持っている。
にも関わらず、若い方中心に海外は怖いから行かないという声が聞かれるのは、本当に残念なことである。

ボルドーで「カルフール」というフランスのスーパーを訪れると、フルボトル一本数百円というワインがたくさん棚に並んでいた。
EPA発効により、この値段+輸送費でワインが日本に入って来ているので10%ほどワインが安くなったのだが、本当はもっと安くなってもいいのではないかと思ってしまった。

他に日本人が知っておいた方がいいこと

現地で、フランスと貿易しているというバングラデシュの方と、偶然新幹線が一緒でいろいろなお話を伺った。

アジアで嫌いな国は2つほどあるが、日本人は大好きだと言っていたのは印象的だった。
日本人は世界に敵を作って来なかったから、日本を好意的にとらえてくれることが多い。

もう一つ、日本が知っておかなければならないことがある。
どうしても日本人の中には世界の不安を煽る人はいて、ドルが危ない 、ユーロが危ないと騒ぎ立てているが、誤解しないでほしい。

万が一、彼らがいうようにユーロがなくなったとしても、それぞれの国に実態があり人が住み農業があり貿易がある。
ユーロが崩壊しても、元の別々の国の通貨に両替されて戻るだけだ。
なくなってゼロになるみたいな馬鹿げた話を信じないでほしいと、現地を見て思った。

世界の普通と日本

またフランスは、今回移動中の新幹線の車窓から眺めて強く思ったが、農業生産は凄い。
ほとんどの作物で、世界のトップ10にフランスはランクインしている。
食糧難が来ても大丈夫だろう。

その点、日本は今のまま食糧を輸入に頼っていて、大丈夫だろうか?
日本人が、穏やかで争い事が少なく現在も街の治安がいいのは、食糧に困らない余裕があるからだと言われている。
これから食糧不足になった時に、今のままの国でいられるだろうか?


また、フランスでは全くコンビニなどなく、特にボルドーの田舎に行ったら、夜、食べ物飲み物を調達するのも難しい状況に今回は陥った。
しかし、それがホントは世界の状況なのだ。
日本のコンビニ24時間営業など、こちらからしたら異常なことなのかもしれない。
この異常な便利さがある一方で、食糧を世界で一番捨てている。

本当にこれでいいのだろうか?
将来のために、よく考えてみる必要があるかもしれない。

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