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久保 逸郎

老後のお金の不安を解消する、ライフプランと資産運用&資産管理の専門家
「90歳まで安心のライフプラン」を合言葉にして、豊かな人生の実現に向けたライフプラン作りの支援を行っている。
独立から約15年にわたり相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近い講演や、マネー雑誌やコラム等の原稿執筆を行うなど幅広く活動中。

この執筆者の過去のコラム一覧

2019/10/10

リスクオフ時に上昇が期待できる資産とは

老後のお金の不安解消アドバイザーの久保逸郎です。

前回のコラムでしばらくマーケット環境が厳しい環境が続きそうということをお伝えしましたが、2019年8月のマーケットは日経平均株価が約3.8%、 NYダウは 約1.7%、 DAX指数(ドイツ)は2%のマイナスになるなど、予想通りの厳しい結果になりました。
9月に入ってECB(欧州中央銀行)とFRB(米国:連邦準備理事会) が相次いで政策金利を引き下げるなど、金融緩和による対策を強めたこともあって一旦株式市況は持ち直しつつありますが、過去の傾向を踏まえれば金融緩和直後の株式市場は一旦持ち直す傾向にあるものの、やはり実体経済が芳しくないことには変わらないため、利下げから数ヶ月から1年を過ぎたあたりから株式市場が大きく調整する可能性があります。
今後についても慎重な投資スタンスを継続して、リスクオフの流れに備えておいたほうがよいでしょう。

それではリスクオフの場面では、どのような資産の上昇が期待できるのでしょうか?
今回はリスクオフの場面で上昇する傾向にある資産クラスをご紹介します。

金はリスク回避局面に強い資産

リスクオフの場面で上昇しやすい資産クラスの代表格としては、金(GOLD)が挙げられます。
「有事の金」と言われることもあるように、金はリスク回避局面に強い資産です。
金は希少性が高く、永遠の価値を持つといわれる実物資産であるためで、世界的に何か不安が広がると金が買われる傾向にあります。
最近の金価格の上昇を見れば、リスクオフに強い資産という点で納得できるのではないでしょうか?

但し、金に投資をするときに注意をしなければいけないことがあります。
その一つが金は世界的に米ドルベースで取引されるので、私達日本人がリスクオフの場面で金に投資をしようとした時、米ドルベースの金価格は上昇するかもしれませんが、為替が円高の方向に動いてしまうため、結果的に収益に結びつかないことが考えられることです。
そのため直接金を購入するのではなく、為替ヘッジを行う投資信託などを使って金に投資をすることを視野に入れておくといいでしょう。

また、金は利息をうまないという欠点もあるので、あまり持ち過ぎてもいけません。
おおよその目安として、金の保有は投資金額の5%~10%程度までにとどめておいたほうがよいと思います。

ディフェンシブ銘柄への株式投資

また景気の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄といわれるような株式に投資を行うことも、リスクオフの場面では有効です。
電力・ガス・水道・鉄道・ 食料品・通信・医薬品といった業種がディフェンシブ銘柄に該当します。
これらの業種は私達の生活に欠かせないサービス等を提供する企業であるため、景気の影響を受けにくく、業績が安定しています。
そのためリスクオフの局面では、このようなディフェンシブ銘柄といわれるような株式が買われる傾向があります。

日本国債や先進国債券に関しては利益確定を検討する局面

そして今回注意を促したいのは債券です。
これまでの投資の常識では、リスクオフの際に買われて上昇するのが日本国債や先進国債券でした。
最近も日本国債や先進国債券は人気で買われているのですが、今回あえて過去形で表現したのは、先進国の約半数がマイナス金利の状況にあり、また、世界的にマイナス金利の債券が 1400兆円を超えるまでに膨張している事実を考慮すると、いくら日本国債や先進国債券がリスクオフに強い資産とはいっても、今から投資をする必要はないと考えているためです。
マイナス金利でインカム収入がほとんど見込めない上に、金利が反転して上昇を始めると債券価格が下落してしまうことが予想されますからね。

株式との組み合わせて持つことで分散効果が期待できる資産クラスではありますが、ほとんど収益が見込めないのに、リスクだけはしっかりある資産なんて持ちたくありません。
今後さらなる金利低下を見込んでいないのであれば、日本国債や先進国債券に関してはもう売却して、利益確定をしてもいい局面にきていると思います。

この他にはキャッシュ(現金)もリスクオフに強い資産といえますが、金利が付かない状況の中、インフレ(物価上昇)になりつつあることを考えると、物価上昇分だけ実質的価値が失われていくことになるため、できれば最低限の保有にとどめておきたいものです。

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