2020/01/10
結局どうなの?一括借上げ(サブリース)
令和の時代になり初めて迎えたお正月。
新たな決意をなさった方も多いことでしょう。
相続対策や年金のつもりで賃貸経営に踏み出そうというご相談、ありがたいことに年々増えています。そこで今回は、オーナー様なら誰しも一度は考える「一括借上げ」について、取り上げてみます。
やってますよ!一括借上げ
一括借上げとは、不動産管理会社(以下、借上げ事業者)がオーナー様から賃貸不動産を丸ごと借上げて、それを入居者に転貸する契約のことで、「サブリース」とも言われています。
管理委託のご相談の際も「一括借上げしてくれますか?」と尋ねられることもあり、「立地次第ではやらせて頂きますよ」とお答えしますが、いつも通常の管理契約に落ち着きます。
仕組み自体は、テレビCMなどで有名な数社の模倣です。その内容をご説明しますが「やめておきます」という反応しか返ってこないのです。
メリットは「安定」と「融資」が受けやすいこと
一括借り上げのメリットは安定です。空室があろうがなかろうが、一定の家賃が入ることはオーナー様から見れば安心です。
特に、賃貸の需要が乏しいエリアなら一括借り上げのメリットは大きいです。
事業という観点から言えば疑問が残りますが、にも関わらず融資が下りるのはまさに一括借り上げのおかげ、これもメリットだと言えます。
法的に守られているのは借上げ事業者
たとえ大手の借上げ事業者でもオーナー様側にだけ有利で、自分たちだけがリスクを負うような契約を結ぶはずがありませんよね。これ、そっくりオーナー様にとってのデメリットになる部分ですから、納得頂くまで説明を受けて下さい。
デメリットその1 一括借上げ契約は「保証契約」ではなく「賃貸借契約」
貸主はオーナー様、借主は借上げ事業者とする賃貸借契約を結びますので、法律の適用は「借地借家法」になります。
借地借家法は「借りる」と言う漢字が示すように「借主保護」の観点から作られた法律ですから、何かあれば守られるのはオーナー様側ではなく借上げる事業者という図式になっています。
デメリットその2 借上げ家賃は相場家賃の80%~90%かつ変動する
相場家賃との差額は借上げ事業者の収入になります。
立地が良ければ入居率は95%程度で推移しますから、通常入るはずの収入は入らないことになります。
変動というのは、契約後5~10年は固定ですが、大半がその後2年おきに見直すという契約になっています。
つまり収益が悪化したり、借入の支払いに支障を来すことも考えておきたいものです。ちなみにオーナー様側からの借上げ契約解約は、数百万円の違約金がかかります。
デメリットその3 管理手数料が通常の管理契約に比べて高い
借上げ家賃の10%以上というのが通例です。
退去時のリフォーム工事代をパッケージした契約まで結ぶなどして、15%以上に達していた契約もありました。
デメリットその4 契約から数ヶ月の家賃免責期間がある
契約開始から一定期間家賃を支払わない免責期間が設けられています。通常2~4ヶ月です。
入居が決まりやすい新築時においても同様です。
デメリットその5 敷金、礼金は借上げ事業者が取得
一括借上げでは敷金礼金は借上げ事業者の預かり、または収入になります。
ちなみに退去後のリフォーム工事は借上げ事業者指定の業者が行い、さらに定期的な大規模修繕も指定業者によることが義務づけられていて、それが借上げの条件となっています。
利益誘導ではない本物の情報を
一括借上げ制度そのものが悪いとは考えません。
ただデメリットが十分に説明されていないことが多く、トラブルが頻発しています。
弁護士の出番が必要なひどい契約も実在します。
よく確認することを本当におすすめしたいです。
数年もすれば近くに同じようなアパートが次々に建ち、その一方で築年数を理由にさらなる投資を求められるかもしれません。
利益をいちばん得るのは誰なのか、リスクをいちばん負うのは誰なのかを踏まえ、利益誘導ではない本物の情報を集めて頂きたいと願っています。
「しあわせ倍増コラム」が、そのひとつとしてご参考になればうれしいです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和の時代になり初めて迎えたお正月。
新たな決意をなさった方も多いことでしょう。
相続対策や年金のつもりで賃貸経営に踏み出そうというご相談、ありがたいことに年々増えています。そこで今回は、オーナー様なら誰しも一度は考える「一括借上げ」について、取り上げてみます。
やってますよ!一括借上げ
一括借上げとは、不動産管理会社(以下、借上げ事業者)がオーナー様から賃貸不動産を丸ごと借上げて、それを入居者に転貸する契約のことで、「サブリース」とも言われています。
管理委託のご相談の際も「一括借上げしてくれますか?」と尋ねられることもあり、「立地次第ではやらせて頂きますよ」とお答えしますが、いつも通常の管理契約に落ち着きます。
仕組み自体は、テレビCMなどで有名な数社の模倣です。その内容をご説明しますが「やめておきます」という反応しか返ってこないのです。
メリットは「安定」と「融資」が受けやすいこと
一括借り上げのメリットは安定です。空室があろうがなかろうが、一定の家賃が入ることはオーナー様から見れば安心です。
特に、賃貸の需要が乏しいエリアなら一括借り上げのメリットは大きいです。
事業という観点から言えば疑問が残りますが、にも関わらず融資が下りるのはまさに一括借り上げのおかげ、これもメリットだと言えます。
法的に守られているのは借上げ事業者
たとえ大手の借上げ事業者でもオーナー様側にだけ有利で、自分たちだけがリスクを負うような契約を結ぶはずがありませんよね。これ、そっくりオーナー様にとってのデメリットになる部分ですから、納得頂くまで説明を受けて下さい。
デメリットその1 一括借上げ契約は「保証契約」ではなく「賃貸借契約」
貸主はオーナー様、借主は借上げ事業者とする賃貸借契約を結びますので、法律の適用は「借地借家法」になります。
借地借家法は「借りる」と言う漢字が示すように「借主保護」の観点から作られた法律ですから、何かあれば守られるのはオーナー様側ではなく借上げる事業者という図式になっています。
デメリットその2 借上げ家賃は相場家賃の80%~90%かつ変動する
相場家賃との差額は借上げ事業者の収入になります。
立地が良ければ入居率は95%程度で推移しますから、通常入るはずの収入は入らないことになります。
変動というのは、契約後5~10年は固定ですが、大半がその後2年おきに見直すという契約になっています。
つまり収益が悪化したり、借入の支払いに支障を来すことも考えておきたいものです。ちなみにオーナー様側からの借上げ契約解約は、数百万円の違約金がかかります。
デメリットその3 管理手数料が通常の管理契約に比べて高い
借上げ家賃の10%以上というのが通例です。
退去時のリフォーム工事代をパッケージした契約まで結ぶなどして、15%以上に達していた契約もありました。
デメリットその4 契約から数ヶ月の家賃免責期間がある
契約開始から一定期間家賃を支払わない免責期間が設けられています。通常2~4ヶ月です。
入居が決まりやすい新築時においても同様です。
デメリットその5 敷金、礼金は借上げ事業者が取得
一括借上げでは敷金礼金は借上げ事業者の預かり、または収入になります。
ちなみに退去後のリフォーム工事は借上げ事業者指定の業者が行い、さらに定期的な大規模修繕も指定業者によることが義務づけられていて、それが借上げの条件となっています。
利益誘導ではない本物の情報を
一括借上げ制度そのものが悪いとは考えません。
ただデメリットが十分に説明されていないことが多く、トラブルが頻発しています。
弁護士の出番が必要なひどい契約も実在します。
よく確認することを本当におすすめしたいです。
数年もすれば近くに同じようなアパートが次々に建ち、その一方で築年数を理由にさらなる投資を求められるかもしれません。
利益をいちばん得るのは誰なのか、リスクをいちばん負うのは誰なのかを踏まえ、利益誘導ではない本物の情報を集めて頂きたいと願っています。
「しあわせ倍増コラム」が、そのひとつとしてご参考になればうれしいです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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