(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2020/05/10

店舗の家賃が払えない!テナントさんの苦悩と支援策

私たちが暮らす福岡県は、新型コロナウィルス感染拡大防止策として緊急事態措置の対象区域となりました。
なかでも福岡市は感染者数が突出しているため、より厳しい外出自粛や休業要請が求められました。すでに5月末までの延長も決まり、予断は許されない状況にあります。
緊急事態宣言が解除されても経済がすぐに回復するとは思えず、中小零細企業倒産の増加傾向は続くとも言われてもいます。

大打撃を被っているテナントさんからは、「家賃を何とかしてもらえたら」との要望が相次いでいます。どう対応すべきか、今回は大洋不動産のスタンスについてお伝えいたします。

まずは支援策を確認、申請書類のコピーを提出してもらう

国も県も、そして福岡市も、自粛への協力で理不尽に重い負担を背負う人、また不安に思う人々への様々な支援策を打ち出しています。
大まかですが一覧表にしてみました。制度の利用を促すことはもちろん、テナントさんから申請書類のコピーを頂き、値下げ依頼の根拠を明示してもらっています。

《テナント、オーナーへの支援・助成金・給付金等》

※5月7日現在
《入居者(個人)への支援・助成金・給付金等》

※5月7日現在

値下げに応じる場合は書面取り交わしを

テナントさんは言わば止血に走り回っているというのが実情です。
貸主と借主がお互い様の関係が築けてこその、安定収入です。

そこで値下げに応じる場合ですが、具体的には減額割合2~3割で3ヶ月程度様子を見ましょうという事例が多いです。
減額分を敷金から差し引く(敷金6ヶ月なら6ヶ月間一定割合を減額)、また減額分は○ヶ月後に全額もしくは一定割合上乗せして支払う約束も可能です。

また、書面はオーナーへの支援策に対応するためにも必ず取り交わします。
覚え書き程度はもちろんのこと作成が必要ですし、特に減額期間を長くする場合は期限を決めた定期借家契約とするなど、契約書のまき直しまでをも視野に入れます。

ここぞとばかりに「コロナ」?

テナントやオフィスビルなどの事業用不動産は、経済環境の変化に対して住居系より大きな影響を受けます。
ただ、借主たるテナントさんも事業者です。酷な言い方になりますが1~2ヶ月持ちこたえられるぐらいの運転資金もないようなら、そもそも事業自体がうまくいってなかった可能性もあります。
ここぞとばかりに「 コロナ 」を理由に値下げ交渉というのはいかがなものでしょう。

普段から営業をきちんと行い、数字で経営を把握できているなら帳簿を見せてもらうべきと考えます。同じ事業主としてオーナー様の経営観もあると思います。
したがって「応じない」という手もあります。

今後の支援追加策や条件緩和も注視

感染拡大が抑制されても、感染拡大前の経済活動に戻るには 7~8 年の期間が必要となるだろうとと言われています。
国も家賃補助策の取り纏めに動き出したようですし、今後も目が離せません。
不動産市況においても、低迷が長期化するなら賃料下落が今後顕在化することになることは必須です。

優良テナントさんならなおのこと、良い関係が続くことを切に願いたいというのが大洋不動産のスタンスです。

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