(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2017/02/10

『土地』その偉大な力~潜在的な価値の考察

4つの領域~Aグループの秘密

新築物件の供給が目立つ時期がやってきました。
既存の賃貸用不動産に、今年もまた新たな強敵が加わります。あなたの不動産もこの強敵と同じ土俵にたっている、紛れもない現実です。

 

前回のマトリクス表を思い出して頂けますか。賃貸用不動産を市場性と収益性の高低から、4つの領域に分けました。その中のひとつ、市場性も収益性も高いAグループの存在がありました。オーナー様なら、誰しもAグループであり続けたいと願います。もし、あなたの不動産が新築でないにも関わらずAグループに位置しているなら、真(まこと)のプレミアムを持つ不動産に違いありません。

ユーザー(入居者)の胸の内、知っていますか

賃貸市場では、「新築」「築浅(築5年程度まで)」物件を指してプレミアムが上乗せされていると言っています。
築年数がたってプレミアムが付かなくなると、本当の勝負が始まります。ただ、中には勝ち続ける物件が存在するんです。
なぜでしょう。
そのヒントは新築物件の傾向を分析することで見つかります。エンドユーザー(入居者)の胸の内を知れば真のプレミアムが何かがわかってくるのです。

 

1月末時点において福岡市内で流通している賃貸物件を、「新築」に限定して調査してみました。
すると供給戸数は成約を含めておよそ2,060戸(アットホ-ム広告/新築有効調査件数99棟)、71%が1ルームから1LDKのシングルタイプ、次に2LDK17%、3LDK10%と続きます。また圧倒的シェアを占めるシングルタイプを調べてみたところ、1LDKが6割を超え、完全に1ルームや1Kを上回る結果となりました。

このようにLDK重視の傾向はファミリータイプではもう常識で、今やその広さを競うレベルです。
わずかですが71㎡を超える2LDKも存在しており、分譲マンションにも見劣りしない面積です。
過去、2LDKは賃貸の主流ではなく、建築されても50㎡にも満たないのが通常でした。それがLDKの拡充と共に目に見えて広くなり、現在は60㎡以上が主流となっています。

人口減少と格差社会が生み出すもの

なぜこのような現象が起こっているのでしょうか。
そもそも不動産は需要と供給で成り立っていますが、問題は需要です。
賃貸のエンドユーザーは、進学や就職のためにお部屋探しを始める18歳から。この18歳以上の人口がどんどん減っています。
人口減少は経済成長にも大きな影を落とし、誰しも収入が大きくアップするような社会は望めなくなるでしょう。
格差はこうして生まれます。

 

Aグループの賃貸用不動産を選ぶユーザーは、比較的収入が高く、なおかつ持ち家の必要性がないかその気がないユーザーです。つまり賃貸を「積極的に選んでいる」わけです。
こうした「賃貸派」、なかでもライフスタイルに合わせて住み替える積極的なユーザーに選ばれ続ける賃貸用不動産の要、そのひとつが「広さ」といえます。
1LDKや広めの2LDKが増加中の訳はまさしく広さの追求に他ありません。

真(まこと)のプレミアム

不動産賃貸という事業は、あなたの土地が持つ潜在的な価値を顕在化させることでもあります。真のプレミアムとは新築でもなく最新の設備でもなく、何十年経っても消費しない土地だと言い換えることもできると思います。
いい土地は、その活用にユーザ想いの工夫を考えることで、本当に多くの人に幸せをもたらしています。
それこそエンドユーザーが共鳴し、認めている「真のプレミアム」だと思うのです。

 

最後にAグループに長く留まる秘策をひとつ。
それは新築の時にたくさんの人に内覧してもらうことです。ユーザーだけでなく、同業他社の営業マンにもどんどん見てもらって下さい。報酬もケチってはいけません。
その営業マンは、あなたの物件が素晴らしい物件であることを覚えています。
優良なユーザーが現れたときに笑顔で言うことでしょう。
「お客さまにぴったりな物件がありますよ」。必ず紹介してくれます。
1年後も10年後も50年後も。

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