蔵茂 暉大

ファイナンシャルプランナー
長野県で生まれる。
大学時代は東北地方で過ごし、旅行会社への就職を夢見て独学で国家資格である「旅行業務取扱主任者」を取得するが銀行員だった父親の影響もあり大手地方銀行に就職。
旅行業界の知識も生かし現職では全国に顧客を持つ。

この執筆者の過去のコラム一覧

2020/07/10

新型コロナウィルス対応が日本にもたらしたもの

全国に発出されていた緊急事態宣言がやっと解除になった。
この約2ヶ月もの間、皆様の我慢は想像を絶するレベルで大きなストレスだったであろう。また事業者の皆様においては、経営にとても大きな影響を及ぼしたにちがいない。

さて今回はこの緊急事態宣言や8割人との接触を避けるという目的で実行された、国や地方自治体による外出自粛要請について検証してみた。
先に申し上げておくが、これによって政策が間違っていたとか、緊急事態宣言や自粛要請が間違っていたなどというつもりはない。

緊急事態宣言は不要だったという意見もあるが?

最近出て来て初めてわかったいろいろなデータのお陰でいろいろなことがわかってきた。だから、後から出てきたデータを元に政策批判をすることは無意味である。
しかしながら緊急事態宣言が解除された今、今後のために一番効果的な対策を今から組んで行けるように実際はどんな対応が正しく効果的なのかという検証を必ずしておくことは必要だと考えている。

IPS細胞の山中教授もほぼ日本人だけが新型コロナウィルス感染による死亡率が極端に世界との比較において小さいとされることに、どんな要素があるのか調べた方がいいとの発言をしている。
これを「ファクターX」と呼んでいるのを皆さんも目にしたことがあるだろう。

新型コロナウィルス騒動は政治的局面も

それにしても今回の新型コロナウィルスの騒動は、政治的な要素がかなり影響を与えていたと私は思う。

皆さんは覚えているだろうか?2月3月あたり まだ東京オリンピックが延期になっていない頃の話だ。海外で新型コロナウィルス感染に関するニュースが少し騒がしくなって来た頃、まだまだ日本では感染者は広がらないし対応がうまくいっているから感染者は増えないという理由で、外国とは全く違う対応日本は取っていた。

もちろん東京オリンピックが念頭にあったからだろう。
3月19日前後から日本への外国人入国禁止の対応が始まり、3月24日東京オリンピックは延期が決定した。
決定後に一氣に行動自粛に舵取りがされた。世界的には都市封鎖が行われており、それに日本も合わせるように自粛へと動いて行った。
過分に選挙を氣にする政治的な配慮があったからだろうと私は思う。

皆さんに数字を見て欲しい。

交通事故               約5500人
がん                       約10万人
インフルエンザ   約3300人
新型コロナ           約950人
自殺                       約33000人(未発表の推測実数)

これは年間の死者 原因別の数字だ。
新型コロナだけはここ数ヶ月の数字ではあるが、風邪やインフルエンザの蔓延では何も騒がないのに、遥かに死亡率の低いウィルスである新型コロナウィルスに対して、国は経済的打撃がとてつもなく大きくなるであろう外出自粛という方向に急に舵取りをした。

そしてコロナは怖いものだと国を上げマスコミを使い人々の心を恐怖に向かわせたと私は思っている。これは私の私見であり、どれが事実かはわからないことを念のため申し上げておく。

私たちがこれから備えるべきこと

緊急事態宣言が解除され、徐々に街に人が戻りお店が営業を再開し始めた光景を見て、もうすぐで経済は元に戻ると感じていらっしゃる方も多いと感じるが、大変なのは実はこれからだ。

現在倒産が増えているが、今倒産している会社はコロナ前から既に資金繰りが悪く、いつでも倒産可能性があった会社だ。
コロナによって最後通告を受けたことは事実と思うが、なんとか資金繰りを継続しようと頑張り、補助金やコロナ対策融資で生き残って来た会社も、今後近いうちに返済不能に陥るなどして来るかもしれない。

今回大きく経営に影響を受けた会社は、人と対面が必要な業種だ。ホントに大変な波はこれからやって来る。
その時、私たちは何ができるか考えなくてはならない。

今回新型コロナウィルスの対応により経営に大きな打撃を受けたのは対面で営業を行う店舗型の業種、 また訪問により営業を行う仕事であることは先程述べた。
その一方で、この期間 売り上げを大幅に伸ばした会社もある。

例えばAmazonなどの通信販売を行うような会社や地域の生活必需品を扱うスーパーなどの小売業など、またコンビニなどである。
売り上げを伸ばした会社にはある共通点がある。それは何かというと「お客様にこちらから近づいて行った会社」であるということだ。
例えば小売業でも、デパートはより広い地域と人口を商圏としてお客様の来店を待つという商売のやり方だ。

それに対して売り上げを伸ばしたのは、より狭い商圏人口を対象にした小売業などだ。
例えばスーパーやコンビニである。地域に必要とされ、さらにお店の側から地域のお客様に近づいて行った業態が売り上げを伸ばした。

これはこれからも世の中に必要とされ、さらに消費者の身近にこちらから近づいて行くことができる業態が今の時代では経営を伸ばして行く秘訣ではないかと、そして売り上げを大幅に落としてしまう会社はもしかしたらそもそも地域に必要とされておらず、たまたま新型コロナウィルスの騒動でそれが表に出て来ただけではないのか?そんな風に私は考えている。
皆さんはどうお考えになるだろうか?

今こそ本氣で世の中に必要とされるビジネスと必要とされないビジネスについて考えてみる必要があるのではないだろうか?

すべての著作権は(株)大洋不動産に帰属しています。無断転載は固くお断りいたします。