医学博士

広橋整形外科医院

廣橋 昭幸

昭和35年生まれ 久留米大学医学部卒業。久留米大学整形外科医局に在籍し、関連病院・大学病院で勤務後、公立八女総合病院整形外科医長。久留米大学整形外科講師を経て、平成17年より実家である福岡市中央区谷「広橋整形外科医院」で診療。こどもから高齢者までを対象に地域医療に携わっています。

医学博士 日本専門医機構・整形外科専門医・日本整形外科学会・スポーツ認定医、脊椎脊髄認定医、リハビリテーション認定医、リウマチ認定医

〒810-0031
福岡市中央区谷1丁目16-38
広橋整形外科医院
TEL 092-712-1454

この執筆者の過去のコラム一覧

2017/02/10

筋肉!!

健康寿命とか、運動器とかって話をしてきましたが・・・今回は、お肉の話です。

筋肉には2つの種類があります

1:自分の意思で手足や身体を動かす随意筋(骨格筋)。
2:自分が意識せずとも動いてくれる不随意筋。

不随意筋には、心臓の心筋、内臓や血管の壁をつくる平滑筋があります。
運動器の一部である骨格筋は、自分の意思で動かす事ができます。力を入れていない状態ではフニャフニャと柔らかい状態ですが、力を入れると硬くなります(カッチカチヤで)。
これは筋肉が縮む(収縮)ためです。筋肉の端は関節をはさんで骨にしっかりとくっついているので、筋肉が収縮すると関節を曲げたり(屈曲)、伸ばしたり(伸展)することができます

たとえば・・・肘の前の筋肉(力こぶの筋肉)が縮むと肘は曲がり(屈曲)、肘の後ろの筋肉が縮めば肘は伸びる(伸展)わけです。
肘や膝は、曲げたり伸ばしたりするだけですが、肩関節や股関節はいろんな方向に動くため、それを取り巻く筋肉は多く、複雑にできています。
筋肉は筋繊維と呼ばれる細長い筋細胞が集まったもので、そのひとつひとつに神経や血管が分布していて、神経の指令で筋肉は収縮し、血管が酸素を供給し、疲労産物を排出します。
力の強さは、筋繊維の収縮する数が関係します。多くの筋繊維が収縮すれば強い力を発揮します。

しかしながら、最大限の力を発揮しているつもりでも、すべての筋繊維が収縮しているわけではありません。「火事場の馬鹿力」というように、いざというとき、普段なら持ち上げられないような物も持ててしまう。それは普段さぼっている筋肉が収縮するためなのです。

さらに、筋繊維には2種類あります。主に軽い運動(日常生活やウォーキング程度)で使う「遅筋繊維=赤筋」と、大きな力を発揮する「速筋繊維=白筋」です。

【遅筋繊維】・・・マグロタイプ
寝ているときも常に泳ぎ続けているマグロタイプ(マグロは泳いでいないとエラから酸素を補給できないそうです)。
スピードは遅いが疲労しにくく、長い間力を発揮し続けられます。マラソンなど持久力が求められる選手に、遅筋繊維の割合が多く見られます。
色は赤く見えるため、赤筋と言われます。

【速筋繊維】・・・ヒラメタイプ
敵が来るまでじっと待ち、敵が現れるとものすごい速さで捕らえるヒラメタイプ。
スピードが速く、瞬間的に力を発揮できる短距離選手などに、速筋繊維の割合が多く見られます。
色は白っぽいため白筋と言われています。

残念ながら、筋力は加齢とともに低下します。

足腰の筋力が低下すると、立ったり歩いたりと、普段行っている動作ができなくなり、転倒や骨折を引き起こします。それが原因で、寝たきりになってしまう恐れも・・・
2つの筋繊維は、加齢とともに同じように低下するのではなく、先に「速筋繊維=白筋」が衰えます。
そのため、とっさの行動ができずに転倒してけがをしてしまいます。

この「速筋繊維=白筋」を鍛えるためには、歩くより大きな力を発揮する運動をする必要があります。
ウォーキングだけでは、筋力は付きません。同じウォーキングをするときに、次の電信柱までは少しスピードを上げたり、次の電信柱までは脚を高く上げて歩くなどやってみるといいと思います。

筋肉(骨格筋)は、トレーニングすれば太く強い力を発揮できるようになります。逆に、入院生活や寝たきりの状態が続くと筋肉は痩せて行きます。
それは、筋繊維の数が減ってしまうわけではなく、筋繊維のボリューム(太さ)が減るために細くみえるのです。
そこで・・・

トレーニングで一つ注意していただきたいこと

「筋トレ」は、アスリートのハードなものから、誰でもできるやさしいものまで様々です。自分に合った物を探しましょう。
普段、運動しない人が、急に激しい筋トレを行うとケガや痛みを起こしてしまいます。

トレーニングで同じ筋肉に繰り返し負荷をかけると、筋肉は疲労し柔軟性が低下します。
関節の動きが悪くなり、筋肉が太くなったぶん中の血管が押しつぶされて細くなり疲労産物の排出が十分できなくなってしまいます(こわり)。
また筋肉は骨に着いていますので、その部分が強く引っ張られ炎症(テニス肘や、足底腱膜炎)を起こしてしまいます。

ですから、トレーニングと同時に筋肉のストレッチを十分行ってほしいのです。

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