(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2020/11/10

管理受託物件の清掃を考えてみた

マンションの品位はゴミ置き場でわかる?

分譲マンションの1室を賃貸に出したいという依頼を受けたときのこと。
入居が決まり、お知らせや案内書をざっと見ている中で、「ゴミ出しについて」という項目が目にとまりました。そこには、こう書いてありました。

マンションの品位はゴミ置き場でわかると言われています。価値を落とさないために、皆さまひとり一人の心がけをお願いいたします」。

なるほど、分譲マンションは各戸ごとに所有者がいますから、この一文は心に響くことでしょう。ただ、これは賃貸不動産も本質は同じだと思われませんか。

住む人のモラルと管理の質

賃貸不動産のゴミ置き場、特に扉付きのゴミ置き場は何かと散らかりがちです。
ゴミ出し日以外にもゴミが出されていたり、分別がされていない、段ボールが投げ込まれている等々、住む人のモラルの問題なのか管理の質の問題なのか、悩ましい状態に変わりありません。
「ゴミがゴミを呼ぶ」とは良く言ったもので、散らかす人がいても気にならない人は住み続け、不快に思う人は退去します。
そして「ここは散らかしても良いのだ」と思う人が入居するという、悪循環です。

管理受託物件に「清掃」という問いを立てる

管理会社もそこは当然心得ていますので、各社ノウハウを持ち工夫しています。ところが意に反して散らかってしまう、ルールが守られていない賃貸不動産があるのも事実。
ご近所からの苦情を受け、その都度奔走ということも管理会社にありがちな話です。オーナー様が清掃専門業者に外注する場合も例外ではありません。

それを私たち大洋不動産は「清掃は自分たちでやった方が良いんじゃない?」と考えました。
管理受託物件の「清掃は外注派?自社派?」という問いを立て、私たちは自社派という答えを出したのです。
プロの手ほどきを受け、こうして大洋不動産に清掃部門が誕生しました。

 

問題解決から生まれる好循環

ただ、清掃という仕事はノウハウだけでなく「人手」と「時間」が必要ですそれでも弊社が長年このスタイルを守り続けているのはなぜか。それは大きく3つに分かれます。

1.異常にすぐ気が付く
2.入居率が良くなる
3.オーナー様の黒子としての役割をスタッフが自覚する

「清掃に行くこと」は「管理の最前線に出向くこと」との位置づけでいます。
共用部分や建物の外周だけでなく、入居者の住まい方まで小さな変化もすぐ発見します。
異常を感知したら解決改善までどうすれば良いのかを考え、結果を出すことで良好な状態が保たれます。
その結果、管理への不満を理由とする退去が減り入居率に大きく貢献、物件の価値の最大化が図れます。
さらにその仕事は、オーナー様の黒子としての信頼に繋がり、また任せて頂くことで社員さんに自信が生まれ、成長という好循環をもたらしてくれます。

 

パートさんだけで清掃シフトを組めないか試行錯誤した時期もありましたが、オーナー様の黒子となり得るのは社員さんだけだときっぱり思い直しました。
現地に赴いて汗を流すことの波及効果を、社員さん皆が体得し共有しています。

もれなくお得(徳)がついてくる?

「理想は自社社員で行いたい」と思っていても、「現実は外注またはパートさん」とする管理会社がほとんどです。
「大変ですね」と声を掛けて頂くこともあります。ただ、実際はそれほど大変ではありません。
1人ではなくチームワークで取り組んで、綺麗に仕上げる清々しさは小さくとも代えがたい喜びです。それに清掃は手を抜かずに一所懸命やっていると、不思議なことにいろいろな「お得」(お徳?)がついてくるようなのです。

誠心誠意オーナー様と入居者の皆さまのために働き、それが評価されることで報酬を頂き、おかげさまで会社は存続し、社員さんとそのご家族の暮らしを守ることが出来ます。有り難いことです。
清掃から学んだことそれは仕事とは何かの基本でした。
私も週に一度は現地で汗を流します。この世の真理はいつもシンプルなんだと、気が付く貴重な時間です。

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