2020/11/10
いよいよCRSが本格始動
皆さんはCRSはご存知だろうか?
「CRS」とは
日本人が海外に保有する金融資産について、国税庁はどの程度捕捉しているものなのであろうか。
実は2018年から、国税庁は経済協力開発機構(OECD)の策定した国際基準「共通報告基準」(CRS:Common Reporting Standard)に基づき、加盟各国と非居住者金融口座情報の自動的情報交換を開始している。
国税庁がこの情報交換の状況を「CRS 情報の自動的情報交換の開始について」として発表しているので、その概要を見てみたい。
まず、CRSに基づく情報交換の背景を簡単にまとめておきたい。
海外の金融機関を利用する人が増えるにつれ、各国の税務当局は、金融機関を通じて保管している財産を捕捉することが難しくなり、本来であれば税金を取ることができる場合であるにもかかわらず、実際には税金を取れないケースが増えてきた。
例えば、日本居住者が香港のHSBCで銀行口座を開いた場合を考えてみよう。
HSBCで、株式投資をして配当を得た、投資した株式を売却してキャピタルゲインを得たなどの所得に対しては、日本で納税義務がある。
しかし、日本の税務当局が調査する権限を持っているのは日本の領土の中だけで、日本国外では調査をする権限がない。この投資家が自発的に申告してこない限り、税金を取れないのだ。
こうした問題に苦慮した各国の税務当局が共同で創設した制度が、OECDの策定した国際基準であるCRS(Common Reporting Standard)「共通報告基準」に基づく、非居住者金融口座情報の自動的情報交換制度である。
CRS情報を元に納税者に調査を開始
最近多く頂くご相談が、税務署から海外資産について税務調査の連絡が来たがどうしたらいいか?というものだ。
「香港に銀行口座をお持ちですね?平成30年の海外口座や投資の状況を教えてください」といった感じで連絡がくるようだ。
推定10万人ほど日本人は海外口座を保有
リーマンショック前後に海外口座開設ブームがあった。
当時、海外口座をなぜ開設するのかメリットとデメリットを一切検討せず、 みんなが作っているからという理由で開設した方々、かなり多かったと推測される。
私は以前から、本氣で海外口座の活用をしないなら海外口座を保有するメリットは何もないから、ブームに乗って興味本位で開設はすべきでないと申し上げて来た。
海外口座開設や海外年金と謳われている投資信託タイプの積み立てを勧めてくる人たちの中には、
「海外で運用すると税金がかからない」
「海外で運用すると手数料がかなり安い」
「海外で運用すると利率が高い」
「海外で運用されている金融商品は日本より優れている」などと説明しているが、どれも根拠がない。
海外だから優秀だなどということは全くないことは、個々の商品をきちんと比較検討すればすぐわかる。しかし、なぜか日本人は海外で運用されている方が優秀な商品があるというイメージを植え付けられてしまった。
私が普段から海外口座や投資のトラブルに関する相談を受けて来て持っている感覚は、恐らく9割以上の海外口座や運用商品を保有している方々は、口座が凍結したり、契約した時は存在した運用をサポートする担当者が、今は連絡を全く取れない状況に陥っているのではないかと感じている。
日本人は海外投資は自由だが国内で勧誘は禁止
この見出しの通り、禁止されている行為がいまだにかなり行われている。
ヨーロッパ系の海外年金と謳われている商品を、紹介手数料を得て無免許で勧誘する輩が後をたたないので、そういう勧誘を受けたら要注意だ。
現在の投資環境下で年利率10%なんていう説明で勧誘されるが、実際はそう甘くないことを知っておくべきであり、もしあなたが海外に口座や運用商品をお持ちなら新しいCRSの時代にそれが本当に正しいのかを含め 、メリット 、デメリットを再検討すべきではないかと考える。
もしもお困りの方がいらっしゃったらすぐ相談してほしい。
皆さんはCRSはご存知だろうか?
「CRS」とは
日本人が海外に保有する金融資産について、国税庁はどの程度捕捉しているものなのであろうか。
実は2018年から、国税庁は経済協力開発機構(OECD)の策定した国際基準「共通報告基準」(CRS:Common Reporting Standard)に基づき、加盟各国と非居住者金融口座情報の自動的情報交換を開始している。
国税庁がこの情報交換の状況を「CRS 情報の自動的情報交換の開始について」として発表しているので、その概要を見てみたい。
まず、CRSに基づく情報交換の背景を簡単にまとめておきたい。
海外の金融機関を利用する人が増えるにつれ、各国の税務当局は、金融機関を通じて保管している財産を捕捉することが難しくなり、本来であれば税金を取ることができる場合であるにもかかわらず、実際には税金を取れないケースが増えてきた。
例えば、日本居住者が香港のHSBCで銀行口座を開いた場合を考えてみよう。
HSBCで、株式投資をして配当を得た、投資した株式を売却してキャピタルゲインを得たなどの所得に対しては、日本で納税義務がある。
しかし、日本の税務当局が調査する権限を持っているのは日本の領土の中だけで、日本国外では調査をする権限がない。この投資家が自発的に申告してこない限り、税金を取れないのだ。
こうした問題に苦慮した各国の税務当局が共同で創設した制度が、OECDの策定した国際基準であるCRS(Common Reporting Standard)「共通報告基準」に基づく、非居住者金融口座情報の自動的情報交換制度である。
CRS情報を元に納税者に調査を開始
最近多く頂くご相談が、税務署から海外資産について税務調査の連絡が来たがどうしたらいいか?というものだ。
「香港に銀行口座をお持ちですね?平成30年の海外口座や投資の状況を教えてください」といった感じで連絡がくるようだ。
推定10万人ほど日本人は海外口座を保有
リーマンショック前後に海外口座開設ブームがあった。
当時、海外口座をなぜ開設するのかメリットとデメリットを一切検討せず、 みんなが作っているからという理由で開設した方々、かなり多かったと推測される。
私は以前から、本氣で海外口座の活用をしないなら海外口座を保有するメリットは何もないから、ブームに乗って興味本位で開設はすべきでないと申し上げて来た。
海外口座開設や海外年金と謳われている投資信託タイプの積み立てを勧めてくる人たちの中には、
「海外で運用すると税金がかからない」
「海外で運用すると手数料がかなり安い」
「海外で運用すると利率が高い」
「海外で運用されている金融商品は日本より優れている」などと説明しているが、どれも根拠がない。
海外だから優秀だなどということは全くないことは、個々の商品をきちんと比較検討すればすぐわかる。しかし、なぜか日本人は海外で運用されている方が優秀な商品があるというイメージを植え付けられてしまった。
私が普段から海外口座や投資のトラブルに関する相談を受けて来て持っている感覚は、恐らく9割以上の海外口座や運用商品を保有している方々は、口座が凍結したり、契約した時は存在した運用をサポートする担当者が、今は連絡を全く取れない状況に陥っているのではないかと感じている。
日本人は海外投資は自由だが国内で勧誘は禁止
この見出しの通り、禁止されている行為がいまだにかなり行われている。
ヨーロッパ系の海外年金と謳われている商品を、紹介手数料を得て無免許で勧誘する輩が後をたたないので、そういう勧誘を受けたら要注意だ。
現在の投資環境下で年利率10%なんていう説明で勧誘されるが、実際はそう甘くないことを知っておくべきであり、もしあなたが海外に口座や運用商品をお持ちなら新しいCRSの時代にそれが本当に正しいのかを含め 、メリット 、デメリットを再検討すべきではないかと考える。
もしもお困りの方がいらっしゃったらすぐ相談してほしい。
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