医学博士

広橋整形外科医院

廣橋 昭幸

昭和35年生まれ 久留米大学医学部卒業。久留米大学整形外科医局に在籍し、関連病院・大学病院で勤務後、公立八女総合病院整形外科医長。久留米大学整形外科講師を経て、平成17年より実家である福岡市中央区谷「広橋整形外科医院」で診療。こどもから高齢者までを対象に地域医療に携わっています。

医学博士 日本専門医機構・整形外科専門医・日本整形外科学会・スポーツ認定医、脊椎脊髄認定医、リハビリテーション認定医、リウマチ認定医

〒810-0031
福岡市中央区谷1丁目16-38
広橋整形外科医院
TEL 092-712-1454

この執筆者の過去のコラム一覧

2020/12/10

おいしい生活

わが国では少子高齢化が加速し、近い将来、一人の若者が一人の高齢者を支えるようになると言われています。
もし、それが現実となれば、支える若者が働きながら高齢者の面倒を見るという、本当に厳しい状況を迎えます。
誰にでも老いが必ずやってきます。身体はだんだんと衰えていきますが、この老化促進の原因の一つが低栄養と言われています。特にタンパク質の摂取が少ない人は手足が細く、筋肉量が減って足腰が弱くなります。
このような方は病気やケガなどに弱く、その治療においても合併症や副作用が多くなることがわかっています。一般的に60歳以上の15〜30%、80歳以上の50%以上の方が当てはまるといわれています。

若々しく生きるためには

実年齢は高くとも身体年齢や精神年齢を若返らせるためには、低栄養に陥らないように気をつけて、特にタンパク質摂取を心がけましょう。
高齢者は一般にエネルギー摂取量が少なく、栄養も偏っているのではないかと言われます。
栄養のバランスを欠いた高齢者の食事にしばしばみられるパターンとしては

①献立や摂取する食品が単一的になりやすく、噛む必要があまりない糖質中心の食事が多くなりがち。
②長年の習慣や味覚の低下で濃い味付けの料理を好み、塩分や糖分の摂取量が多くなる。
③こってりした食品を好まず、脂質の摂取量が減る。
④咀嚼や嚥下が困難になり、固い物や繊維質の多い食品を敬遠する。

このような特徴から、高齢者の食事では肉や海藻、野菜などの摂取量が減り、タンパク質や脂質、食物繊維、脂溶性ビタミン、鉄、カルシウムなどが不足することが多いようです。

調理方法を工夫することも大切

バランスよく摂取するために、一回の食事の構成は、
エネルギーの供給源となる「主食」
良質なタンパク質の供給源となる「主菜」
ビタミンやミネラルを摂取するための「副菜」にわけて考え、一日3回きちんと食べ、さらに、別に乳製品をとるとカルシウム摂取が進みます。

・摂取エネルギー量をアップ
高タンパク食の摂取
・タンパク生成を促進するアミノ酸の摂取
ビタミン類の適正摂取(ビタミンA,C,D,E,CoQ10)
ポリフェノールの摂取(赤ワイン、カカオ、チョコレート)
微量元素の補充(カルシウム、亜鉛)
ω(オメガ)3系脂肪酸の摂取(DHA,EPA,魚油、エゴマ)
食物繊維の摂取と腸内細菌の健常化

と、言われています。

高齢者では、歯が抜けたり、入れ歯を使うことで噛む力が低下し、その結果、食事の量が減ったり、肉や線維質の多い食品を敬遠することも少なくありません。
それを避けるために細かく切ったり、軟らかく煮るなど調理方法を工夫することも大切です。

健康食品やサプリメントの質問をよくうけますが...

医師から処方される薬とは違い、ドラッグストアなど身近な生活環境で購入できます。
手軽に補給しやすく、薬を飲むほどではないと自ら判断したり、疲れを回復させたいなどと考えて、利用する人も少なからず見られます。
○○病予防、「かならず治る」など、効果を示す表現は、法律で認められていないので注意が必要です。健康食品は薬の代わりではありません。


医師が処方する薬と、健康食品の成分の相性が悪い場合もあります。
健康で日々を過ごすためには、まずは、十分な睡眠や栄養バランスのよい三度の食事など、規則正しい生活が欠かせません。
思わぬ不調の原因が健康食品だった、ということもありえます。正しい知識を身につけていただきたいと思います。

おいしい生活で、若者に負担かけないよう、若々しくありたいものです。

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