2020/12/10
その水、大丈夫ですか?!
私たちの生活に欠かせない水。
今回のお話は、水が水道栓蛇口から出てくるまでの「給水プロセス」のお話です。
一般住宅の場合は、その敷地が面した道路地下に水道局の配水管が埋設されていて、それと各住宅の給水管を直結させて蛇口へと水を運びます。(直結方式・直結増圧方式)
しかし一度に大量の水を必要とする施設だと、直結方式では間に合いません。その場合は「貯水槽」に一度水をためて、そこから必要な場所へ水を運びます。(貯水槽方式・加圧給水方式)
生活用水をためる「受水槽」
貯水槽は、用途によって大きく2つに分かれます。
1つは工場用や防火設備用の貯水槽、2つめは飲料など生活用水として水道局の配水管から引き込んだ上水道をためている貯水槽で、「受水槽」と言っています。
敷地の一階部分や、古いビルでは地下に設置されていることもあります。
各戸へはポンプで給水がなされますが、屋上に設置した受水槽に、1階の受水槽にためた水をポンプでくみ上げ、落下する力で各戸へ給水する「高置(こうち)水槽方式」で給水されている建物もあります。
受水槽は巨大な水槽
金魚を飼った方ならおわかりかと思いますが、水槽の管理は結構難しいです。掃除を怠るとヌルヌルし始め、藻が生えたり水質低下で金魚が病気になることもあります。
そう、受水槽は巨大な水槽だと思って下さい。
集合住宅の受水槽にためられた水は、飲んだり炊事に利用したり入浴でも使う水です。当然、工業用や防災用よりも厳重な管理が必要とされています。
水道法では、受水槽の有効容量が10㎥をこえるものは「簡易専用水道」とよばれ、以下の通り、設置者は衛生的に管理することが義務付けられています。
①設置者は、毎年1回、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関に依頼して給水設備や水質の検査(有料)を受け、保健所に報告。
②設置者は受水槽・高置水槽の清掃を1年に1回、定期的に行う。
では、受水槽の有効容量が10㎥以下の受水槽についてはどうでしょうか。
これ、「小規模貯水槽水道」と呼ばれていて、水道法では「設置者は検査を受けるよう努めなければならない」としています。
つまり、義務ではないのです。
設置者とは、賃貸不動産の場合は所有者となるオーナー様です。
受水槽の管理が不十分だと、水質の低下だけでなく、感染症を引き起こす最悪の事態も想定されます。
その水、大丈夫ですか
清掃が不十分な受水槽だと、内部のドロドロ汚れはよくあること。
それどころか施錠部が破損してマンホールのふたが容易に開き、カラスの遊び場となっていた例、内部につばめが巣を作り糞が落ちていた例、鳥や虫の死骸など聞くも恐ろしい話です。
都心の一等地に建つ古いテナントビル...。
高級料理店の蛇口から出る水は一体「どのような水」で「どこ」に「どんな設備」で保管されている水なのか。気になって仕方ありません。
水をためない直結方式への切り替えも
受水槽の容量に関わらず、設置者であるオーナー様には適切な措置を行って頂くよう、管理会社が助言させて頂くのは言うまでもありません。
ただコストがかかります。
そこで、可能なら受水槽に貯めることなく水道局の配水管から各戸の蛇口まで直接給水できる「直結方式」への切り替えも、選択肢のひとつです。
最近は「直結増圧方式」といって、大規模な集合住宅でも受水槽を経由せず給水が行われています。
直結ですから特別な管理は不要、受水槽のスペースも不要なため敷地を有効利用できます。
ただ停電するとポンプが使えず断水すること、水をためる機能がないため災害時など予備の水がない点は留意する必要があります。
ポンプの交換時期を想定する
なお、ポンプは当然ながら消耗品です。
通常2~3台の給水ポンプが交互に運転をしているので、1つが壊れても他が頑張ってくれますが、残りのポンプに多大な負担がかかり壊れやすくなります。
そのため、すべてのポンプを交換して頂くことをおすすめしています。
なぜなら、ポンプの納期に1ヶ月程度かかるんです。その間に全て壊れてしまわないかとドキドキして過ごしたこともあります。
「蛇口をひねれば水が出てくる」という生活が当たり前の今、長期断水などありえません。
ポンプの定期点検と交換時期の把握も心掛けておく必要があります。
日本国内で供給されている水の水質は、世界でもトップクラスです。
命が脅かされる賃貸不動産など土地活用以前の問題、もっての外だと思われませんか?
安全と安心は建物のメンテナンスから。怠ることは許されません。
私たちの生活に欠かせない水。
今回のお話は、水が水道栓蛇口から出てくるまでの「給水プロセス」のお話です。
一般住宅の場合は、その敷地が面した道路地下に水道局の配水管が埋設されていて、それと各住宅の給水管を直結させて蛇口へと水を運びます。(直結方式・直結増圧方式)
しかし一度に大量の水を必要とする施設だと、直結方式では間に合いません。その場合は「貯水槽」に一度水をためて、そこから必要な場所へ水を運びます。(貯水槽方式・加圧給水方式)
生活用水をためる「受水槽」
貯水槽は、用途によって大きく2つに分かれます。
1つは工場用や防火設備用の貯水槽、2つめは飲料など生活用水として水道局の配水管から引き込んだ上水道をためている貯水槽で、「受水槽」と言っています。
敷地の一階部分や、古いビルでは地下に設置されていることもあります。
各戸へはポンプで給水がなされますが、屋上に設置した受水槽に、1階の受水槽にためた水をポンプでくみ上げ、落下する力で各戸へ給水する「高置(こうち)水槽方式」で給水されている建物もあります。
受水槽は巨大な水槽
金魚を飼った方ならおわかりかと思いますが、水槽の管理は結構難しいです。掃除を怠るとヌルヌルし始め、藻が生えたり水質低下で金魚が病気になることもあります。
そう、受水槽は巨大な水槽だと思って下さい。
集合住宅の受水槽にためられた水は、飲んだり炊事に利用したり入浴でも使う水です。当然、工業用や防災用よりも厳重な管理が必要とされています。
水道法では、受水槽の有効容量が10㎥をこえるものは「簡易専用水道」とよばれ、以下の通り、設置者は衛生的に管理することが義務付けられています。
①設置者は、毎年1回、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関に依頼して給水設備や水質の検査(有料)を受け、保健所に報告。
②設置者は受水槽・高置水槽の清掃を1年に1回、定期的に行う。
では、受水槽の有効容量が10㎥以下の受水槽についてはどうでしょうか。
これ、「小規模貯水槽水道」と呼ばれていて、水道法では「設置者は検査を受けるよう努めなければならない」としています。
つまり、義務ではないのです。
設置者とは、賃貸不動産の場合は所有者となるオーナー様です。
受水槽の管理が不十分だと、水質の低下だけでなく、感染症を引き起こす最悪の事態も想定されます。
その水、大丈夫ですか
清掃が不十分な受水槽だと、内部のドロドロ汚れはよくあること。
それどころか施錠部が破損してマンホールのふたが容易に開き、カラスの遊び場となっていた例、内部につばめが巣を作り糞が落ちていた例、鳥や虫の死骸など聞くも恐ろしい話です。
都心の一等地に建つ古いテナントビル...。
高級料理店の蛇口から出る水は一体「どのような水」で「どこ」に「どんな設備」で保管されている水なのか。気になって仕方ありません。
水をためない直結方式への切り替えも
受水槽の容量に関わらず、設置者であるオーナー様には適切な措置を行って頂くよう、管理会社が助言させて頂くのは言うまでもありません。
ただコストがかかります。
そこで、可能なら受水槽に貯めることなく水道局の配水管から各戸の蛇口まで直接給水できる「直結方式」への切り替えも、選択肢のひとつです。
最近は「直結増圧方式」といって、大規模な集合住宅でも受水槽を経由せず給水が行われています。
直結ですから特別な管理は不要、受水槽のスペースも不要なため敷地を有効利用できます。
ただ停電するとポンプが使えず断水すること、水をためる機能がないため災害時など予備の水がない点は留意する必要があります。
ポンプの交換時期を想定する
なお、ポンプは当然ながら消耗品です。
通常2~3台の給水ポンプが交互に運転をしているので、1つが壊れても他が頑張ってくれますが、残りのポンプに多大な負担がかかり壊れやすくなります。
そのため、すべてのポンプを交換して頂くことをおすすめしています。
なぜなら、ポンプの納期に1ヶ月程度かかるんです。その間に全て壊れてしまわないかとドキドキして過ごしたこともあります。
「蛇口をひねれば水が出てくる」という生活が当たり前の今、長期断水などありえません。
ポンプの定期点検と交換時期の把握も心掛けておく必要があります。
日本国内で供給されている水の水質は、世界でもトップクラスです。
命が脅かされる賃貸不動産など土地活用以前の問題、もっての外だと思われませんか?
安全と安心は建物のメンテナンスから。怠ることは許されません。
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