ファイナンシャルプランナー

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久保 逸郎

老後のお金の不安を解消する、ライフプランと資産運用&資産管理の専門家
「90歳まで安心のライフプラン」を合言葉にして、豊かな人生の実現に向けたライフプラン作りの支援を行っている。
独立から約15年にわたり相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近い講演や、マネー雑誌やコラム等の原稿執筆を行うなど幅広く活動中。

この執筆者の過去のコラム一覧

2017/02/10

投資は勝つことよりも、大きく負けないことのほうが大切

ファイナンシャルプランナー(FP)の久保逸郎です。

前回のコラムでリスクを抑えた運用をするためには、値動きの異なる資産を組み合わせる必要があることを書きました。

それでは一体なぜリスクを抑えたほうがいいのでしょうか?

アインシュタインも認めた複利の効果

それはお金を殖やすためには利息が元本に繰り入れられ、どんどん雪だるま式に膨らんでいく「複利」の力を味方にすることが最も大切だからです。

この「複利」はあの天才物理学者のアインシュタインが「人類最大の発明は複利(The most powerful force in the universe is compound interest.)」と発言したことでも知られています。

 

この「複利」の力を味方にするためには勝つことよりも、大きく負けないことが大切になります。

ちょっとここで例を挙げてみます。

上記の図表は100万円を投資して、ブレの大きい運用を行った場合と、ブレの小さい運用を行った場合では、投資したお金が5年後にどのようになるかをシミュレーションしたものです。

ブレの大きいケースの平均利回りは4%で、ブレの小さいケースの3.6%を上回っているものの、投資をした100万円はわずか約15000円程度しか増えません。

その一方で、ブレの小さい運用のほうは平均利回りは下回っていますが、投資をした100万円が5年後には約117万円まで増えています。

大きな下ブレは運用効率を低下させる

このようなことになぜなるのかというと、それは大きく負けて下ブレをしてしまうと、挽回をするのに多大な時間と労力が必要になるため、大幅に運用効率が低下してしまうからです。

 

例えば今年投資を行って20%の下落をしたとして、来年に20%上昇をしたとしても元には戻りません。

元に戻るためには25%の上昇が必要になります。

仮に50%下落したとすると、元に戻すためには倍にしなければいけないのです。

このように「複利」の力を味方に付けてお金を増やしていくには、とにかく大きく負けないことが大切で、そのために値動きの異なる資産を組み合わせて価格変動を小さくする、分散投資の徹底が必要になるのです。

 

日本の投資家は株式やREIT(リート)のような価格変動の大きいものに資産を偏らせ過ぎている傾向があります。

そのような場合は投資を行っても、なかなかそれが資産の増加に結びつきません。

そのためご自身の保有資産がどの程度の価格変動があるか資産全体のリスクを確認して、必要であればリスクを下げることも行ってみましょう。

 

投資で勝ち続けることはまず不可能です。 でも向かい風の時(投資環境が厳しいタイミング)の負け方を小さくしておけば、突然アベノミクス相場のような強い追い風が吹いてくれることがあるのです。

 

『投資は勝つことよりも、大きく負けないことのほうが大切』

覚えておいてくださいね!

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