税理士

あんしん税理士法人

鹿田 幸子

福岡県出身。大学卒業後、大阪の会計事務所にて勤務。帰福後は、福岡の大手会計事務所に勤務し、幅広い業務に携わる。2007年税理士登録。2013年 12月安藤税理士事務所入所。2016年12月法人成(あんしん税理士法人)。社員税理士となる。かかりつけ医のような税理士を目指し日々研鑽中。
資格:税理士

この執筆者の過去のコラム一覧

2021/07/10

税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(税務行政の将来像 2.0)

ウィズコロナ・ポストコロナ時代で加速

令和3年6月11日に国税庁のホームページ上で表題の取り組みについての公表がなされました。
デジタル活用により、サービスや仕事の在り方を変える、デジタルトランスフォーメーションを推進する動きが社会全体で広まっていることを受け、行政でも令和3年9月にデジタル庁が設置され、行政のデジタルトランスフォーメーションを進めていく予定だということです。

ウィズコロナ・ポストコロナの時代と相俟って今後この動きは加速することと思われます。

抜本的な見直しと基本的指針

国税庁においては、「デジタルを活用した、国税に関する手続きや業務の在り方の抜本的な見直し」に取り組む方針が明確にされました。
目指すべき将来像としては「納税者の利便性の向上」「課税・徴収の効率化・高度化」を2本の柱としつつ、「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」に向けた構想が示され、課税・徴収におけるデータ分析の活用等の取り組みを進めていくこととされています。

それにより、国民にとって利便性が高く、かつ、適正・公平な社会の実現に貢献していくことを目指しています。
国税庁のホームページに現時点で28ページからなるパンフレットが公表されています。 それによると、税務行政のデジタルトランスフォーメーションの基本的な指針として、

①利用者目線の徹底
②万全なセキュリティの確保
③業務改革(BPR)の徹底 

の3つが挙げられています。

税務署に行かなくても手続きが出来る

①については、『デジタルに不慣れな方も含め、多様な利用者の意見に耳を傾けつつ、「すぐに使えて」、「簡単」で、「便利」な行政サービスを提供し、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる」社会を目指します』とあります。
構想としては、

*申告・申請等の簡便化(数回のクリック等で完了)
・必要なデータを自動反映 ・手続き自体の要否を見直し
・納付・還付は登録済口座を利用 ・入力項目は最小限に
*自己情報のオンライン化
・マイナポータルやe-taxのアカウント画面で特例適用や納税状況を確認
*チャットボットの充実等
チャットボットとはスマートフォン等で、質問を入力するとAIを活用して自動で回答を表示するサー  ビスです。
*プッシュ型の情報配信

が挙げられています。

パンフレットでは、それぞれについてもう少し詳しく説明がされています。「マイナポータル」という単語が何度も出てきますので、やはり、マイナンバーカードの普及が大前提なのでしょう。

マイナポータルというのは、マイナンバーカードを使う事で人々の暮らしをより良くする様々なサービスをいつでもどこでも安全に利用することができる、政府が運営するオンラインサービスのことです。
②と③については、さらっと書いてあります。

ごまかしや不正はできない

①についての構想を見ていると、確かに納税者に便利なように公平なように、という事で、それにはマイナンバーや法人番号などで情報を紐づけしていくしかないでしょうから、何もかもが明るみにされるようで困惑される方もいらっしゃるでしょうが、裏を返せば、ごまかしや不正が無い税務の世界となって、正直者が損をするような世界が払しょくされるのなら、少し窮屈に感じられる世界でも良いかと個人的には思いました。

すべての著作権は(株)大洋不動産に帰属しています。無断転載は固くお断りいたします。