2021/09/10
秋の訪れは賃貸不動産経営のターニングポイント
9月に都道府県が公表「基準地価」
朝晩の空気が変わり始め、ゆるやかに秋の訪れを感じる9月。
不動産の指標の1つである基準地価が公表されます。正式には「基準地標準地価」といって、都道府県知事が9月下旬に公表しています。
確か同じようなのが…とお気づきの方、3月に公表される公示地価のことですね。こちらは国が公表する指標です。
実はこれ、公示地価が決まれば、ほぼ自動的に路線価(相続税・贈与税算定の基準)と固定資産税評価額(固定資産税・都市計画税算定の基準)も決まってしまいます。
なぜならその水準は、公示地価を100とすると路線価は約80%、固定資産税評価額は約70%の割合になっているからです。
わかりやすく一覧表にまとめました。
このように、不動産の価格は売買の成約価格(マーケットプライス)だけでなく、公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額と、それぞれの目的に沿って定められています。
一物四価とも五価とも言われる所以ですが、賃貸不動産の経営者であるオーナーにとっては、どれも目が離せない指標であることは言うまでもありません。
基準地価からエリアの地価動向を確認
基準地価が公表されたら、地価の動向についてご確認ください。
所有する不動産のエリアが上昇傾向であれば、固定資産税は上がる可能性大です。
同様に相続税算定の基準となる路線価も上がってますから、相続税の負担も考慮する必要が出てきます。
なお固定資産税評価額については、今年特別な措置が講じられていることにもご注意ください。
固定資産税は据え置きの特例措置に着目、来年は要注意
固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税算定の基準となる価格を定めたものです。
3年に1度、「評価替え」と言って評価額の見直しがなされていて、2021年つまり今年は評価替えの年にあたります。
地価の上昇が続くエリアでは、これまでの値上がりに加えさらに上がるはずでした。
ところが今年は据え置きという措置がとられました。理由は新型コロナウイルス感染症による社会情勢の変化で、納税の負担感に配慮した特例措置です。
来年度の税制改正で特例継続となる可能性も否定できませんが、通常に戻るかもしれず納付書が届いたら注意して確認してみてください。
固定資産税というボディブロー
では、何かできることはないのでしょうか。
固定資産税は毎年毎年納税する税金で、地価上昇エリアではボディブローのようにじわじわと収益を圧迫し出すかもしれません。
そうならないためには現在の家賃で持ちこたえて、できるだけ収入を今より下げないことです。
通常は、築年数が経つと家賃の値下げで対応せざるを得ません。これをストップさせるのです。
単純で効果的な手法としてご提案するのは、現在の入居者の退去防止策です。
退去が出ると空室期間の家賃が入らないのはもちろん、リフォーム費用や広告料がかかります。場合によっては募集家賃が下がる事態も起こり得ます。
阻止するためには、日頃から顧客満足度を意識しておくと良いと思います。
こうしたことは空室が増えてからするのではなく、平常な時こそ心がけて実行することが大切です。
募集家賃の値下げではなく、アップすることにつながった例もあるくらいです。
相続対策は逆転負けの封じ込め
地価上昇エリアで気をつけるべきは相続税です。一度は試算しておくことをおすすめします。
先を見据え今できることを着々と、時間を味方につけることが良い相続対策の要です。
家族のために「自分はどうしたいのか」という答えが必ず出ます。
相続税の多少に関わらず、「売りませんか」「建てませんか」という利益誘導型の営業トークが後を絶ちません。
相続税だけのために1億円単位の借入をして、かえってお子さん達の重荷になったのでは本末転倒です。
逆転負けするような誘いは封じ込めましょう。
平常な時、それは今
地価上昇は諸刃の剣、良い面と悪い面があります。
ただ危機というのは突然やってくるものばかりではありません。
不動産の場合、その多くはプランニングしておくことで備えることができます。
固定資産税も相続税も対策のポイントはただひとつ、「平常な時」にプランニングしておくという一点です。
そのときが来て、慌ててネットを検索しても、助走のない棒高跳びと同じで、できることは限られてしまいます。平常な時、それは今しかないのかもしれません。
秋の訪れをターニングポイントととらえ、賃貸不動産を見つめ直してみませんか?
不動産が人を豊かにし、未来永劫幸せにするものであるために、持つ人々もそこに暮らす人々も穏やかであることを願います。
9月に都道府県が公表「基準地価」
朝晩の空気が変わり始め、ゆるやかに秋の訪れを感じる9月。
不動産の指標の1つである基準地価が公表されます。正式には「基準地標準地価」といって、都道府県知事が9月下旬に公表しています。
確か同じようなのが…とお気づきの方、3月に公表される公示地価のことですね。こちらは国が公表する指標です。
実はこれ、公示地価が決まれば、ほぼ自動的に路線価(相続税・贈与税算定の基準)と固定資産税評価額(固定資産税・都市計画税算定の基準)も決まってしまいます。
なぜならその水準は、公示地価を100とすると路線価は約80%、固定資産税評価額は約70%の割合になっているからです。
わかりやすく一覧表にまとめました。
このように、不動産の価格は売買の成約価格(マーケットプライス)だけでなく、公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額と、それぞれの目的に沿って定められています。
一物四価とも五価とも言われる所以ですが、賃貸不動産の経営者であるオーナーにとっては、どれも目が離せない指標であることは言うまでもありません。
基準地価からエリアの地価動向を確認
基準地価が公表されたら、地価の動向についてご確認ください。
所有する不動産のエリアが上昇傾向であれば、固定資産税は上がる可能性大です。
同様に相続税算定の基準となる路線価も上がってますから、相続税の負担も考慮する必要が出てきます。
なお固定資産税評価額については、今年特別な措置が講じられていることにもご注意ください。
固定資産税は据え置きの特例措置に着目、来年は要注意
固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税算定の基準となる価格を定めたものです。
3年に1度、「評価替え」と言って評価額の見直しがなされていて、2021年つまり今年は評価替えの年にあたります。
地価の上昇が続くエリアでは、これまでの値上がりに加えさらに上がるはずでした。
ところが今年は据え置きという措置がとられました。理由は新型コロナウイルス感染症による社会情勢の変化で、納税の負担感に配慮した特例措置です。
来年度の税制改正で特例継続となる可能性も否定できませんが、通常に戻るかもしれず納付書が届いたら注意して確認してみてください。
固定資産税というボディブロー
では、何かできることはないのでしょうか。
固定資産税は毎年毎年納税する税金で、地価上昇エリアではボディブローのようにじわじわと収益を圧迫し出すかもしれません。
そうならないためには現在の家賃で持ちこたえて、できるだけ収入を今より下げないことです。
通常は、築年数が経つと家賃の値下げで対応せざるを得ません。これをストップさせるのです。
単純で効果的な手法としてご提案するのは、現在の入居者の退去防止策です。
退去が出ると空室期間の家賃が入らないのはもちろん、リフォーム費用や広告料がかかります。場合によっては募集家賃が下がる事態も起こり得ます。
阻止するためには、日頃から顧客満足度を意識しておくと良いと思います。
こうしたことは空室が増えてからするのではなく、平常な時こそ心がけて実行することが大切です。
募集家賃の値下げではなく、アップすることにつながった例もあるくらいです。
相続対策は逆転負けの封じ込め
地価上昇エリアで気をつけるべきは相続税です。一度は試算しておくことをおすすめします。
先を見据え今できることを着々と、時間を味方につけることが良い相続対策の要です。
家族のために「自分はどうしたいのか」という答えが必ず出ます。
相続税の多少に関わらず、「売りませんか」「建てませんか」という利益誘導型の営業トークが後を絶ちません。
相続税だけのために1億円単位の借入をして、かえってお子さん達の重荷になったのでは本末転倒です。
逆転負けするような誘いは封じ込めましょう。
平常な時、それは今
地価上昇は諸刃の剣、良い面と悪い面があります。
ただ危機というのは突然やってくるものばかりではありません。
不動産の場合、その多くはプランニングしておくことで備えることができます。
固定資産税も相続税も対策のポイントはただひとつ、「平常な時」にプランニングしておくという一点です。
そのときが来て、慌ててネットを検索しても、助走のない棒高跳びと同じで、できることは限られてしまいます。平常な時、それは今しかないのかもしれません。
秋の訪れをターニングポイントととらえ、賃貸不動産を見つめ直してみませんか?
不動産が人を豊かにし、未来永劫幸せにするものであるために、持つ人々もそこに暮らす人々も穏やかであることを願います。
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