院長/認知症サポート医

医療法人すずらん会たろうクリニック

内田 直樹

医療法人すずらん会たろうクリニック(福岡市東区)院長、精神科医。1978年長崎県南島原市生まれ。2003年琉球大学医学部医学科卒業。福岡大学病院、福岡県立太宰府病院勤務を経て、2010年より福岡大学医学部精神医学教室講師。福岡大学病院で医局長、外来医長を務めた後、2015年より現職。
日本在宅医療連合学会評議員、日本老年精神医学会専門医・指導医、認知症の人と家族の会福岡支部顧問、福岡市在宅医療医会理事、NPO在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク理事、など。精神保健指定医。「認知症の人に寄り添う在宅医療」他、著書・寄稿多数。福岡県福岡市東区名島1-1-31/TEL 092-410-3333

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2021/11/10

第4回 睡眠の質を高める生活習慣について

睡眠は安定した生活の基本である

新型コロナウイルス感染症の影響が長期間に及び、落ち着かない日々を過ごされている方も多いと思います。こういう時こそ、よく食べよく眠ることが重要です。
様々な身体疾患や精神疾患に不眠症が関係しており、不眠症が生活の質を低下させることは皆さんもお感じのことだと思います。

さらに、認知症に関連する脳の異常なタンパク質が睡眠中に排泄されるなど、十分な睡眠が認知症の発症を起こらせることや進行を遅くすることに重要であることもわかっています。
そこで今回は、睡眠の質を高めるために気をつける生活習慣についてお伝えします。

起きる時間を固定する

はじめに気をつける生活習慣は、「起きる時間を固定すること」です。人間はいつでも好きな時に眠れるようにはできていませんが、決められた時間に起きることはできます。
つまり、眠れない時にはじめにやるべきことは、寝ようとするのではなく起きることです。
夜眠れず寝付く時間が遅くなると翌日起きる時間も遅くなってしまい、睡眠リズムが崩れている方が多いです。

前の日に寝た時間が何時であろうと起きる時間を固定することが重要です。
今日は土日で仕事がないからとゆっくり寝ていると夜眠くなる時間が遅くなり寝付くのも遅い時間になってしまいます。
これによって、月曜日に仕事で早く起きないといけないのに眠くて起きられないという事態が生じます。

寝付く時間にはこだわらない

次に気をつける生活習慣は、「寝る時間にこだわらず眠くなったら床につくこと」です。
私が医師になった頃は、毎日同じ時間に床につくよう患者さんに指導を行なっていました。しかしその後、眠くないのに床の中に長い時間いるとかえって抑うつの悪化などを引き起こすことが研究で明らかになりました。
何時かに関係なく眠くなったら床につき、さらに、床に入り30分たっても寝付けない場合は一旦床を出るようにしましょう。

他にも気を付けること

人間は、ほどよく疲れて、体内時計を利用することで眠っています。
睡眠の質を高めるためには、日中に十分活動することが重要です。
一日中ベッドの上で過ごしているようでは、満足した睡眠を取る事は困難です。寝床に入ると眠るということを脳にインプットさせるためにも、日中は寝床を離れるようにしましょう。

体内時計を整えるためには、朝起きたらカーテンを開けて日の光を浴びるようにします。
逆に夜眠る時間が近くなったら部屋の明るさを抑えるようにしましょう。
また、寝る前にテレビや携帯電話の画面を長時間みるとブルーライトの影響で脳が覚醒し寝付きが悪くなるため注意が必要です。

必要な睡眠時間は人それぞれ

メディアではよく、「健康のためにはX時間眠る必要があります!」などと取り上げられていることがありますが、必要な睡眠時間は個人差が大きく、同じ人でも加齢にともなって必要な睡眠時間は短くなっていきます。
日中に眠気で困らなければ睡眠時間は十分だと考えましょう。

最近、昼寝をすることによって午後の仕事の効率がアップすることが注目されており、福岡市も「福岡100」の一環として昼寝を勧める#PowerNapというプロジェクトを行っています。しかし、長すぎる昼寝は夜の寝つきを悪くします。
30分以内にしましょう。

昼寝はOK、アルコールはNG

次にアルコールに関して。寝酒といって眠るために飲むという方がいらっしゃいますが、お勧めしません。飲酒の睡眠に対する効果は、眠くなることと睡眠を浅くすることです。
飲酒は睡眠の質を下げます。

最後に、これまで挙げた生活習慣を実践しても十分な睡眠が取れない方や、長時間眠っても日中に眠気が残る方、いびきや寝言がひどい方は、専門医を受診することをお勧めします。

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