2021/12/10
誰もがいつかは「おひとり様」~終活のはじめ方
12月1日、総務省は2020年に行われた国勢調査の確定値を公表しました。
これによれば、人口減少の中で世帯数の方は2015年比4.2%と一貫して増加を続ける一方で1世帯当たりの人数は縮小、2020年はかろうじて2人以上を保っている状況です。(総務省統計局)
「おひとり様」時代の到来です。
総務省HPより
配偶者や子どもがいない世帯の増加が一因とも言われますが、それだけではありません。
配偶者との死別や施設への入所、離婚など、お子さんがいても「世話になりたくない、迷惑をかけたくない」と考える方が増えたこともあるでしょう。
「おひとり様」として人生の最期を迎える人が急増しているのです。
「終活」がクローズアップされていることとも無関係ではなさそうですね。
おひとり様は独身貴族だけではない
数年前のあるご相談です。
Y子さんは63歳。認知症を患い、施設で車椅子生活を送る兄(67歳)のことでご相談に来られました。兄の面倒は兄嫁が見てくれていたのですがその兄嫁が急死、兄夫婦には子供がいません。
Y子さんの兄は認知症でありながら、おひとり様になってしまいました。
Y子さんは「現実を一人でも多くの方に知って頂けるなら」と、掲載の許可を頂きました。プライバシーに配慮しつつ続けます。
お兄さんのお嫁さんを仮にM子さんとします。
M子さんは2年前に病を得て入退院を繰り返していました。ご自身の療養費と認知症の兄の介護費用は、年金と小さな駐車場の不動産収入でまかなっていたそうです。
そんなM子さんが亡くなったことを知ったのは、病院からY子さんの携帯にかかってきた一本の電話でした。
「M子さんをご存じですね、すぐ遺体を引き取りに来て下さい」。
事情を聞いたY子さんは最初は「何で自分が?」という気持ちになりましたが、すぐに思い直しました。
認知症の兄は、もうM子さんのことは何もできない状態なのです。
やること山積です。
誰かがやってくれる(させてしまう)かもしれないこと
すぐさま葬儀社に連絡を取ると病院の支払いを済ませ、荷物を引き取り、M子さん宅に向かいました。納骨はどこにすればいいのか、手がかりが欲しかったからです。
結局わからずY子さんの両親がお世話になっているお寺に葬儀を依頼、永代供養の納骨堂を数十万円立替えて購入することにしました。
とりあえず200万円、定期預金を解約しましたが残りわずかです。
主がいなくなったM子さん宅で途方に暮れるY子さん。
ご相談に来られたのは、M子さんが亡くなられて3日目のことでした。
Y子さんがなすべきことはM子さんのことだけではありません。
お兄さんの療養費の請求はY子さんに届くことになっています。
直ちに必要なのは、M子さんの配偶者である兄の後見人選定を裁判所に申請することでした。
後見が決まれば、立替えた費用もM子さんの相続財産から支払われ、お兄さんの療養費も立替えずに済むようになります。頼りになるのは、相続や後見に通じた専門職です。
そこで後見人候補と見込んで、信頼している司法書士をY子さんにお引き合わせしました。
終活は死に支度ではありません
兄嫁のM子さんは明るく世話好きな性格で、Y子さんをランチに誘ってはごちそうしてくれたそうです。
近頃はたった一人の姪に何かしてやりたいこと、駐車場は売却して治療費やYさんの兄の療養費を心配することなく暮らしたいというようなことを話してくれたそうです。
あまりにも早く、突然逝ってしまったM子さんですが、本当は人生のエピローグを「より良く生きたい」「自分らしく生きたい」と強く思い描いていらっしゃったのではないでしょうか。
良く生きるとは良く逝くこと。
終活は生きがいを持って過ごすために必要なことであって、人生の終わりに向けた死に支度ではありません。
M子さんがやり遂げようとしていたことは、終活だったのだろうと思いました。
誰もがおひとり様になる可能性
終活に特別なルールはありません。家族の事情や環境は人それぞれ、形は異なるからです。
「何から始めたら良いかわからない」という場合はエンディングノートを書いてみてはいかがでしょう。簡単なもので構いません。
エンディングノートは過去を振り返り、現在の自分の状況を把握して、先々どうしたいかを考えて書き込むノートです。
結果的にまわりを思いやることにもつながり、心の安らぎを得ることも多々あると思います。
「備えあれば憂いなし」おひとり様時代の心得ですね。
12月1日、総務省は2020年に行われた国勢調査の確定値を公表しました。
これによれば、人口減少の中で世帯数の方は2015年比4.2%と一貫して増加を続ける一方で1世帯当たりの人数は縮小、2020年はかろうじて2人以上を保っている状況です。(総務省統計局)
「おひとり様」時代の到来です。
総務省HPより
配偶者や子どもがいない世帯の増加が一因とも言われますが、それだけではありません。
配偶者との死別や施設への入所、離婚など、お子さんがいても「世話になりたくない、迷惑をかけたくない」と考える方が増えたこともあるでしょう。
「おひとり様」として人生の最期を迎える人が急増しているのです。
「終活」がクローズアップされていることとも無関係ではなさそうですね。
おひとり様は独身貴族だけではない
数年前のあるご相談です。
Y子さんは63歳。認知症を患い、施設で車椅子生活を送る兄(67歳)のことでご相談に来られました。兄の面倒は兄嫁が見てくれていたのですがその兄嫁が急死、兄夫婦には子供がいません。
Y子さんの兄は認知症でありながら、おひとり様になってしまいました。
Y子さんは「現実を一人でも多くの方に知って頂けるなら」と、掲載の許可を頂きました。プライバシーに配慮しつつ続けます。
お兄さんのお嫁さんを仮にM子さんとします。
M子さんは2年前に病を得て入退院を繰り返していました。ご自身の療養費と認知症の兄の介護費用は、年金と小さな駐車場の不動産収入でまかなっていたそうです。
そんなM子さんが亡くなったことを知ったのは、病院からY子さんの携帯にかかってきた一本の電話でした。
「M子さんをご存じですね、すぐ遺体を引き取りに来て下さい」。
事情を聞いたY子さんは最初は「何で自分が?」という気持ちになりましたが、すぐに思い直しました。
認知症の兄は、もうM子さんのことは何もできない状態なのです。
やること山積です。
誰かがやってくれる(させてしまう)かもしれないこと
すぐさま葬儀社に連絡を取ると病院の支払いを済ませ、荷物を引き取り、M子さん宅に向かいました。納骨はどこにすればいいのか、手がかりが欲しかったからです。
結局わからずY子さんの両親がお世話になっているお寺に葬儀を依頼、永代供養の納骨堂を数十万円立替えて購入することにしました。
とりあえず200万円、定期預金を解約しましたが残りわずかです。
主がいなくなったM子さん宅で途方に暮れるY子さん。
ご相談に来られたのは、M子さんが亡くなられて3日目のことでした。
Y子さんがなすべきことはM子さんのことだけではありません。
お兄さんの療養費の請求はY子さんに届くことになっています。
直ちに必要なのは、M子さんの配偶者である兄の後見人選定を裁判所に申請することでした。
後見が決まれば、立替えた費用もM子さんの相続財産から支払われ、お兄さんの療養費も立替えずに済むようになります。頼りになるのは、相続や後見に通じた専門職です。
そこで後見人候補と見込んで、信頼している司法書士をY子さんにお引き合わせしました。
終活は死に支度ではありません
兄嫁のM子さんは明るく世話好きな性格で、Y子さんをランチに誘ってはごちそうしてくれたそうです。
近頃はたった一人の姪に何かしてやりたいこと、駐車場は売却して治療費やYさんの兄の療養費を心配することなく暮らしたいというようなことを話してくれたそうです。
あまりにも早く、突然逝ってしまったM子さんですが、本当は人生のエピローグを「より良く生きたい」「自分らしく生きたい」と強く思い描いていらっしゃったのではないでしょうか。
良く生きるとは良く逝くこと。
終活は生きがいを持って過ごすために必要なことであって、人生の終わりに向けた死に支度ではありません。
M子さんがやり遂げようとしていたことは、終活だったのだろうと思いました。
誰もがおひとり様になる可能性
終活に特別なルールはありません。家族の事情や環境は人それぞれ、形は異なるからです。
「何から始めたら良いかわからない」という場合はエンディングノートを書いてみてはいかがでしょう。簡単なもので構いません。
エンディングノートは過去を振り返り、現在の自分の状況を把握して、先々どうしたいかを考えて書き込むノートです。
結果的にまわりを思いやることにもつながり、心の安らぎを得ることも多々あると思います。
「備えあれば憂いなし」おひとり様時代の心得ですね。
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