税理士

あんしん税理士法人

鹿田 幸子

福岡県出身。大学卒業後、大阪の会計事務所にて勤務。帰福後は、福岡の大手会計事務所に勤務し、幅広い業務に携わる。2007年税理士登録。2013年 12月安藤税理士事務所入所。2016年12月法人成(あんしん税理士法人)。社員税理士となる。かかりつけ医のような税理士を目指し日々研鑽中。
資格:税理士

この執筆者の過去のコラム一覧

2022/04/10

成年年齢引き下げの相続税などへの影響

(1)概要

令和4 年4 月1日から、日本での成年年齢が20歳から18歳に変わります。
明治時代から現在令和4年3月までの約140年間、日本での成年年齢は20歳である、と民法で定められていましたが、この民法が改正されるのです。
これにより、令和4年4月1日時点で18歳や19歳の方は、令和4年4月1日に新成人となります。法務省などのHPには、諸外国における成年年齢等の調査結果が載っていますが、それを見ると、成年年齢は18歳が主流のようです。
また、内閣府大臣官房政府広報室のHPを見てみると、18歳(成年)になったらできること、とこれまで通り20歳にならないとできないことの例がわかりやすく記載されています。



18歳になったらできること
には、「親の同意が無くでも契約できる」として、携帯電話の契約やローンを組む、クレジットカードをつくる、などが挙げられています。ほかにも「10年有効のパスポートを取得できる」、「医師免許や司法書士などの国家資格を取得できる」等々載っています。

一方、これまで通り20歳にならないとできないことには「飲酒」「喫煙」「競輪等の券の購入」などが挙げられています。
このように、さまざまな影響が其処彼処にあるのですが、税制においても、影響があるものがあり、相続や贈与などの年齢要件が見直されています。

(2)相続・贈与への影響

① 相続税申告での未成年者控除(相続人の中に未成年者がいる場合に、その者の相続税から、その者が成年に達するまでの年数に10万円を掛けた金額が控除される制度) 令和4年4月1日以後に開始する相続について、それ以前は20歳未満の者に対して計算していたのが、18歳未満の者について計算することになります。

② 相続の際の遺産分割協議への参加年齢が18歳以上となります。

③ 相続時精算課税制度の対象者の年齢
令和4年4月1日以後に行われる贈与から、相続時精算課税制度の受贈者の年齢要件の下限が20歳以上から18歳以上へ引き下げられます。
ただ、年齢の判定は「贈与が行われた年の1月1日において18歳以上の者」ということなので、少しわかりづらいかもしれません。



④ 直系尊属からの贈与に係る贈与税率

③と同じで、令和4年4月1日以後に行われる贈与から18歳以上の者への贈与について通常の贈与税率より若干税負担が少なくなる税率の適用がなされます。
これまでは直系尊属からの20歳以上の者への贈与に対して適用されていました。やはり、年齢の判定は「贈与が行われた年の1月1日において18歳以上の者」となっています。

相続・贈与への影響はほかにもあり、「年齢の判定をいつ行うのか?」については③④とは異なる判定日のものもあるのですが、多くの人が接する制度ではないので、ここでは割愛しています。

個人的には、日本では毎年いろいろな手法の詐欺や悪徳商法の消費者被害が発生していることを鑑みると、中学生や高校生のうちから、お金にまつわる勉強をしたり、世間知を周りの大人がもっと伝えていかないと犯罪被害者が増えてしまうのでは、と懸念しています。

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