(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2022/06/10

生命保険の真価!それは「受取人のその後の人生」

不動産と相続のアドバイザー、小峰裕子です。
さて、今回は生命保険信託を紹介させて頂きます。
「信託」というと難しく思われるかもしれませんが、そこはさすがの生命保険。大きな愛を感じます。

急に大きなお金をもらったら困るかな…

事例1 母子家庭(父子家庭)の例

坂田ひとみさん(37歳:仮名)は数年前に離婚、娘さん(8歳)と一緒に実家近くで暮らしています。知人から、今のうちに娘さんのために生命保険に加入しておいたほうがいいよと言われました。
ひとみさんは確かにそうだと思いましたが、自分に万が一のことがあった場合に娘に多額の保険金を残しても大丈夫なのかな?と、決めかねています。
かと言って、親に負担をかけることもしたくないと思っています。

事例2 障害のあるお子様をお持ちの例

高野浩一さん(53歳:仮名)は、奥様との間に息子さん(27歳)と娘さん(24歳)を授かりました。息子さんは障がいがあり、将来お金のことで困らないように息子さんを受取人にした生命保険に入ってはいますが、息子さんはお金の管理ができません。
娘さんにその負担を背負わせてしまうのもできれば避けたいと考えていますが、何か良い方法がないかと悩んでいます。

愛を込めて、ずっと見守っています

通常、生命保険は保険会社が受取人に保険金を渡せばそれで終わりですが、その後のことまで管理してくれる生命保険契約、それが「生命保険信託」です。

事例1の坂田ひとみさんの場合は、ひとみさんに万が一のことがあっても、定期的に娘さんに生活費や学費が支払われるようにすることができますし、また年齢に応じて金額を変えることもできます。
大学入学費用など、臨時的な支払にも対応できます。
つまり支払期間や金額について、あらかじめ決めておくことができるのです。

事例2の高野浩一さんはどうでしょうか。
生命保険信託だと、浩一さん亡き後に施設の利用料や生活費など、息子さんは定期的に受け取ることができます。
そして息子さん亡き後に残った生命保険金は、娘さんやお世話になった施設に渡してもらうようにすることもできます。

生命保険と信託双方のメリットを

このようにご自分がいなくなった後も、保険金に込めた想いが届くこと、これは生命保険信託の大きな特徴になりますが、保険なので月々の保険料の支払いで大きな保障を得ることができます。
また生命保険金は生命保険会社が管理して届ける仕組みですから、身近な人の手を煩わすようなことが基本的ありません。

ただ、生命保険金という金銭のみの取り扱いなので、ご自宅など不動産を取り扱うことは出来ません。その点はデメリットになるのかもしれません。

契約のながれとコスト

生命保険信託の仕組みについて、事例1の坂田ひとみさんを例にご説明しましょう。
まず生命保険ですから、①ひとみさんは生命保険会社と契約を結びます。
ひとみさんは契約者であり、被保険者です。被保険者であるひとみさんが万が一の場合、娘さんを受取人とする契約を結ぶのです。
ただひとみさんは、娘さんが一度に多額の保険金を受け取ることを心配しています。ここで信託の出番です。

信託は委託者(財産を託す人)受託者(託される人)受益者(利益を受ける人)の3者がいて成り立ちます。
そこで委託者をひとみさん、受託者を信託会社(生命保険会社が運営または提携する信託銀行)、受益者を娘さんとする②信託契約を同時に結びます。
すると、ひとみさんに万が一のことがあれば③生命保険金は受託者に支払われます。
そして④受託者はその生命保険金をあらかじめ決められた通りに、受益者である娘さんにお届け、お支払いをするという仕組みです。

さらに、⑤第2、第3の受益者を決めておくことも出来ます。事例2の高野さんのケースのように、障害を持つ息子さん亡き後は「娘さんに」「お世話になった施設に」というようなことも可能になるのです。

最後に気になるコスト面について、各社違いがありますので確認しておきましょう。

契約時の手数料だけでなく、生命保険金が支払われる際も手数料がかかりますが、コストを支払ってでも見合うと思うなら、そのお金は天国から届くあなたからのギフトです。

そのお金は天国から届くギフト

生命保険信託は深く考えて設計していくものであり、時間をかけて考えたいものです。
そのためには、生命保険信託の仕組みをよく理解し、本気で一緒に考えてくれる人に相談するのが一番です。ずっと誰かに寄り添えるというのは、とても素敵なことですから。

生命保険信託のお問い合わせは、大洋不動産までお気軽にお寄せ下さい。信頼できるライフプランナーにお繋ぎをさせて頂きます。

参考文献:藤原由親氏著『障がいのある子の「親なきあと」対策』日本法令
家族信託実務ガイド第9号

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