2022/08/10
人生の最終段階における医療とケアについて考える
先日、相続マインズ福岡の定例研修会でお話しする機会をいただきました。
テーマは、「人生の最終段階における医療とケアについて考える」です。
本人や家族の満足度が向上しない理由とは
「人生の最終段階」は、以前「終末期」と言われていました。
いよいよ人生の最終段階という時、どういった医療やケアを受けるか自分で判断できる人は3割しかいないと言われています。
多くの人が長生きするようになった中で、このコラムでもお伝えしているように長生きすると誰しも認知症の状態となるため、自分で判断することが難しくなるのです。
このため、事前に自分で意思を示しておこう、として考えられたのがリビングウィルや事前指示書と言われるものです。
欧米を中心にひろまりましたがその後の研究で、書類で事前に意思を示しておいても、本人や家族の満足度は向上しないということがわかりました。
人の気持ちは変わりうることや、事前に書類に残していない想像もしないことがしばしば起きることなどが理由のようです。
注目されるアドバンスケアプランニング(ACP)
このため、事前に書類に残すことに変わって注目されたのが、アドバンスケアプランニング(ACP)です。
ACPは、医療やケアについての話し合いを何度も重ねるプロセスを重視します。命には関わらないまでも肺炎になった、転んで骨折したなど、さまざまなタイミングで、本人と医療・介護職で話し合いを行います。
また、ここで重要なのが代理意思決定者を決めておくことです。
お伝えしたように、人生の最終段階において多くの人は自分で意思決定ができません。このため、「自分が意思決定できなくなったらこの人の判断に任せます」という代理意思決定者をあらかじめ決めておくのです。
その上で、本人と医療・介護職の話し合いに代理意思決定者も入ってもらい、話し合いのプロセスを重ねていきます。
本人の推定意思に沿い決定する
途中で本人が意思決定を行うことが難しくなった際には、医療・介護職と代理意思決定者が話し合って方針を決定します。
このときに重要なのが、本人の推定意思に沿って決定するという考え方です。
過去には、本人が意思決定できない状況になった場合、「本人は判断できないのでご家族で判断して決めてください。」と決断を迫られることがありました。
しかしこれでは、判断の負担を家族に負わせることになり、「あそこで胃瘻を抜いた判断は良かったのだろうか」と後々まで悩みを抱えることにもつながっていました。
本人の自己コントロール感の高まりと家族の負担軽減も
また、本人の意思が尊重されていないという課題もありました。
このため、話し合いを重ねた医療・介護職と代理意思決定者によって本人の意思を推定し、「今本人は認知症の状態にあるため自分で判断できないけど、もし判断できるとしたらこう希望するだろう」という推定意思に沿って決定するのです。
これによって、家族などの代理意思決定者に意思決定の負担をおわせることが減り、本人の意思も尊重することができます。
ACPを行うことで、本人の自己コントロール感が高まり、患者と家族の満足度が向上し、遺族の不安や抑うつが減少することがわかっています。
先日、相続マインズ福岡の定例研修会でお話しする機会をいただきました。
テーマは、「人生の最終段階における医療とケアについて考える」です。
本人や家族の満足度が向上しない理由とは
「人生の最終段階」は、以前「終末期」と言われていました。
いよいよ人生の最終段階という時、どういった医療やケアを受けるか自分で判断できる人は3割しかいないと言われています。
多くの人が長生きするようになった中で、このコラムでもお伝えしているように長生きすると誰しも認知症の状態となるため、自分で判断することが難しくなるのです。
このため、事前に自分で意思を示しておこう、として考えられたのがリビングウィルや事前指示書と言われるものです。
欧米を中心にひろまりましたがその後の研究で、書類で事前に意思を示しておいても、本人や家族の満足度は向上しないということがわかりました。
人の気持ちは変わりうることや、事前に書類に残していない想像もしないことがしばしば起きることなどが理由のようです。
注目されるアドバンスケアプランニング(ACP)
このため、事前に書類に残すことに変わって注目されたのが、アドバンスケアプランニング(ACP)です。
ACPは、医療やケアについての話し合いを何度も重ねるプロセスを重視します。命には関わらないまでも肺炎になった、転んで骨折したなど、さまざまなタイミングで、本人と医療・介護職で話し合いを行います。
また、ここで重要なのが代理意思決定者を決めておくことです。
お伝えしたように、人生の最終段階において多くの人は自分で意思決定ができません。このため、「自分が意思決定できなくなったらこの人の判断に任せます」という代理意思決定者をあらかじめ決めておくのです。
その上で、本人と医療・介護職の話し合いに代理意思決定者も入ってもらい、話し合いのプロセスを重ねていきます。
本人の推定意思に沿い決定する
途中で本人が意思決定を行うことが難しくなった際には、医療・介護職と代理意思決定者が話し合って方針を決定します。
このときに重要なのが、本人の推定意思に沿って決定するという考え方です。
過去には、本人が意思決定できない状況になった場合、「本人は判断できないのでご家族で判断して決めてください。」と決断を迫られることがありました。
しかしこれでは、判断の負担を家族に負わせることになり、「あそこで胃瘻を抜いた判断は良かったのだろうか」と後々まで悩みを抱えることにもつながっていました。
本人の自己コントロール感の高まりと家族の負担軽減も
また、本人の意思が尊重されていないという課題もありました。
このため、話し合いを重ねた医療・介護職と代理意思決定者によって本人の意思を推定し、「今本人は認知症の状態にあるため自分で判断できないけど、もし判断できるとしたらこう希望するだろう」という推定意思に沿って決定するのです。
これによって、家族などの代理意思決定者に意思決定の負担をおわせることが減り、本人の意思も尊重することができます。
ACPを行うことで、本人の自己コントロール感が高まり、患者と家族の満足度が向上し、遺族の不安や抑うつが減少することがわかっています。
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