税理士

あんしん税理士法人

鹿田 幸子

福岡県出身。大学卒業後、大阪の会計事務所にて勤務。帰福後は、福岡の大手会計事務所に勤務し、幅広い業務に携わる。2007年税理士登録。2013年 12月安藤税理士事務所入所。2016年12月法人成(あんしん税理士法人)。社員税理士となる。かかりつけ医のような税理士を目指し日々研鑽中。
資格:税理士

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2022/10/10

適格請求書等保存方式(インボイス制度)開始まで 1 年を切りました!

去年、このコラムでもお伝えしました適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)ですが、制度開始の令和5年10月1日までとうとう1年を切りました。
その後、皆さんは対応について検討されたでしょうか?

(1)インボイス制度スタートに向けての準備とは

令和3年10月1日から始まった適格請求書発行事業者への登録は令和5年3月31日が期限★ですが、理由の大小を問わず、令和5年9月30日まで登録可能です。
国としても、できるだけ多くの事業者の方に登録していただきたいのでしょう。(★令和5年10月1日から適格請求書を発行する場合の期限です)

周りの事業者の方や同業者の話などから、取引先について「消費税どころか、そもそも所得税の申告をしていない気がして心配です、でも聞けないし…」と恐れている方が多いようです。
また、「自分が頻繁に行く飲食店などは経過措置(例えば、免税事業者に支払った飲食代の消費税相当額の80%は、3年間は消費税を支払ったものとみなしてもらえる)が適用されている期間は免税のままでいくらしい」と言われる経営者もいました。

ちなみに、取引先に「課税事業者になって適格請求書発行事業者に登録してください」と強要することや「あなたのところは免税事業者だから消費税分値下げさせてもらうね」と強いることは「やってはいけないことの例」としてあげられています。
今回は、インボイス制度に向けての準備について触れていきます。

(2)売り手としての準備(支払いを受ける側)

①適格請求書発行事業者に登録する。
②取引先に登録番号を通知する。
どれをインボイスにするのかを決める。

*1つのものでインボイスにする必要はなく、契約書と通帳、といった組み合わせでインボイスにすることができま す。家賃収入は請求書を毎月発行するところは少ないと思われるので、概ね複数で要件を満たすことになるでしょう。
*令和5年10月1日以前の賃貸借契約書は作成し直す必要はありませんが、 登録番号を通知する必要はあります。

インボイスの保存方法を決めるなど。

(3)買い手としての準備(支払いをする側)

①取引先(支払先)の登録番号を集めて一覧表などを作成し管理する。
どれがインボイスなのか確認する。
③受け取ったインボイスの保存方法を決める。
経費の管理を決める(経費を使う人全員にインボイスについて周知徹底する)。

*簡易インボイスやインボイスが免除されているものなどがあります。
簡易インボイスを発行できるのは、不特定多数の者に商品などを販売する者であり、インボイスが免除されているものは公共交通機関の3万円未満の販売や自動販売機での3万円未満の販売。また、従業員の通勤手当や日当など、インボイスを回収したり保存したりするのが難しい経費もインボイスの保存は免除。

免税事業者への対応

*前述したように課税事業者になる強要や値引きの強要は不可。

いろいろなルートでこの制度を廃止してほしい、延期してほしい、経過措置を永遠に続けてほしいなどの要望が出されていますが、このまま始まるものとして考えるのが無難です。
制度開始まであと 1 年ありますから、それまでにじっくりと準備を進めたいものですね。

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